F-7/25-5

シナリオ 寮長ルート 7月25日(水曜日)・その5

 悪夢の始まり


禍々しい。[plc]
こんな憎悪に満ちた空気は初めてだった。[plc]

建物全体が陰鬱な影の中にすっぽり入っている。[plc]
至る所で目につくのは、成仏できていない可愛そうな子たち。[plc]

制服を着ている姿から、この学園の生徒だったことが想像できた。[plc]
どの子も怯え、何とも言えない瞳で私を見つめてくる。[plc]

きっとここのボスに殺され、そして死後もまた支配された子だ。[plc]
この子たちを救うためにも、私は奴を必ず仕留めなければ。[plc]

──発狂、そして死に至る。[plc]

それだけの情報から、できる限りの考察を行う。[plc]

発狂……いったいどういう風にそうさせるの?[lr]
肉体に入り込み、内側から被害者を操る?[lr]
そして、それと自我のせめぎ合いで発狂……[plc]

あるいは幻覚を見せてくる?[plc]

分からない。[plc]
ただ言えるのは、気を強く持って挑まなきゃ私も──[plc]





真緒「ここ?」[plc]

奏「そだよ」[plc]

真緒「あ、ほんとだ。開いてる」[plc]

北上に連れてこられた校舎の端。[lr]
たしかに窓が開いていた。[plc]

真緒「よく見つけたな」[plc]

奏「へへ」[plc]

真緒「中には入ったのか?」[plc]

奏「え? 入ったかな?」[plc]

真緒「かな?」[plc]

奏「いいじゃん。入ろうよ」[plc]

真緒「あ、ああ」[plc]

せえら「カ、カナちゃん!!」[plc]

八十記がそこにいた。[lr]
驚いたが、ぼくよりも八十記の方が驚いている。[plc]

真緒「八十記、お前もここに来たのか?」[plc]

奏「………」[plc]

せえら「な、なんでカナちゃんとセンコーが一緒にいますの……」[plc]

真緒「おい八十記、どうしたんだ? 何に怯えてるんだよ?」[plc]

奏「せえらちゃんは怖がりだから……」[plc]

真緒「まぁ、それとは別にここは怖いと思うよ。
でもそんなに怯えなくてもさ」[plc]

せえら「………」[plc]

得体の知れないモノを見るような、八十記のあの目が気になる。[plc]
そしてぼくと北上を交互に見回し、小さな声で何かつぶやいている。[plc]

真緒「北上、八十記はどうしてここに? 一緒に来てないんだろ?」[plc]

奏「さぁ」[plc]

真緒「さぁって……」[plc]

せえら「セ、センコー」[plc]

真緒「どうした?」[plc]

奏「………」[plc]

せえら「は、早くワタクシとここを離れますわよ!! いいですわね??」[plc]

ぼくにというよりは、自分自身に言い聞かせている様な言葉だった。[plc]

真緒「ごめん、それはできない」[plc]

せえら「ど、どうしてですの!? 早くしなさい!!」[plc]

ヒステリックに八十記は叫ぶ。[lr]
……様子がおかしい。[plc]

せえら「早くカナちゃんから離れるんですわ!!」[plc]

真緒「北上から? なんで?」[plc]

奏「妬いてるんだよセンセ」[plc]

せえら「なにを言ってますのカナちゃん! 自分のしたことを分かってますの!」[plc]

真緒「何を言ってるんだ……?」[plc]

奏「……聞いちゃダメ」[plc]

せえら「センコー! こっちへ、こっちへ来るのですわ! ワタクシと二人でここを出ますわよ!」[plc]

奏「………」[plc]

真緒「それはできない……まだ帰る訳にはいかないんだ」[plc]

せえら「そ、そんな……」[plc]

奏「アハハハハハ、ほんと笑えるし」[plc]

真緒「北上?」[plc]

場に相応しくない突然の笑い声だった。[lr]
感情のこもってない機械的な笑い方……[plc]

そして何より目が、目が笑ってないんだ……[plc]

奏「邪魔だってことだよせえらちゃん」[plc]

せえら「な!」[plc]

奏「センセにはアタシの他はいらないの。アタシだけを見てアタシだけを好きでアタシだけを愛してくれてるの」[plc]

奏「せえらちゃんのつけ入る隙なんてまったく無いし」[plc]

真緒「北上……お前も何言ってるんだ……」[plc]

せえら「センコー早く…早く逃げて……」[plc]

奏「うるさいなぁ……邪魔だよせえらちゃん。
ねぇセンセ、アタシも邪魔だし良いよね?」[plc]

真緒「え?」[plc]



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最終更新:2010年07月15日 23:42
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