シナリオ 寮長ルート 7月17日(火曜日)・その2
寮長の告白
寮長「信じられないかもしれませんが、私は」[plc]
真緒「………」[plc]
寮長はそこで言葉を止めた。[lr]
まだ言おうか言わないか迷っているんだろう。[plc]
ぼくは何もいわずただ寮長の言葉を待っていた。[plc]
やがて決心したのか、寮長が口を開く。[plc]
寮長「私は、私は能力者なんです」[plc]
真緒「……能力者」[plc]
そう言われても特に驚きはしなかった。[plc]
それは、光を放つ寮長を目の当たりにしていた事や、
あの変な化け物と戦う姿を見ているからだ。[plc]
寮長「はい、人や土地に取り憑く魔物を退治できる力を持ってるんです」[plc]
真緒「それじゃ、昨日のやつは」[plc]
寮長「学園にいた魔物です」[plc]
真緒「そうだったんだ」[plc]
寮長「驚かないんですか?」[plc]
真緒「え? いや、だって二回も見てるしさ」[plc]
寮長「え?」[plc]
真緒「寮長から光が出てる所をね。
話だけなら驚くっていうより信じられなかっただろうけど」[plc]
寮長「そうですね。先生は見てるんですよね」[plc]
真緒「でもなんか可笑しいよね」[plc]
寮長「可笑しい、ですか?」[plc]
真緒「いやだってさ、莉緒たちがあんな事言ってるけど
あいつらは妄想だけで、実は寮長が本物なんてさ」[plc]
寮長「そう……ですね」[plc]
真緒「あいつらが知ったら何て言うだろうなぁ」[plc]
寮長「先生」[plc]
真緒「分かってるって、言わないよ」[plc]
寮長「………」[plc]
真緒「でもこれでスッキリした」[plc]
寮長「……隠していてごめんなさい[plc]
真緒「謝る事ないよ、言ってくれてありがとう」[plc]
寮長「………」[plc]
真緒「ついでに聞いたら答えてくれるかな?」[plc]
寮長「はい?」[plc]
真緒「君の名前を教えて欲しいんだ」[plc]
寮長「え? どうして?」[plc]
真緒「なんで疑問にも思わなかったのか不思議なんだよね。
どの書類にも『寮長』しか書かれてないのにさ」[plc]
寮長「どうして……」[plc]
真緒「どうしてだろうね。ぼく以外はなんの疑問も持ってないみたいだけど」[plc]
寮長「どうして先生は……名前だけじゃない。
あの夜だって、本当は誰も私に気づけないはずなのにどうして!」[plc]
真緒「それは、能力でそうしてるの?」[plc]
寮長「……はい」[plc]
真緒「そうなんだ。ぼくには効いて無かったのかな、はは」[plc]
寮長「………」[plc]
真緒「寮長、そんな暗い顔しないで」[plc]
寮長「先生、私は……皆とは違うんです」[plc]
真緒「一緒だよ、ぼくの生徒だ」[plc]
寮長「………」[plc]
真緒「いや、一緒じゃないか」[plc]
寮長「……ですよね」[plc]
真緒「ぼくは寮長が」[plc]
寮長「先生」[plc]
白い手が伸び、ぼくの口は封じられた。[lr]
寮長は今にも泣き出しそうな顔をしている……[plc]
寮長「……私、飲み物を取ってきます」[plc]
真緒「あ、ああ」[plc]
最終更新:2010年07月15日 22:59