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F-7/24-5

シナリオ 寮長ルート 7月24日(火曜日)・その5

 好きだから…



私は一人、夕暮れを見ていた。[plc]
本当は私が所属する機関へと戻り、
次の任務のことを聞かなければならなかったけど、どうしてもすぐに足が向かない。[plc]

気持ちの整理が、まだついてないから……[plc]

目を閉じて気持ちを落ち着かせようと思っても、
どうしてもみんなが、先生が浮かんでくる。[plc]

今まで色んな人と関わってこうして別れてきたけど、こんな事は無かった。[plc]

どうして先生だけが、私の心の中に残るんだろう。[plc]

至って平凡で、どこにでもいそうな人じゃない。[plc]
ううん…優柔不断で女の子にデレデレして、
ちっとも、ちっともかっこよくなんかない。[plc]

……そんな風に悪く思っても、どうしても駄目だった。[plc]
本当に普通の人だけど、でも、あの優しい瞳……[plc]

いつも私を見てくれたあの優しい瞳が私は好き。[plc]
私を呼んでくれるあの声も、肩を叩いてくれるあの小さな手も。[plc]

先生だけが私に気づいてくれた。[lr]
先生だけが私を笑顔にしてくれた。[lr]

やっぱり私は、私はもう一度……[plc]

寮長「だめ、だめよ……」[plc]

私がこの気持ちを先生に伝えて、先生が答えてくれて、
でもその後はどうなるの?[plc]

きっと先生は私のせいで色んなことに巻き込まれる。[plc]
そのことでいつか先生に嫌われるかもしれない。[plc]
また怪我を負うようなことになるかもしれない。[plc]

だから、抑えなきゃ。[lr]
この気持ちを殺さなきゃ……[lr]
じゃないと私は生きていけない。[plc]

早く先生を……忘れよう。[plc]


真緒「寮長!!」[plc]

寮長「え?」[plc]


聞こえるはずの無い声。[lr]
空耳かと疑ったけど、振り向いたその先に彼がいた。[plc]

真緒「はぁ…はぁ……良かった……逢えた」[plc]

寮長「………」[plc]

私を…探してた?[lr]
走ってここまで来たの? 私を探して?[lr]
どうしてここが? どうしてここに?[plc]

真緒「寮長……帰ってきてくれ」[plc]

寮長「………」[plc]

真緒「お願いだ……帰ってきてくれ!」[plc]

寮長「……どうしてここが?」[plc]

真緒「ばあちゃんに聞いたんだ、まだここにいるはずだって」[plc]

寮長「学園長ですか」[plc]

真緒「ああ、そんな事よりどうしてだ? どうして寮を出るんだ? そんな必要なんて無いだろ?」[plc]

真緒「学園でお化け退治が終わったらそれでサヨナラなんて、
寮長はそんな人間じゃないだろ」[plc]


……好きだから、先生が好きだから離れたいのに。[plc]
どうして、どうして分かってくれないの……[plc]

せっかく忘れようって、そう決めかけたのに……[plc]
お願い先生、私を想うなら、もう姿を見せないで……[plc]

寮長「………」[plc]

真緒「寮長!」[plc]

寮長「……私はそんな人間ですよ」[plc]

真緒「違う!」[plc]

寮長「先生がどう思っても私は本来、冷めた人間なんです」[plc]

真緒「嘘だ! そんな人間じゃない!」[plc]

寮長「わ、私は……」[plc]

真緒「ぼくは知ってる。君が何かと莉緒たちの力になってあげてた事を」[plc]

寮長「……演技です」[plc]

真緒「夜中まで勉強を見ていた事、相談にのってあげてた事、ぼくは知ってる」[plc]

寮長「だからそれは……」[plc]

真緒「莉緒たちだけじゃない、クラスの子だってみんな君を頼ってた」[plc]

真緒「ぼくだってそうだ、授業が出来なくて落ち込んでた時に君が励ましてくれたから頑張れたんだ」[plc]

寮長「………」[plc]

真緒「君が本当に冷めた人間ならそんな事はしない」[plc]

寮長「………」[plc]

閉じた心の扉を、先生が強く強く叩いてくる。[lr]
気持ちの赴くままに開けてしまいたい。[lr]
でも、それは駄目。[plc]

綺麗に別れたかったのに、どうして、どうして……[plc]
先生のために、私は──[plc]


寮長「……話はそれだけですか?」[plc]

真緒「え?」[plc]

寮長「これから機関へと戻りますので。失礼します」[plc]

真緒「ま、待って」[plc]

寮長「もう話す事はありませんけど」[plc]

真緒「その機関って所にぼくもいくよ」[plc]

寮長「行ってどうするんです?」[plc]

真緒「寮長が普通の生活を送れるように頼む」[plc]

寮長「私は別に無理強いさせられてるわけじゃありませんよ」[plc]

真緒「ああ、ばあちゃんから聞いてる。
でも君がそこにいる限り君はいつまでも一人のままだ」[plc]

寮長「………」[plc]

真緒「だからぼくは」[plc]

寮長「勝手な人、最低」[plc]

真緒「え?」[plc]

寮長「私の事を何も知らずに好き勝手言って、自分に酔ってませんか?」[plc]

真緒「ぼ、ぼくは君を助けたいんだ」[plc]

寮長「私は先生に助けてなんて言ってませんけど?」[plc]

真緒「君が言わなくても、ぼくは君を助けたいんだ」[plc]

寮長「先生が私を助ける? ふふ」[plc]

真緒「どうして笑うんだ」[plc]


寮長「先生、先生にこんな力はありますか?」[plc]

真緒「………」[plc]

寮長「学園長に何を言われたのかは知りませんけど、勘違いは止めて下さい」[plc]

真緒「勘違いって……そんな」[plc]

寮長「邪魔なんです」[plc]

真緒「……邪魔?」[plc]

寮長「言葉通りです。さよなら」[plc]

真緒「りょ、寮長」[plc]


彼に背中を向け、私は歩き出した。[lr]
きつい言葉を吐いた時の彼の顔……[plc]

胸が、痛い。[lr]
できるなら、あんなこと言いたくなかった。[lr]
嫌われたくなかった。[plc]

でもこれで……先生も諦めてくれる。[lr]
私もこのまま忘れることができるんだ。[plc]

……さぁ行こう、私の道へ。[plc]


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最終更新:2010年07月15日 23:15
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