シナリオ 岸岡ルート 7月29日(金曜日)・その2
静かな場所が好き
芽衣子「真緒様!」
真緒「岸岡」
芽衣子「真緒様! 今か今かとお待ちしておりました」
興奮しているのがよく分かる。
遠足前の子どもみたいだ。
真緒「そっか、それじゃ行こうか」
芽衣子「芽衣子の方は大丈夫ですが、真緒様の方はよろしいのでしょうか?」
真緒「ああ、荷物も特に無いしね」
芽衣子「では」
真緒「うん、行こう」
芽衣子「はい!」
岸岡と旅館を出てとりあえず駅に来る。
実は、どこへ行くのかまったく決めていなかったのだ。
芽衣子「駅ですか、汽車に乗るのですか?」
真緒「あ、いや、そうじゃないんだけど、ここからどこ行くか決めようかなって」
芽衣子「ここから」
真緒「うん、駅の観光案内とかのチラシ見たりして決めようかなって」
芽衣子「なるほど、さすがは魔王様」
真緒「いや、ちゃんと決めとけば良かったね」
芽衣子「しかし真緒様、旅館の女将に聞いたのですが、
この付近は特にこれといった場所はないようです」
真緒「あれ、そうなの?」
芽衣子「はい、観光地といえば数時間かかるような場所ばかりらしいのです」
真緒「んん、時間かかってちゃ行くだけになっちゃうよな」
芽衣子「……私は真緒様と一緒なのが重要ですからどこでも」
真緒「ありがと、でもせっかくだからね」
岸岡を喜ばせるためでもあったけど、
自分が観光をしたいという気持ちもあったので、
ぼくはチラシを手にとって行く先を思案した。
真緒「んーここは遠いな、ここから二時間」
芽衣子「他の場所も似たような時間がかかるようですね」
と、一緒にチラシを見ながら岸岡が言う。
確認してみると、たしかに所要時間が数時間ばかりのチラシだった。
真緒「まいったな」
芽衣子「………」
真緒「地元の人だけが知ってる名所~ってのが、近場で絶対あると思うんだけどな」
真緒「駅員さんに聞いてみようか?」
芽衣子「………」
真緒「岸岡?」
芽衣子「真緒様は、どこか行きたい場所がおありですか?」
真緒「いや、別にないよ。良い場所があればそこにって感じだったしね」
芽衣子「………」
真緒「ん、岸岡はある?」
芽衣子「実は……女将から聞いたのですが、旅館の近くに静かで綺麗な神社があるというのです」
真緒「へぇ、神社ね」
芽衣子「ま、真緒様が嫌でないのなら、散歩でもしながらそこに……」
真緒「うん、仏閣巡りは好きだしな。ぼくは全然良いけど、岸岡は良いのか?あんまり面白くないんじゃない?」
芽衣子「そんな事はありません!
観光地等の人ごみよりも、私は静かな場所が好きなのです」
真緒「そっか、たしかに人ごみは疲れるからな」
芽衣子「………」
真緒「旅館に近いんだったらゆっくりできるしね。
よし、そこに行こう」
芽衣子「はい!」
最終更新:2010年07月17日 00:41