シナリオ 7月26日(木曜日)・その4
八十記の行方
ドアを開けている途中ですでに分かった。
部屋の電気がついていない、つまりいないという事が。
真緒「いないな」
奏「いないみたいだね」
寮長「ですね。気配もありませんし」
真緒「参ったな」
奏「せえらちゃん、どこ行ったんだろ……」
寮長「心配ですね……」
真緒「………」
和「おーい!」
芽衣子「真緒様!」
莉緒「ちょっと真緒くん!」
真緒「お、どうした」
和「今、電話かかってきたぜ」
真緒「八十記からか? なんて?」
芽衣子「それが」
和「今日は帰らないって」
真緒「帰らない? 実家にでも行ったのか?」
莉緒「違うみたいよ」
和「実家にかけたんだが、帰ってないってよ」
真緒「じゃあ、どこなんだ?」
芽衣子「真緒様、電話の声から予想しますとおそらく八十記さんは外にいました」
真緒「外?」
芽衣子「車の音等が聞こえましたから」
真緒「外か……もしかしたら近くにいるかもしれないな」
和「だといいがな」
奏「ねぇセンセ、探してみようよ」
寮長「そうですね。心配ですから」
真緒「分かった、学園敷地と外周を探そう」
和「ああ、行こうぜ!」
芽衣子「御意」
莉緒「しょうがないわね」
奏「さがそ!」
寮長「ええ」
そして、一時間程経っただろうか。
全員で手分けして探してみても、八十記の姿はおろか人一人見当たらなかった。
真緒「見つからないな……」
奏「うん」
寮長「………」
和「ああ、だが心配することはないかもしれん」
莉緒「どうしてよ?」
和「連絡はあったんだしな」
芽衣子「うむ」
真緒「まぁ、そうだな。
メイド長もついてるだろうしな」
奏「どこ行ったんだろ……」
寮長「友達の所かもしれませんね」
真緒「ま、たぶんそんな所だろうな」
和「ああ、大したことじゃないだろ」
真緒「よし、それじゃ」
莉緒「お腹空いたわ」
真緒「うん、戻ろう。明日戻ってきたらぼくが聞いてみるよ」
奏「うん」
和「じゃ、帰るか」
真緒「ああ、みんなご苦労」
しかし、八十記はいったいどこに行ったんだろう。
本当に友達の所なんだろうか。
明日聞けば分かる事だけど、この所の不機嫌さを思い出した時、
どうも嫌な予感がしてならない……
最終更新:2010年07月19日 22:33