７／１７-4

シナリオ　７月１７日（火曜日）・その４

　待ちに待ったご褒美

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部屋に戻って汗ばんだシャツを着替える。[pcm]
そんなに汗をかく方じゃないのに、シャツはびっしょり。[l]
それくらい今日は暑かったという事か。[pcm]

真緒「……そういえば」[pcm]

岸岡は大丈夫だろうか。[lr]
暑さに強そうな子には見えないしな。[pcm]
後で様子を見に行ってみるか。[pcm]

真緒「はい」[pcm]

寮長「すいません先生、手が空いてましたらお手伝いして貰えないですか？」[pcm]

真緒「ああ、すぐに行くよ」[pcm]

寮長「ありがとうございます。では」[pcm]

真緒「ん、また寮長か」[pcm]

真緒「はーい、すぐに行くよー」[pcm]

芽衣子「……芽衣子です」[pcm]

真緒「岸岡？」[pcm]

芽衣子「入っても宜しいでしょうか？」[pcm]

真緒「ああ、いいよ」[pcm]

芽衣子「……失礼致します」[pcm]

中に入ってきた岸岡は相変らず元気が無かった。[pcm]

芽衣子「………」[pcm]

真緒「大丈夫なのか？」[pcm]

芽衣子「え？」[pcm]

真緒「いや、さっき外でさ」[pcm]

芽衣子「あ、それはご心配には及びません」[pcm]

真緒「そうか？」[pcm]

芽衣子「はい」[pcm]

芽衣子「あの、真緒様、私は呼びに参ったのですが」[pcm]

真緒「ああ、ありがとう」[pcm]

芽衣子「すぐに行かれますか？」[pcm]

真緒「うん、もう着替えたしね」[pcm]

芽衣子「そ、そうですか」[pcm]

明らかな落胆。[lr]
これは、ただ呼びに来ただけじゃないな。[lr]
何か話でもあるのかも。[pcm]

真緒「話でもあるのかな？　悩んでる事とかあるなら聞くよ」[pcm]

芽衣子「……いえ、悩みなどありません」[pcm]

真緒「本当？」[pcm]

芽衣子「……は、はい」[pcm]

真緒「………」[pcm]

本人はこう言ってるものの、明らかに何か言いたそう。[pcm]

芽衣子「……では真緒様。祝いの席へむかいましょう」[pcm]

真緒「良いのか？」[pcm]

芽衣子「お祝いの準備を……お祝いの」[pcm]

お祝いを繰り返しつぶやく岸岡。[lr]
なんだろう。[lr]
お祝い、お祝い……[pcm]

あ！　そうだ！[lr]
テストのお祝いだ。[lr]
ぼくとした事が、すっかり忘れてた。[pcm]

真緒「うん、お祝いしなくちゃな」[pcm]

芽衣子「……はい」[pcm]

真緒「岸岡のもな」[pcm]

芽衣子「ま、真緒様？」[pcm]

真緒「その、ごめん。忘れてた」[pcm]

芽衣子「……あ」[pcm]

真緒「ごめんな」[pcm]

芽衣子「お、思い出してくれただけで、芽衣子は嬉しいのです」[pcm]

真緒「約束してたもんな。合格したらご褒美をあげるってさ」[pcm]

芽衣子「……はい」[pcm]

さっきまで落ち込んでたのが嘘のような明るい笑顔。[pcm]
元気が無かった理由はこの事だったのかな。[pcm]

真緒「さて、何が良い？　あんまり無茶な注文は聞けないけどさ」[pcm]

芽衣子「……私は」[pcm]

真緒「遠慮することないぞ」[pcm]

芽衣子「えっと」[pcm]

真緒「ん？」[pcm]

芽衣子「その、私は……」[pcm]

真緒「いいよ、言ってごらん」[pcm]

芽衣子「………」[pcm]

真緒「どうした？」[pcm]

芽衣子「……やはり魔王様のそのお気持ちだけで私はかまいません」[pcm]

真緒「何もいらないって事？」[pcm]

芽衣子「……はい」[pcm]

真緒「でも約束だったしさ」[pcm]

芽衣子「………」[pcm]

真緒「忘れちゃった事怒ってる？」[pcm]

芽衣子「そんな！　魔王様に対してそのような気持ち抱くなどありえません」[pcm]

真緒「そっか。でも、本当にいらない？」[pcm]

芽衣子「……はい」[pcm]

真緒「遠慮してるのなら止めてくれよ。忘れちゃってた事もあるから
何かあげたいんだ」[pcm]

芽衣子「……ですから」[pcm]

真緒「無いと言わずに何かさ、簡単な事でもいいんだ。夕食の当番を代わるとかでもいいぞ？」[pcm]

芽衣子「……では」[pcm]

真緒「お？　言ってくれ」[pcm]

芽衣子「あの、頭を……」[pcm]

真緒「頭？」[pcm]

芽衣子「撫でていただきたいのです……」[pcm]

真緒「うん、いいよ。他は？」[pcm]

芽衣子「え？　他は別に」[pcm]

真緒「それだけで良いの？」[pcm]

芽衣子「……はい」[pcm]

真緒「欲が無いな岸岡は。
他の子だったら色々言うだろうに」[pcm]

芽衣子「……他も言った方が良いですか？」[pcm]

真緒「あ、いや、むしろ言わない事に助かってるんだ。
莉緒とか北上ならとんでもない事言いそうだしな」[pcm]

芽衣子「……真緒様、今真緒様は芽衣子とお話しています。
芽衣子の事だけを見てくださいまし」[pcm]

真緒「……そ、そうだな」[pcm]

芽衣子「真緒様ぁ」[pcm]

莉緒「ちょっと、真緒くんと岸岡芽衣子がいないじゃないの！」[pcm]

せえら「部屋にいるんじゃないんですの？」[pcm]

莉緒「まったく！　みんな準備してるっていうのに！」[pcm]

寮長「さっき呼びにいった時は、すぐ降りてくると言ってましたけど」[pcm]

和「そのうち来るさ」[pcm]

莉緒「いいえ、どうせ寝てるに決まってるわ！[lr]私が叩き起こしてくる！」[pcm]

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