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シナリオ 北上ルート 8月3日(金曜日)・その1

 募る不安


早いものでもう八月。
ぼくが学園に来て一ヶ月経ったわけだ。

一日一日が凄く長く感じていたのに、今思うと
あっという間だったような気もする。

きっとライブまでもあっという間に過ぎるんだろうな。
でも……

奏「でさセンセ、そこのギターとボーカルは仲悪いの。でね?」

真緒「………」

奏「センセ? 聞いてる?」

真緒「なぁ北上、練習しないか?」

最初の方は真面目に取り組んでいた練習だったけど、
日が経つにつれ練習よりも喋っている時間の方が長くなっていた。

奏「え? 練習ならもうしたじゃん」

真緒「一回歌っただけじゃないの? もっと練習しなきゃ」

奏「大丈夫だし」

真緒「だ、大丈夫じゃないって」

奏「アタシはスターだからね。練習なんてほんとはしなくていいし」

真緒「………」

奏「それよりセンセこそだいじょぶなの?」

真緒「あ、ああ……ぼくはまぁ大丈夫だとは思うけど」

奏「へへ、アタシにちゃんとついてきてよ!」

真緒「あ、ああ……」

少しは歌い慣れてきただろうけど、まだまだ人前で聞かせる程じゃない。
とても大丈夫だとは思えない……
この自信はいったいどこから……

奏「ねねセンセ、昨日のNステ見た? あの海外バンド出てたよね!」

真緒「あ、そういえば出てたな。たまに海外の大御所が来る番組だよね」

奏「そ! 普段はアタシ見ないんだけど、そんな時は見るよね?」

真緒「ああ、ぼくも同じだよ」

奏「嬉しいな。センセもなんだ」

と無邪気な笑みの北上。
こうやって話を合わせてるぼくも練習不足の原因だろうな……


奏「そうだセンセ、アタシその人のライブDVD持ってるから貸したげる」

真緒「へえ、ちょっと見てみたいな」

奏「えへへ。じゃさ、寮に戻ったら渡してあげるからね」

真緒「ああ、ありがとう」

奏「あ! 今渡してあげる!」

真緒「い、今って」

奏「今日は終わりして寮にかえろ?」

真緒「い、いや北上、まだ練習がだな……」

奏「いいよね? ね? セーンセ?」

真緒(ぬぅ……甘えた声出しやがって)

真緒「わ、分かった……でも明日からはキビシクやるからな」

奏「じゃ帰ろ!」

真緒「………」


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最終更新:2010年07月13日 22:36
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