シナリオ 北上ルート 8月14日(火曜日)・その1
熱暴走
練習再開から四日が過ぎた。
三日坊主になるんじゃないかと心配していたけど、
あれから毎日夜遅くまで奏は頑張っている。
早朝は二人で、昼間は寮の子を交えての練習。
そして夜はまた二人という練習のサイクル。
基本的生活以外はほぼ練習漬け。
だからと言ってぼくは仕事をしない訳にもいかず、
ほんのわずかな時間を見つけて新学期の準備に追われていた。
疲れも大分溜まって来ているが、ぼくが根をあげる訳にはいかない。
ライブまで後半月。
それまでは踏ん張ろう。
奏「センセおはよ!」
真緒「ああ、おはよう」
奏「もういける?」
真緒「準備出来てるよ、行こうか」
奏「うん」
真緒「うっは、今日もまた熱くなりそうだな……」
奏「うん、もう熱いもん」
真緒「だよなぁ」
奏「……センセ疲れてない? だいじょぶ?」
そんな事を言われてしまうのは、
ぼくの言葉が気の抜けたものだったからだろうか。
真緒「あ、いや、大丈夫」
奏「へへ、センセはロックなティーチャーだし平気だよね」
真緒「ああ、大丈夫だぞ」
奏「でも……疲れたら言って欲しいし」
真緒「大丈夫だよ。じゃ、そろそろやろうか」
奏「うん。それじゃセッションしよ!」
真緒「ああ」
せえら「……だいぶ無理してますわね」
せえら「まったくあの馬鹿センコーときましたら」
メイド長「………」
せえら「カナちゃんもカナちゃんですわよ。
あまりワタクシの舎弟に無理をさすんじゃにゃーですわ」
メイド長「お嬢様? まさか妬いて」
せえら「るわけにゃーです!!」
メイド長「申し訳ありませんお嬢様」
せえら「妙な勘違いはやめろですわ」
メイド長「はい」
せえら「ですけど、カナちゃん本気ですわね。
あんなカナちゃん見るのは久しぶりですわ」
メイド長「………」
せえら「思い出しますわね……あの頃のカナちゃんを」
メイド長「お嬢様……」
せえら「ええ……馬鹿センコーに妬いていると言えば妬いているのかもしれませんわね。今まではワタクシがあそこにいたんですもの」
メイド長「………」
せえら「カナちゃん頑張るのですわよ」
せえら「ついでに馬鹿センコーも」
最終更新:2010年07月13日 23:34