シナリオ 阿部高ルート 8月1日(日曜日)・その2
小さな背中を抱きしめて
昨晩ここで聞いた事が、まだ頭の中を巡っている。
ぼくは……どうしたらいいんだろう。
阿部高の中二病を治したいと、そうずっと思ってた。
でもその理由が家族の関係に及んでいるとなると、
果たしてぼくがでしゃばってもいいのだろうか……
和「お、ここにいたんだな」
真緒「ん、おはよう」
和「ああ、おはよう」
おはようと言って、阿部高が男口調でおはようと返す。
いつもの光景だけど、以前の様に阿部高を見れない。
和「どうしたい? 元気ないな?」
真緒「いや」
和「ん? 物思いにふけっていたのか?」
真緒「うん……」
和「ふ、男には自分の世界があるからな」
真緒「……そうだな」
和「なんだ? 大丈夫か?」
真緒「あ、ああ」
和「まぁ、ここは景色が最高だからな。そうなるのも無理はないが」
阿部高は手すりに身を寄せて、景色を眺め始めた。
ぼくはその小さな背中に向けて言った。
真緒「なぁ、阿部高」
和「なんだ?」
真緒「お父さんは好きか?」
和「………」
少しの沈黙を挟んで、背を向けたまま阿部高は答える。
和「急にどうしたんだ?」
真緒「昨日お母さんと話したんだ。
それで阿部高のお父さんの事、とても男らしい人だって聞いてさ」
和「……ああ、そうだったみたいだな」
真緒「覚えてないのか」
和「あんまり、な。母さんから聞いただろ? 父さんがいなくなった時はまだ小さかったしな」
真緒「………」
和「でもな、おんぶしてもらった時の大きな背中と、
でっかい手だけは今もよく覚えてるんだぜ」
和「小さい頃さ、俺は泣き虫だったんだ。
だからいつもおんぶしてもらってた気がするぜ」
和「それでもう泣くなよって、頭をなでてくれて。
へへ、今の俺からは想像もつかないだろ?」
真緒「ああ……」
和「おっと、恥ずかしい過去を話しちまったな」
真緒「恥ずかしくなんか……」
★8/1
真実を知った真緒が和を抱きしめる場面
- 阿部高家のテラス、昼
- 和の中二病の理由を知った真緒、いつものようにふるまう和にいてもたってもいられず背中から抱きしめる場面
- 和は私服。
- 背中から抱きしめる構図・和の横顔って感じですかね
- 真緒の服は自由にお願いします(各ルートパラレルなので)
- 表情及び差分は、(驚き→哀→照れ)です
○狙い・・真緒が和を好きになった瞬間
○時間・・日中
○場所・・阿部高家、テラス
○人物・・和(真緒?)
○服装・・私服
○表情・・上記に
○構図・・上記に
○
シナリオ実例・・以下
和「い、いきなりどうしたんだ!」
真緒「分からないけど……こうしたかった」
和「な、なんだ、それは?」
真緒「嫌?」
和「い、嫌じゃない……けど、ここは家だぜ。
か、母さんに見られるよ」
真緒「見られても良いよ」
和「し、しかし、キミは仮にも教師だからな!
そ、それにこんな所母さんに見られたら……」
真緒「お母さんは悲しまないよ」
口に出せない言葉の続きを、ぼくは言った。
和「え?」
真緒「………」
和「ど、どうしちゃったの? な、なんでイキナリ……」
真緒「分からない」
そう口に出してみたが、本当は分かっていた。
阿部高を一人の女の子として見ている事を。
和「こ、こんな、突然……」
真緒「嫌なら……放すよ」
和「い、嫌じゃないよ! ビックリしたんだよ!
キミがいきなりこんなことするから……」
真緒「キミじゃなくて、先生だろ?」
和「あ……」
和「……うん」
和「ついに先生も折れたんだね」
真緒「折れた?」
和「男好きになってくれたんだよね」
真緒「そうだな……そうかもしれないな」
和「ふふ」
ここが阿部高の家だという事も忘れて、
その小さく華奢な体を抱きしめた。
このまま、本当の事を言ってしまいたい。
でもそれはしちゃいけない気がする。
だから、せめて──
※一旦CG切り、CG終わりは次ファイル
和の母「………」
最終更新:2010年11月07日 10:20