7/22-5a

シナリオ 7月22日(日曜日)・その5a

 対決の行方は


あっという間に午後が来た。[lr]
日差しも一番きつくなってくる午後。[pcm]
だが、そんな暑さをなんとも思ってないような生徒たち。[l]
みんな楽しそうだ。[pcm]

八十記はメイド応援団を引き連れて頑張ってるし、
阿部高は男らしさをアピールしまくってる。[pcm]
……若干から回ってて笑われてるけど。[pcm]


そんな生徒たちとは逆に、妙に冷めてるのが莉緒と北上だ。[pcm]

あまりにも姿が見えないので学園の中を見て回ると、
案の定教室で二人さぼっているし……[pcm]

岸岡はさぼったりなんてことは無いが、
楽しそうだとは思えない様子。[pcm]

緊張しているのと、張り切っているのとで
表情はずっと強張ったまま。[pcm]

岸岡らしいと言えばらしい。[pcm]
寮長は相変わらず、いつもの寮長だ。[pcm]


そんな莉緒たちを見ながら時間が流れていく。[pcm]
そしていよいよ、水泳大会のメインであるクラス対抗競技が始まろうとしていた。[pcm]



真緒「そろそろだな……莉緒はどこに」[pcm]

真緒「お、ちゃんといるな。[lr]
岸岡と二人でいるけど、また喧嘩してるのか?」[pcm]

プールサイド、莉緒と岸岡の姿が見える。[pcm]
少し離れているため会話の詳細は聞こえないが、何か言い争っているようだ。[pcm]

真緒「行ってみよう」[pcm]








莉緒「いよいよね」[pcm]

芽衣子「……愚かな」[pcm]

莉緒「今日、ここで、あなたと魔王は滅びるのよ! そして真緒君を元に……」[pcm]

芽衣子「ふふ」[pcm]

莉緒「な、なにが可笑しいのよ!」[pcm]

芽衣子「無駄な努力だな」[pcm]

莉緒「なんですって!!」[pcm]

芽衣子「それに、テラリオンは水が駄目とはな、笑わせる」[pcm]

莉緒「違うって言ってるでしょ!!」[pcm]

芽衣子「もうすぐ分かる事だ」[pcm]

真緒「お前ら」[pcm]

莉緒「来たわね」[pcm]

芽衣子「魔王様」[pcm]

真緒「何やってんだ、もうすぐ始まるのに」[pcm]

莉緒「いいからどいててよ」[pcm]

芽衣子「魔王様、これは決闘なのです」[pcm]

真緒「馬鹿、何もこんな皆がいる所でやんなくてもいいだろ?」[pcm]

周りには溢れるばかりの人、人、人。[pcm]
そして、何事かと興味深そうにぼく等を見ている。[pcm]

真緒「莉緒は競技者だからここでいいとして、岸岡は戻れ」[pcm]

芽衣子「し、しかし」[pcm]

真緒「二人がここで喧嘩してたら、競技が始められないだろ?」[pcm]

芽衣子「わ、分かりました。魔王様のお言葉は絶対です」[pcm]

※ここちょっと後で書き足し。(つっても二・三行)
※真緒が芽衣子を褒めるじゃないけど、そんな言葉を口にする。
※それを莉緒が聞いて焼餅→泳げないくせに挑発する流れに

莉緒「ふん、逃げる気ね」[pcm]

芽衣子「……なに」[pcm]

真緒「お、おい莉緒、挑発するな!」[pcm]

莉緒「私の勝ちね」[pcm]

芽衣子「……貴様」[pcm]

莉緒「私に勝てないから逃げたんでしょ?」[pcm]

芽衣子「許すまじ」[pcm]

真緒「お、お前ら……」[pcm]

芽衣子「魔王様お許しを……芽衣子は決着をつけたく思います」[pcm]

真緒「はぁ……」[pcm]

莉緒「……の、望む所よ」[pcm]

芽衣子「……ふ。では水泳勝負で良いのだな?」[pcm]

莉緒「す、水泳は」[pcm]

芽衣子「やはり、怖いか?」[pcm]

莉緒「ち、違うわよ!」[pcm]

芽衣子「なら、問題はあるまい」[pcm]

莉緒「……え、ええ」[pcm]

芽衣子「では、勝負だ」[pcm]

止めるのも聞かず、二人が飛び込み台の上へと歩いていく。[pcm]
水泳で勝ち負けを競うのは安心だけど、もうすぐ競技だってのにこいつらは……[pcm]

他の生徒や職員だってきっと迷惑に──[pcm]
あれ?[lr]
何か盛り上がってる?[pcm]

競技前の余興だと思っているんだろうか?[lr]
迷惑がるどころか応援までしてる。[pcm]
思えば、職員はぼくだけしか止めに来ていないという事実。[pcm]
遠めに見える学園長たちはにこやかに談笑してるし……[pcm]

真緒(ま、そういう事ならやらせてあげるか)[pcm]

真緒(さて、その二人は)[pcm]

自信に満ちた表情で飛び込み位置にいる岸岡。[pcm]
反対に、生気の抜けた莉緒。[pcm]
怯えた表情で、まだ飛び込み位置にすら立っていない。[pcm]

真緒(あいつ……フラフラして、顔も青ざめてるし大丈夫なのか?)[pcm]


芽衣子「どうしたテラリオン?」[pcm]

莉緒「………」[pcm]

真緒(具合悪いのか?)[pcm]

莉緒「………」[pcm]

莉緒がその場に立ち止まり、下を向いた。[lr]
前へ進む事を拒んでいるのは誰の目から見ても明らかだった。[pcm]

芽衣子「やはりか」[pcm]

莉緒「………」[pcm]

芽衣子「私の勝ちで決まりだな。そして」[pcm]

莉緒「………?」[pcm]

芽衣子「魔王様は貴様の知っている真緒様に戻る事は無いという事だ」[pcm]

莉緒「!!」[pcm]

芽衣子「昨日魔界から使者が来て、私に秘法を授けてくれたのだ」[pcm]

芽衣子「魔王様完全覚醒のな!!」[pcm]

莉緒「!!!!」[pcm]

芽衣子「ふふ、もう少しだ」[pcm]

莉緒「……や」[pcm]

芽衣子「なんだ?」[pcm]

莉緒「嫌よ!!」[pcm]

芽衣子「……無駄だ」[pcm]

莉緒「絶対に嫌!!!!」[pcm]

真緒(莉緒? 様子がいつもと違う)[pcm]

莉緒「しょ、勝負よ!!」[pcm]

立ち止まっていた莉緒が走り出す。[lr]
足元はふらついたまま、気持ちだけで前を走っている。[pcm]

真緒「おい莉緒! 走るな!!」[pcm]

莉緒「あ」[pcm]

叫んだ瞬間、莉緒の足がもつれる。[pcm]
そしてスローモーション映像のように、ゆっくり鮮明に倒れゆく莉緒が目に映った。[pcm]



真緒「莉緒!!」[pcm]

芽衣子「テラリオン!」[pcm]

莉緒「……うぅ」[pcm]

転んだ莉緒に駆け寄る。[pcm]
見た感じ、大きな怪我は無いようだが──[pcm]

真緒「頭打っただろ? 大丈夫か?」[pcm]

莉緒「……痛いよぅ」[pcm]

真緒「頭か?」[pcm]

莉緒は首を横に振った。[lr]
頭じゃない? じゃあ、足か?[pcm]

足首を触ると、苦痛で顔を歪めた。[pcm]

真緒「足か」[pcm]

莉緒「……うん」[pcm]

真緒「ひねったのかもな」[pcm]

芽衣子「テラリオン……貴様」[pcm]

真緒「岸岡、代わりに競技に出てくれないか?」[pcm]

芽衣子「私が?」[pcm]

真緒「ああ、莉緒はこんなだしな」[pcm]

芽衣子「分かりました」[pcm]

莉緒「………」[pcm]

真緒「莉緒、立てるか?」[pcm]

首を横に振る。[lr]
立てないとなると歩く事もできないだろう。[pcm]

真緒「莉緒、ぼくの背中につかまれ。保健室いくぞ」[pcm]

莉緒「う、うん」[pcm]

芽衣子「………」[pcm]

莉緒を背中で担ぐ。[lr]
状況が状況だけに、さすがの莉緒も素直に従った。[pcm]

真緒「じゃ岸岡、頼んだぞ」[pcm]

芽衣子「お任せを」[pcm]


莉緒をおぶって、冷やかす生徒たちの間をくぐりぬける。[pcm]
『禁断の恋』『莉緒が懐柔された』など、相変わらずの根も葉も無い話が飛びかっている。[pcm]

嫌でも耳にはいるそれらの言葉に、背中の莉緒は無言だった。[pcm]

痛くてそれどころじゃないんだろうか?[lr]
今、莉緒は何を考えているんだろう……[pcm]

莉緒「………」[pcm]


 Back    Next




タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2010年07月19日 08:23
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。