シナリオ 阿部高ルート 7月31日(土曜日)・その2
中二病再び
二度目の阿部高家は、相変らず立派なたたずまいでぼく等を迎えてくれた。改めてお嬢様なんだと思い知らされるな。
真緒「着いたな」
和「……うん」
真緒「なんだ? 元気ないな?」
和「い、いや、俺は元気だぜ!」
真緒「俺?」
和「あ、ああ! さぁ行こうかキミ!」
真緒「あ、ああ」
和「母さん! 帰ったぜ!」
ドアを開けて中に入ると、阿部高は大声で言った。
そしてすぐに足音が聞こえ、安部高の母が出迎えてくれる。
和の母「おかえり、なごみ」
和「ああ、ただいまだぜ」
和の母「要先生もおかえりなさい」
真緒「あ、はい、ただいま帰りました」
和「なーにテンパってるんだい」
真緒「い、いや」
和の母「ふふ、お茶でも入れてくるわ。リビングで待ってて」
そう言って、阿部高の母は奥へ消えていった。
和「さ、俺たちも行こう」
真緒(中二病がまた……)
和「どうしたい?」
真緒「ああ、行こう」
和「おう」
真緒「………」
和「ふぅ、やっぱり落ち着くぜ」
真緒(相変らず凄い部屋だな)
和「どうだい? 慣れたかい?」
真緒「慣れたって、何が?」
和「この家さ」
真緒「慣れるも何も、二回目だしさ」
和「そうだったな。でも慣れておいてもらわないと困るぜ」
真緒「何で困るんだ」
和「おいおいキミぃ、ここはキミの未来の家じゃないか」
真緒「………」
和「ま、ここじゃなくてもどこでも良いんだがな」
真緒「ひ、引っ付くなって……見られるだろ」
和「もう見られてるんだぜ」
真緒「え?」
いつのまに来ていたのか、阿部高の母はにこやかにぼく等を見つめていた。
和の母「ふふ、仲が良いのね」
真緒「い、いえお母さん、これはその……」
和の母「ふふ、私は嬉しいわ」
真緒「す、すいません」
和「なぜ謝るんだい」
和の母「そうそう和、今は夏休みなんでしょ?」
和「ああ」
和の母「それじゃ、しばらくゆっくりしていけるわね」
和「い、いや、それが」
真緒「……明日には帰ろうかと」
和の母「あら? こんな遠くまで来たのに?」
和「まぁ、また来るからさ……」
和の母「ゆっくりしていきなさいよ。ね、先生も?」
和「か、母さん」
真緒(………)
考えたら、こんな遠い所に母親がいるんだよな。
会いたいと思ってもすぐに会えない所に……
それにもうこんなになってしまったんだ。
どうせ怒られるだから、一日二日は大差ないな。
真緒「あの、お言葉に甘えさして貰っても?」
和「キミ!?」
和の母「ええ、嬉しいわ」
和「良いのかい!?」
真緒「うん、ここまで来たんだしさ」
和「そうか、ありがとう。実は俺も……すぐ帰るつもりだったんだが、帰ってくるとな」
真緒「うん、分かるよ」
和の母「さぁ二人とも、どうぞ飲んで」
和「さ、飲もうぜ」
真緒「はい、いただきます」
和「ん、美味い」
和の母「ありがとうなごみ。でも座って飲みなさい」
和「それより母さん、一昨日凄い事件に遭遇したんだぜ」
和の母「えぇ!? 事件??」
和「それは」
温かな光が差し込むリビングでの、団らんの時間。
阿部高がまた中二病を発症させた事を気にしながら、
ぼくは二人の話を聞いていた。
最終更新:2010年07月14日 23:48