シナリオ 北上ルート 8月18日(土曜日)・その1
満身創痍
真緒「……ううん」
奏「センセ、センセ!」
真緒「……すぅ」
奏「まだ寝てるの?」
真緒「………」
奏「入るからね」
奏「まだ寝てるし」
真緒「すぅ……」
奏「センセ! センセ起きて!」
真緒「……ん?」
奏「練習の時間だよ」
真緒「……あ、うん」
奏「もーロックじゃないね! ほら、起きて着替えて!」
真緒「あ、ああ、おはよう」
奏「起きた? アタシは廊下で待ってるから早く用意して来てね」
真緒「……うん」
奏「………」
目が覚めたけど……
まだ半分脳が寝てる。
頭がクラクラするし、相変らず体は重い。
風邪をひいた時の様なけだるささえ感じる。
やる気を出さなきゃ、と思ってはいるのに脳が体に命令を送らない。
真緒「廊下に、廊下で待ってる」
そう、廊下で待ってるんだ。
早く着替えて用意して練習をしないと。
もうライブまで日はないんだからな。
無理は承知で引き受けたんだ、だからこれくらいで……
真緒「あ、れ?」
起き上がろうとした瞬間立ちくらみ。
それと同時に吐き気と軽い頭痛。
……とても立てない。
寝起きだからだと思い、もう一度腰をおろして一息つく。
少しジッとしてればなんて事はないはずだ。
奏「センセまだー?」
真緒「………」
廊下からの呼びかけに応えようと思っても声が出なかった。
いや、出したくない程気分が悪い。
座っているのにまだ治らない。
これはもしかして風邪なんじゃないだろうか。
いや違う、ただ疲れてるだけだ。
今日までひたすら突っ走って練習してきたから、ただ疲れてるだけだ、
奏「センセ? 寝てるの?」
真緒(少し……ましになったな)
真緒「いや、起きてるよ。もうちょっと待ってて」
奏「うん、でもなるだけ早くね」
真緒「ああ」
体調の悪さを考えると今日は休みにしたいが、休むわけにはいかない。
九月に入ってすぐのライブまでもう二週間もない。
ぼく自身も練習して完璧にして、いつでも彼女を助けられるようにしておきたい。
──頑張ろう、もう少しだ!
そう自分に鞭を入れると不思議と体も軽くなった気がする。
心なしか体調も治ったような気がしてきた。
病は気から、だな。
ああそうだ、こんな弱気じゃロックなんて出来るわけがない。
真緒「よし」
真緒「お待たせ」
奏「………」
真緒「どうした?」
奏「う、ううん。練習いけそ?」
真緒「ああ、行こうか」
奏「うん……」
真緒「奏は大丈夫か? 疲れたりしてないか?」
奏「アタシは平気だけど……」
真緒「よし、じゃー行こうか!」
奏「うん……」
寮長「おはようございます」
奏「おはよ」
真緒「おはよう」
寮長「今から練習ですね」
奏「うん、行ってくる」
真緒「行ってくるよ」
寮長「はい、どうか無理せずに……」
真緒「ああ」
寮長「………」
莉緒「寮長」
寮長「寺井さん、おはようございます」
莉緒「ええ、おはよう。真緒くんは行った?」
寮長「ええ、先ほど」
莉緒「まったく……頑張りすぎなのよ。ほんと馬鹿なんだから」
寮長「具合悪そうでした……」
莉緒「この所ずっと顔色悪いじゃない、あんなゾンビみたいな顔になるまでやることないわよ」
寮長「ゾ、ゾンビですか」
莉緒「だいたい奏も奏よ。もっと真緒くんのことを考えなさいよね!」
芽衣子「同感だ」
莉緒「岸岡芽衣子、いつの間に」
芽衣子「………」
寮長「岸岡さん、おはようございます」
芽衣子「だがテラリオン、馬鹿なのは貴様の方だ」
莉緒「なんですって!!」
寮長「………」
芽衣子「それに……魔王様を心配してるのか?」
莉緒「し、心配なんてしてるわけないじゃない」
芽衣子「……そうか」
莉緒「魔王が弱ってる様子を見てるのよ。これはそうね……魔王を討つチャンスだわ!」
芽衣子「魔王様がいかに弱ろうと、貴様など敵ではない」
莉緒「な、なんですって!?」
芽衣子「……愚かな」
莉緒「勝負よ岸岡芽衣子!」
芽衣子「望む所だ……いい加減貴様と話すのにも飽きた所」
莉緒
「こっちの台詞よ!!」
寮長「………」
最終更新:2010年07月13日 23:40