シナリオ 北上ルート 8月18日(土曜日)・その2
真緒、ついに……
奏「どうセンセ? ロックになったかな?」
真緒「うーん」
歌い終えた奏が問いかけてくる。
ここ数日の猛練習のおかげか、たしかに以前よりはずっと上手くなっている。
でもそれは最初から聞いてきたぼくだからであって、
初めて聞く人にとっては下手な歌になるだろう。
ぼく等はプロじゃない。
そう学園の子は周知してるけど、それでもまだライブに出れるレベルとは言えない。
やはり付け焼刃の練習で劇的に変わる事は難しいか……
奏「センセ?」
真緒「あ、ああ、以前よりはずっと上手になってる」
奏「でもセンセ、言葉に詰まったし」
真緒「それは……」
奏「やっぱりダメなのかな?」
真緒「いや、駄目じゃないよ。これだけ上達してるんだからさ」
奏「でも」
真緒「きっとライブは成功するって、後は練習練習だ」
奏「……うん、そだね。やるしかないよね!」
真緒「ああ、今はやれる事をやろう」
奏「うん! じゃ、もう一回歌うよ!」
真緒「ああ、ぼくは聞いてるよ」
歌い始める奏の側に座り込む。
気持ちで押さえたはずの眩暈と吐き気が再び襲ってきていたせいか、
立っているのでさえ辛い。
ついさっきまで治ってたのに……
またこんなになったのは、この灼熱の日差しのせいだろうか。
気持ちが悪くてうなだれた顔をあげる事すらままならない。
こんな事じゃいけないと、頑張って顔をあげ前を向く。
そこはなぜか景色が歪んでいた。
蜃気楼……なのか?
奏までがぼけやていて、何人にも見える。
これはいったい……
あ……
奏「センセ? 寝ちゃだめだよ?」
奏「ねぇセンセ?」
奏「センセ? 聞いてる?」
奏「あれ……?」
奏「センセ……?」
奏「センセ!! センセ!?」
奏「セ、センセが倒れた……ど、どうしよう」
奏「ね、ねぇセンセ……嘘なんでしょ。早く起きて欲しいし」
奏「ね、ねぇってば……」
奏「センセ……」
奏「センセ死なないでーーーー!!」
せえら「まったく……無理をするからですわ」
メイド長「生徒のために無理をして倒れる……ですか」
メイド長「教師という職業は好きではありませんが、
要先生のあの姿勢だけは評価したいと思います」
せえら「メイド長」
メイド長「さあお嬢様、早く北上さんと先生の所へ」
せえら「ええ、助けますわよ」
最終更新:2010年07月13日 23:43