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シナリオ 7月12日(木曜日)・その5

 HARD TO SAY I'M SORRY



学園を出て一人歩く。[plc]
ふと空を見上げると、赤い綺麗な夕暮れ。[lr]
耳に届くのはひぐらしの鳴き声。[plc]

そんな夏の夕暮れは、どこか寂しさを感じさせた。[plc]
それは、広大な敷地を一人で帰っているからかもしれない。[plc]

少し前のぼくは、こんな事すら考えなかったはずなのに……[plc]

莉緒「ちょっと、遅いじゃないの」[plc]

真緒「え? 莉緒?」[plc]



目の前に莉緒がいた。[plc]
上を向いて歩いていたから気がつかなかった。[plc]

莉緒「……いつまで待たせる気よ」[plc]

真緒「まだ制服じゃないか? こんな時間まで何してたんだ?」[plc]

莉緒「待ってたのよ」[plc]

真緒「待ってたって……ぼくを?」[plc]

莉緒「そうよ」[plc]

真緒「そうなのか、ありがとう莉緒」[plc]

莉緒「べ、別にお礼なんて」[plc]

真緒「いや、今さ、ちょっと寂しいなって思ってた所だったんだ」[plc]

莉緒「え?」[plc]

真緒「何でだろうって考えたんだけど、やっぱりここへ来たせいかな」[plc]

莉緒「ど、どうゆうことよ」[plc]

真緒「寮も学校もさ、いつもにぎやかだろ?[lr]
だから、静か過ぎると寂しくなるっていうか」[plc]

莉緒「………」[plc]

真緒「あ、いや、変な事言っちゃったな」[plc]

莉緒「別に変じゃ無いわよ」[plc]

真緒「そうかな?」[plc]

莉緒「……しょうがないわね」[plc]

真緒「ん?」[plc]

莉緒「あたしが一緒に帰ってあげるわよ」[plc]

真緒「ああ、一緒に帰ろう」[plc]

莉緒「でも勘違いしないでよね」[plc]

真緒「勘違い?」[plc]

莉緒「そうよ、寂しい魔王が寮長やみんなを襲うかもしれないでしょ?」[plc]

莉緒「魔王だって男なんだから」[plc]

真緒「襲わないって」[plc]

莉緒「どうだか……
今日だって水着に見とれちゃってたじゃない」[plc]

真緒「いや、それは……」[plc]

莉緒「まぁ……あたしもイライラしてたし、悪かったわよ」[plc]

真緒「莉緒」[plc]

莉緒「さ、帰るわよ」[plc]

真緒「……ああ、ありがとう」[plc]

莉緒「……敵の私にお礼なんて、本当に馬鹿な魔王なんだから」[plc]

そう言った莉緒の言葉に棘は無い。[lr]
むしろ、暖かい響きをもっていた。[plc]

真緒「ああ、そうだな」[plc]

莉緒「ほら、日が暮れる前に帰るわよ」[plc]

真緒「……そういや莉緒、お前補習だぞ」[plc]

莉緒「補習? わざとよ」[plc]

真緒「わざと?」[plc]

莉緒「だって、魔王を見張るのが私の使命なのよ?」[plc]

真緒「………」[plc]

冗談なのか本気なのか分からない
莉緒の話を聞きながら、夕暮れの道を二人で歩いていく。[plc]


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最終更新:2010年07月19日 01:44
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