シナリオ 阿部高ルート 7月31日(土曜日)・その5
月が綺麗
部屋の電気を消して、阿部高が起きないようにそっとドアを閉めた。
さてと……
和の母「あら、先生」
真緒「あ」
和の母「和は寝ちゃった?」
真緒「ええ、疲れてたのかグッスリです」
和の母「ふふ、はしゃいでたものね。久しぶりだわあんな和の姿。
先生のおかげかしらね」
阿部高の中二病。
頭の中はそれだけで、気の利いた返事を返せない。
良い機会だ、お母さんに聞いてみよう。
真緒「お母さん、あの」
和の母「ねぇ先生、少し話でもしません?」
真緒「え? あ、はい、ぼくも聞きたい事がありますので」
和の母「あら? それじゃテラスにでも行きましょうか」
和の母「ここよ」
広々としたテラスへと案内される。
廊下からの光と、月が綺麗に出てるおかげで、お互いの顔がハッキリと見えた。
和の母「月が綺麗ですね」
真緒「ええ」
和の母「っていう言葉の意味、先生は知ってますか?」
真緒「え? 月が綺麗って意味じゃ?」
和の母「昔、文学者がある英語をこう訳したそうです」
真緒「英語を」
和の母「ええ、歌や映画で馴染みのある言葉です」
真緒「え、なんでしょう?」
和の母「ふふ、アイラブユーだそうです」
真緒「え? なんだかずいぶん遠まわしな訳というか……」
和の母「ええ、でも素敵ですよね」
真緒「たしかに……凄く繊細というか」
和の母「和もこの言葉が好きで、いつか使いたいなって」
真緒「へぇ……」
真緒(そう言えば……)
和の母「とても繊細で女の子らしい子でした」
真緒「でした、なんですね」
和の母「………」
真緒「実は、阿部高のその事をお聞きしたくて」
和の母「……ええ、分かっています」
最終更新:2010年07月14日 23:53