シナリオ 北上ルート 8月11日(土曜日)・その2
昼下がりの歌声
午前の練習を終え、昼食も済ませた。
今から食堂でまた練習だ。
今度は莉緒や阿部高も一緒の練習。
朝は二人という事もあって、真剣に取り組めた。
休憩を挟む事もなく、一生懸命に歌う奏にこっちが心配になる程だ。
しかし今度は別の意味で心配だな……
莉緒たちと一緒……脱線しなけりゃいいけど。
ま、とにかく食堂へ行こう。
莉緒「来たわね」
阿部高「やぁ」
芽衣子「………」
真緒「お、岸岡もいるのか」
芽衣子「……お、お邪魔でしょうか?」
真緒「そんなことないよ、ありがとう」
芽衣子「い、いえ……当然のことです」
寮長「先生」
奏「センセ遅いよ」
真緒「寮長もいるのか、全員……じゃないな、八十記だけいないのか」
奏「うん」
真緒(仲が良いはずなのにな、どうしてだろ)
奏「それより早く早く!」
と急かされるのはきっと気持ちが焦って、ジッとしてられないからだろう。
空回りにならないように、ぼくはサポートを頑張ろう。
真緒「ああ、寮長たちもよろしく」
寮長「ええ」
莉緒「ちょっと真緒くん、あたしは奏に協力するんだから勘違いしないでよね」
和「なーに、良い男がついてるんだから心配ないさ」
芽衣子「真緒様のステージのお姿……想像するだけで芽衣子は……」
真緒「……よ、よし、やるぞ!」
奏「うん!」
真緒「うん、大分良くなってきたと思うよ」
奏「ほんと?」
和「ああ、音程も取れだしてるぜ」
寮長「ええ」
莉緒「ま、まぁそうね……」
芽衣子「デスメタル……」
真緒「でも大丈夫か? ぶっ続けだろ?」
奏「ん、平気だし」
真緒「いや、でも喉にも悪いだろ?」
奏「ありがとセンセ。でもアタシは平気、それにしゃがれた声の方がロックじゃん?」
真緒「ま、まぁそうだけど、あんまりしゃがれて欲しくはないしさ」
奏「え? ロックなのに?」
真緒「ん、たしかにロックだけど、北上には合わないというか」
奏「え、どうしてそんなこと言うの?」
真緒「あ、いや、これは個人的な問題で……」
奏「え? どういうこと?」
寮長「ふふ、先生は北上さんの可愛い声が好きなんですよ」
奏「え」
和「キミぃ」
莉緒「………」
芽衣子「真緒様……真緒様はあのような高い声がお好みなのですか?」
真緒「あ、いや、もうそれはいいから、練習するならしよう!」
和「ふ、声帯の手術も必要という訳か」
芽衣子「私も高い声を出す特訓を……」
莉緒「アタシの方が声高いじゃない……」
寮長「………」
真緒「……ま、まぁ練習再開だ」
奏「……う、うん」
最終更新:2010年07月13日 23:30