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シナリオ 7月28日(土曜日)・その1

 お嬢様の帰宅


※寮、食堂
※チュンチュン


真緒「……朝」

眩しい日差しに気がついて目を覚ます。
八十記を捕獲するため食堂で寝たのはいいが、体が痛い。

真緒
「あてて……やっぱ部屋で寝た方が良かったかな」

奏「すーすー」

食堂で夜を明かしたのはぼくだけじゃなく、北上もだ。
八十記を心配してるから付き合ってくれたんだろうけど、
深夜に延々と聞かされた話はすべてロックについてだった。

……ただオールがしたかっただけのような気がしないでもない。

真緒「さて」

寝ている北上と食堂を見る。
まだ誰も降りてきていなかった。

それはいいが、八十記は帰ってきているんだろうか。
寝ている間に帰ってきて部屋にいるのか、それともまだ……

せえら「あら? なにをしてますの? カナちゃんが寝てますわね」

真緒(来た!)

真緒「八十記! お前!」

せえら「朝からうるさいですわよ」

真緒「また夜遊びか!」

せえら「オールですわね。ふふふ」

真緒「どこで何をしていたんだ? 今日は絶対に言ってもらうぞ」

せえら「そんなことより、センコーこそなにをしてますの?
まさかカナちゃんとここでずっと話でもしてましたの?」

北上に掛けられている薄いシーツの布団を見ながら八十記は言った。

真緒「二人で待ってたんだよ」

せえら「誰をですの?」

真緒「八十記に決まってるだろ」

せえら「あら、そうなんですの……」

真緒「北上、八十記が帰ってきたぞ! 起きろ」

奏「ん……後五分」

せえら「ふふ、カナちゃんのその様子じゃセンコーもオールしてたわけですわね?」

真緒「い、いや、寝たさ」

せえら「隠さなくてもよろしいですわ。ええ、それでこそワタクシの舎弟ですわね。
それと……やはり上がしっかりしていますと自然とね、ふふ」

真緒「な、何を言ってるんだ?」

せえら「子どもは親を見て育つといいますわ。ふふ、良い傾向ですわね」

真緒「どうしたんだよ八十記? 最近変だぞ?」

せえら「と思ったらこれですわ」

真緒「おい八十記」

せえら「まぁいいですわ。まだ夏休みは始まったばかりですし」

真緒「お、おい」

せえら「ではワタクシもこれから寝ますので。センコーも良い夢を」

真緒「待て八十記!」

せえら「メイド長、後は頼みますわよ」



真緒「うわっ」

突如現われたメイド長に行方を阻まれる。
そして、その隙に八十記は食堂を出ていってしまった。

くそ、絶対に聞いてやろうと思ったのに……

真緒「メイド長どいて下さい、あいつが部屋に入る前に捕まえたいんです」

メイド長「申し訳ありませんが、お嬢様の命令ですので」

真緒「……じゃ、代わりに答えて下さい。
八十記は何をしているんですか?」

メイド長「………」

真緒「言えないような事なんですか?」

メイド長「そんな事では……」

真緒「じゃ、何ですか!」

メイド長「………」

あのメイド長に対して、こんなにも強気に出てる自分に驚く。
寝不足と朝食前で気が立っているせいなのか、
生徒を心配するあまり興奮しているのか自分でもよく分からない。

反対に、メイド長は冷静というより弱々しかった。
八十記のお守りで疲れているのだろうか。

真緒「すいません、別にメイド長にあたるつもりでは」

メイド長「分かっています」

真緒「でも、メイド長が言ってくれないなら本人に聞いてきます」


そう言って、メイド長の横を通り抜ける。

てっきり止められると思っていたのに、
メイド長はただ黙って立っているだけだった。

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最終更新:2010年07月19日 22:39
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