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シナリオ 北上ルート 8月7日(火曜日)・その2

 女心と夏の夜


奏「………」

奏「……もうお昼じゃん」

奏「………」





せえら「今日はワタクシですわね。それでは喰い散らかしますわよみなさん」

寮長「ではいただきましょう」

真緒「ああ」

奏「………」


四人だけの、いつもより静かな食事が始まる。
それは莉緒たちがいない事と、それと──

奏「………」

北上と今日初めて顔を合わした。
相変わらずぼくを見ようともせず、無視を決め込んでるようだ。

練習場に行かなかった事、どう思ってるんだろう?
怒った顔もなく、ただ冷めた顔で淡々と食事をする北上からは心情を想像できない。

寮長「先生? 食べないんですか?」

真緒「あ? え?」

せえら「なにボーっとしてますの? まったく情けないですわね」

真緒「ん、ああ……」

せえら「暑くて食欲が無いのは分かりますけど、しっかり食べないと夏を乗り切れませんわよ?ねえ、カナちゃん」

寮長「そうですよ先生、北上さんみたいにたくさん食べなきゃ」

真緒「あ、うん……」

二人が気をつかってくれて話をふってくれてる。
でも……

奏「………」

……相変らずか。
やっぱり、しばらくはそっとしておくのが良いんだろうな……




重苦しい食事も終わり、ぼくは一人で片付け中。

しかし食事をとった気がまるでしない。
チラチラと北上を横目で見ながら、あれこれ考えてたせいだろう……
そして結局、一度もぼくの方を見なかったな……

やっぱり話かけたい。
練習に行かなかった事をどう思ってるのかを聞きたい。
ライブの件をきちんと謝りたい。

そう思ってはいるけど、今の状態じゃとても……

真緒「……無理だよなぁ」

真緒「……ん?」

背後から誰かの視線を感じる。
まさか──

真緒「北上」

奏「………」

怒った顔の北上だった。

怒ってる、怒ってはいるけれど、
北上からぼくの所へ来てくれた事が嬉しかった。


真緒(話しかけようか……)

真緒(でも……とっかかりの言葉が出ない)

奏「………」

真緒「………」

ジッと見つめあったままの時間が続く。
何か言わなきゃって思えば思う程声が出ない。

奏「………」

真緒「………」

でもここへ北上が来たって事はつまり、ぼくと話そうと思ったからだよな。だったらぼくから先に何か言わなきゃ──

真緒「……あのさ」

奏「なんで」

真緒「え?」

奏「なんで今日はこなかったの?」

真緒「え」

奏「………」


声をかける間も与えず、逃げるように北上は食堂を出て行った。

『なんでこなかった?』

そう北上は行った。
それは単純に突然来なくなった理由を知りたいからだろう。

と言っても、おそらく北上自身分かっていると思う。
……いや、ずれてるかもしれないな。

ぼくはしばらくそっとして置こうと考えてるけど北上はどうだろう。
来るなと言ったら本当に来なくなったとか、そんな風に思ってるのかもしれない。

ともかく、北上から話しかけて来てくれた事だ。
明日は練習場に顔を出してみるか。

今日行かなかった事と、ライブの話をちゃんとするために……


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最終更新:2010年07月13日 22:55
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