「帝國のニんげンが何用カ!ワれラの土地にコれイジョウ近づクナ!」
とある氷の大地。その山の麓。
希少種族である彼ら―――その中で一際大きく声を上げたのは、少女の声だ
「ヤばンなキさマらの要求なド、ゼったイに受け入れナイ!ワかったラ帰レ!」
如何にも軍人と言った格好の男二人を一方的に怒鳴りつけて踵を返す少女
――――遠い日の記憶
それが始まりだった
立ち退く様に無茶な要求を一方的に提示され
それを断った夜
地獄絵図だった
父達の戦士は勇敢に立ち向かった。だけど、殺された
母達は懸命に子供を逃した。だけど、殺された
許せない。許さない。絶対に殺してやる。彼奴等だけは。帝國人もだ。
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『……夢か』
最早この言葉を知る人間は数限られている
部族が使っていた言語だ。生まれついてからずっと話して聞いてきたそれは、中々抜けるものでもない
あの日、少女は三日三晩走り続けた
他の戦士見習い達を率いて、略式ではあるが戦士長として指示を下してきた
だけど、そのままでは見つかるのは時間の問題だった
だから、追っ手を一手に引き受けて己は残った
蹴散らす事は出来た。だけど、他の仲間達は最早何処に行ってしまったか分からない
『……無事でいてくれ』
兎の尾を吊るした首輪を握りしめて
明らかに目立つその格好をボロ布を目深に被ることで隠し
『………』
今日も、路地裏と森、そして食料調達の為に街を徘徊するのだった
/なんでもどうぞ!