シナリオ 北上ルート 7月25日(水曜日)・その4
秘密の練習??
練習開始。
……といっても、北上の歌を聴いて無理やり褒めてあげるだけだった。
ライブで演奏する曲の楽譜がまだ手元に無いせいだ。
セミプロメンバーが書き起してくれて、明日寮に届く予定らしい。
そんな訳で、今日一日は北上の歌を聞くだけになりそうだ。
奏「ねぇセンセ、どうだった?」
真緒「ん……元気があって良かったよ」
奏「へへ……それじゃもう一回歌うね!」
真緒「ああ」
初めて聞いた時に倒れてしまった歌声。
でも耳がだいぶ慣れてきたんだろうか。
もう倒れる心配はない。
さすがに上手だとは思えないけど……
奏「■☆★○△$%~♪」[pcm]
真緒「………」
一生懸命歌う北上。
時折目が合うと楽しそうに、でも少し照れたような顔。
流されるまま、半ば義務感で参加したバンドに練習。
でも、楽しいと思ってる自分がいる。
生徒と一緒に一つの目標に向かう事。
それは憧れていた教師生活だった。
そして、学生バンド時代を思い出させてくれた事。
教師という職に就き、仕事に追われて忘れてしまいそうだったけど、
やっぱりぼくはロックが好きだ。
ライブに向かって頑張るあの充実した時間、期待に不安。
またこうして味わえるなんて思わなかったな。
奏「ふー」
真緒「お疲れ様」
奏「ね、魂こもってたでしょ?」
真緒「ああ、凄くね」
奏「センセはやっぱり話が分かるね!
ここのセンセになってくれてアタシね、嬉しい」
真緒「ん、ぼくもだよ。最初はとんでもない所へ来たなって思ったけどさ」
奏「え? 最初はそんなこと思ってたの?」
真緒「あ、うん……正直な」
奏「どうせリオやメイコやナゴミにせえらちゃんのせいでしょ?
アタシはちゃんと分かってるから」
真緒(なぜ自分を省く……)
奏「でしょ?」
真緒「あ、ああ……」
せえら「………」
せえら「た……楽しそうですわね」
せえら「なんですの?」
メイド長「先ほどからずっとこの場所で見ておりますが、要先生と北上さんが気になるのですか?」
せえら「べ、別にあのセンコーはどうでもいいですわ! ただカナちゃんが心配なだけです」
メイド長「そうですか……安心致しました。せえら様が要先生を……そんな事あるわけありませんよね?」
せえら「あ、当たり前じゃにゃーですか!? 馬鹿なことを言うんじゃにゃーですわよ!」
メイド長「お嬢様お静かに……気づかれてしまいます」
せえら「あ、あら、そうですわね」
せえら「ですけど、メイド長が悪いんですのよ? 変なことをいきなり言いますから……」
メイド長「……お嬢様、妙な詮索申し訳ありません」
せえら「分かればいいんですのよ」
メイド長「それとは別にお嬢様」
せえら「何ですの?」
メイド長「その乱れた口調……そろそろ直された方が良いかと思います」
せえら「いくらメイド長の頼みとはいえこればかりは無理ですわね」
メイド長「お嬢様! お嬢様はお嬢様としての気品と振る舞い、
そして言葉遣いをしていただきます!」
メイド長「可愛らしいせえら様がその様な下品な言葉など私は断じて認めません!!」
せえら「ちょ、ちょっとメイド長! 静かにしてらっしゃらないと気づかれてしまいますわよ」
メイド長「……は!?」
メイド長「……つい興奮してしまいました。申し訳ありません」
せえら「まったく、しょうがありませんわね……」
最終更新:2010年07月13日 22:08