シナリオ 7月15日(日曜日)・そのA2
うれしい!たのしい!大好き!
莉緒「………」[pcm]
真緒「………」[pcm]
ざわめく街の真ん中でにらめっこ。[lr]
このままずっとこうしてても仕方ない。[pcm]
真緒「なぁ莉緒、帰るか?」[pcm]
莉緒「帰るですって?」[pcm]
真緒「いやだって、機嫌悪そうだしさ。帰りたいのかなって思って」[pcm]
莉緒「ほんっと真緒くんは!!」[pcm]
真緒「な、なんだよ」[pcm]
莉緒「……しょ、しょうがないわね、ちょっと行くわよ!」[pcm]
真緒「行くってどこに?」[pcm]
莉緒「いいから行くわよ!」[pcm]
真緒「お、おい莉緒」[pcm]
ぼくの腕をつかんで莉緒は走り出す。[pcm]
いったいどこに行くんだろう。[pcm]
莉緒「ここよ」[pcm]
真緒「ここって……遊園地?」[pcm]
莉緒「そうみたいね」[pcm]
真緒「そうみたいねって」[pcm]
連れて来られたのは遊園地だった。[pcm]
まだ入り口前だが、あたりには子ども連れの家族やカップル等が大勢いる。[pcm]
真緒「入るの?」[pcm]
莉緒「ま、まぁ、そうね」[pcm]
……て事は、ここで二人で遊ぶってこと?[pcm]
それって莉緒とデート……になるのかな。[pcm]
いや、ぼくは教師だから保護者的立場で、言ってみれば……[pcm]
莉緒「なに考えてるのよ」[pcm]
真緒「い、いや別に」[pcm]
莉緒「いい真緒くん? 勘違いしないでよね。[l]
あたしは別にここでデートしたいとか思ったわけじゃないんだから」[pcm]
真緒「あ、ああ」[pcm]
莉緒「そうね、これは──」[pcm]
真緒「何だ?」[pcm]
莉緒「あたしも無駄な争いは好まないわけ。[lr]それは寮長やみんなのためよ」[pcm]
莉緒「だからあたしは戦い以外の作戦をとったのよ。真緒くんがのっとられる前にね」[pcm]
真緒「い、意味が分からないぞ」[pcm]
莉緒「遊園地なんて魔王には相応しくないでしょう?[l] だから真緒くんの人格が強く出るわ」[pcm]
莉緒「ここまでは分かるかしら?」[pcm]
真緒「ま、まぁ」[pcm]
莉緒「だから、これから夏休みも始まることだし、
こうやって魔王が苦手な場所に二人で出かけるの」[pcm]
莉緒「それで徐々に魔王を封じ込めるのも良いかもしれないって、
あたしは思ったの」[pcm]
真緒「二人で出かけて」[pcm]
莉緒「そ、そこを強調しないでよね!」[pcm]
莉緒「こ、これは平和のためなんだから!」[pcm]
真緒「………」[pcm]
莉緒「な、なによその目は……」[pcm]
つまり、ぼくと一緒にまた遊びたい……[lr]
で良いんだよな。[pcm]
莉緒に嫌われてると思っていたけど、そうでもないのか?[pcm]
どちらにせよ、昔みたいに莉緒と遊びたいって思っていたから、
ぼくは嬉しかった。[pcm]
莉緒「き、気持ち悪い目で見ないでよね」[pcm]
真緒「あ、ああ、ごめん」[pcm]
真緒「でもさ」[pcm]
莉緒「なによ」[pcm]
真緒「阿部高程じゃないけど、良い男だろ?」[pcm]
莉緒「ば、馬鹿なこと言ってないで早く中に入るわよ!」[pcm]
真緒「ちょ、ちょっと待ってくれ」[pcm]
園内に入るとさらに多くの人がいた。[pcm]
莉緒「人で溢れてるわね」[pcm]
真緒「ま、今日は休みだしな」[pcm]
莉緒「カップルもいっぱいね」[pcm]
真緒「え? ああ、そうだな」[pcm]
莉緒「………」[pcm]
真緒(お、あの乗り物何だ? 宇宙船?)[pcm]
莉緒「あ、あたしたちはどう思われてるのかな??」[pcm]
真緒「おい莉緒! あれ面白そうだぞ!」[pcm]
莉緒「………」[pcm]
真緒「どした?」[pcm]
莉緒「ほら!! 行くわよ真緒くん!!」[pcm]
真緒「な、なんで怒鳴ってるんだよ」[pcm]
莉緒「ねぇ真緒くん、どれに乗る?」[pcm]
真緒「そうだな、ぼくはお化け屋敷かさっきの宇宙船が良いけど」[pcm]
莉緒「ジェットコースターで決まりね!」[pcm]
真緒「………」[pcm]
莉緒「なぁに? 文句あるの?」[pcm]
真緒「いや……ここ、ジェットコースター乗り場だよな」[pcm]
莉緒「あ、いつのまに!」[pcm]
真緒「まったく……」[pcm]
真緒「ま、乗ろうか!」[pcm]
莉緒「ふふ、一緒に乗ろっ♪」[pcm]
真緒(……ご機嫌だな)[pcm]
莉緒「は~楽しかったね真緒くん!」[pcm]
真緒「お……おぉ、目がぁ目がぁ」[pcm]
莉緒「ちょっとその変な言い方止めてよ![lr]気持ち悪いじゃない!」[pcm]
真緒「だ、だって目が回って」[pcm]
莉緒「少し休めば大丈夫よ」[pcm]
真緒「うん、そうだな」[pcm]
莉緒「ね、天気良いから景色もバッチリ見れたわね」[pcm]
真緒「そうだな、今日は良い天気だ」[pcm]
莉緒「雨じゃなくて良かったわ」[pcm]
真緒「まったくだ」[pcm]
真緒「で、次はどこだいお嬢様」[pcm]
莉緒「……なによお嬢様って?[lr]
今度そんな風にあたしのこと呼んだら口聞いてあげないわよ!」[pcm]
真緒「な、なんで怒るんだよ莉緒、冗談だろ」[pcm]
莉緒「そう、莉緒でいいの、莉緒でね、ふふ」[pcm]
真緒(機嫌良すぎじゃないか……)[pcm]
真緒(ぎゃ、逆に怖くなるな)[pcm]
真緒「さ、お化け屋敷へ来たぞ莉緒」[pcm]
莉緒「どうしても入りたいと言うのね?」[pcm]
真緒「ああ、面白そうだろ」[pcm]
莉緒「まったくお化け屋敷なんて……でも」[pcm]
真緒「無理にとは言わないぞ。どうする?」[pcm]
莉緒「い、行くわ!」[pcm]
真緒「それじゃ決まりだな」[pcm]
莉緒「暗い」[pcm]
真緒「そりゃ、お化け屋敷だもん」[pcm]
莉緒「ま、真緒くん? 隣にいる?」[pcm]
真緒「いるよ」[pcm]
莉緒「ほ、ほんと? あたし見えないよ?」[pcm]
真緒「なんだ莉緒、怖いのか?」[pcm]
莉緒「ちょ、ちょっと怖い……」[pcm]
あら? 予想外の反応だ。[lr]
てっきり、怖くなんかない![lr]
とか言ってくるかと。[pcm]
真緒「すぐ横にいるから大丈夫だよ。[l]
なんなら服にしがみついてていいぞ」[pcm]
莉緒「う、うん」[pcm]
真緒「え……」[pcm]
少し驚いてしまったのは、莉緒が手をつないできたからだ。[pcm]
強く握ってくるのは怖いせいなのかもしれない。[pcm]
莉緒「で、出るまでのあいだよ!」[pcm]
真緒「あ、ああ……」[pcm]
昔はよく手をつないで遊んでいた気がするのに、
二人とも大きくなったせいか照れくさい。[pcm]
真緒(おかしい、ドキドキする)[pcm]
小さな莉緒の手は昔のままだ。[pcm]
懐かしくはなっても、ドキドキするのはおかしいだろ。[pcm]
莉緒「ま、真緒くん?」[pcm]
真緒(お、お化けのせいというか、この屋敷の雰囲気のせいだよな、うん)[pcm]
真緒「あ、何でもないよ。それじゃ行こう」[pcm]
莉緒「うん!」[pcm]
最終更新:2010年07月19日 07:37