D-7/25-3

シナリオ 岸岡ルート 7月25日(水曜日)・その3

 やんでれる



双葉「ええっと……ちょっと待って下さいね」

真緒「ええ、いくらでもお待ちしますよ」



真緒「ん?」

双葉「あ、岸岡さん?」

真緒「え」

ドアが開き、入ってきたのは岸岡だった。
虚ろな表情で職員室を見渡している。
そしてぼくらを見つけ、こっちへ歩いてきた。

真緒「き、岸岡?」

芽衣子「………」

双葉「あ、岸岡……さん?」

岸岡が来た事もそうだが、ぼくと音河先生が聞き返したのはその表情のせいだ。
暗く冷めた瞳で、音河先生をにらみつけている。
こんな顔……初めてだ。

真緒「岸岡、どうしたんだ?」

芽衣子「わたさないわたさない」

真緒「お、おい」

芽衣子「わたしのまおうさま」

双葉「あ、あの……」

芽衣子「まおさまはわたさないぜったいにぜったいに」

どこか異常な岸岡に、ぼくも音河先生も言葉を失っていた。

芽衣子「まおさまだけはぜったいに……」

双葉「あ、あの、岸岡さん、私は別にそんな……」

真緒(……敵意というか殺気すら感じるな)

真緒(とにかくここから離れよう。
このままだと襲いかかりそうな勢いだ)

真緒「岸岡、帰ろう」

芽衣子「………」

真緒「岸岡!」

芽衣子「は、はい、おこらないでおこらないで」

真緒「あ、いや、怒っては」

芽衣子「す、捨てないで捨てないで……」

双葉「………」

真緒「……大丈夫だから、ほら帰ろ」

芽衣子「うぅ……」

真緒「すいません音河先生、一旦寮に帰ります」

双葉「は、はい」






芽衣子「……んん」

真緒「………」

ぴったりと寄り添いながら歩くぼくたちは、
知らない人からすれば仲の良いカップルに見えるのかもしれない

いや、岸岡自身はたぶんそういう風に接してきているんだろうと思う。
だから音河先生にあんな顔をしたんじゃないかって、そう考えてる。


芽衣子「まおさまぁ」

真緒「………」

真緒(この子の好意は嬉しい、嬉しいけど……)

真緒(ぼくは、ぼく自身の気持ちはどうなんだろう……)


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最終更新:2010年07月17日 00:12
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