シナリオ 寮長ルート 7月25日(水曜日)・その7
岸岡への疑惑
阿部…高…の後ろ?[lr]
誰…だ……[plc]
芽衣子「………」[plc]
芽衣子「……様……緒様」[plc]
真緒「……ん?」[plc]
芽衣子「ああ……良かった」[plc]
気がつくと目の前に岸岡がいた。[plc]
……ぼくはさっき阿部高に首を絞められて、それからどうなった?[plc]
真緒「ぼくはいったい……」[plc]
芽衣子「意識を失われていたんです。本当に危ない所でした」[plc]
真緒「意識を」[plc]
芽衣子「はい」[plc]
真緒「……じゃあ、岸岡が助けてくれたんだ」[plc]
芽衣子「当然のことをしたまでです」[plc]
真緒「いや……ありがとう」[plc]
芽衣子「真緒様」[plc]
真緒「……阿部高は、阿部高はどうしたんだ?」[plc]
芽衣子「……あちらに」[plc]
スッと指をかざしたそこに、阿部高が倒れていた。[plc]
芽衣子「あれは阿部高さんではありません」[plc]
食い入るように見ている横で岸岡がそう言った。[plc]
阿部高では無い。[lr]
その言葉を疑う余地は無かった。[plc]
それは、目の前で阿部高の体が溶けていっているからだ……[plc]
明らかに人間では無い事が分かる。[lr]
だとしたら、こいつはいったい?[plc]
芽衣子「偽者ですね」[plc]
真緒「………」[plc]
阿部高は偽者だった。[lr]
じゃあ……岸岡はどうなんだ?[plc]
そう聞きたいが、恐ろしくて聞けなかった。[lr]
ぼくがこの目と耳で判断するしかない。[plc]
芽衣子「真緒様? どうかなされたのですか?」[plc]
真緒「いや……」[plc]
芽衣子「なぜそのような目で私を……」[plc]
真緒「………」[plc]
芽衣子「まさか真緒様……私を疑っているのですか??」[plc]
真緒「………」[plc]
ぼくは答えなかった。[lr]
それは、イエスと言っているようなものだ。[plc]
芽衣子「そんな……私は……真緒様を……」[plc]
芽衣子「……うう、私は、私はどうしたら」[plc]
真緒「岸岡」[plc]
泣いているのか、目を押さえ体も小刻みに震えている。[plc]
この子は本当に岸岡?[lr]
いや、そうだという確信がまだ無い。[plc]
だから疑いを捨てちゃいけない。[plc]
芽衣子「……うう」[plc]
真緒「岸岡すまない……ぼくも混乱してるんだ」[plc]
芽衣子「………」[plc]
芽衣子「……そう、なのですか?」[plc]
真緒「ああ」[plc]
真緒「とにかくここを離れよう。気味が悪い……」[plc]
阿部高の偽者に目を配る。[lr]
岸岡もコクリとうなずいた。[plc]
真緒「岸岡、寮長と莉緒を見なかったか?」[plc]
芽衣子「いえ……」[plc]
真緒「くそ! どこにいるんだ!」[plc]
芽衣子「………」[plc]
ここに来てしばらく経つのにまだ見つけられない。[plc]
その事に焦りを覚える。[plc]
それに加え、北上にどこかで遭遇するかもしれないという恐怖感。[plc]
心臓が……張り裂けそうだ。[plc]
芽衣子「真緒様」[plc]
真緒「なんだ!」[plc]
芽衣子「怒らずに聞いてください」[plc]
真緒「ぼくは怒ってない」[plc]
芽衣子「……寮長か寺井莉緒かは分かりませんが、私がさ迷っている時、屋上で人影を見たのです」[plc]
真緒「屋上?」[plc]
芽衣子「はい、気のせいかもしれませんが……ここまで校舎を歩いてきても見ていないということは」[plc]
真緒「いるかもしれないな! 行こう」[plc]
最終更新:2010年07月15日 23:48