7/1-2

シナリオ 7月1日(日曜日)・その2

 再会


校舎とは別の場所にあるその寮へ歩くこと二十分。[plc]
ようやく敷地内の入り口にたどり着いた。 [plc]

しかしまぁ……学園から遠い。[plc]

学園長が言うその『少し問題のある寮』とは、
一般生徒の寮棟とは別の場所にある話だったが……[plc]

たしかに、まるで隔離しているかのような場所にある。[l]
そんなに問題な生徒たちが居るんだろうか。[plc]

やっぱり不良だったり、はたまたマッドなサイエンティストだったり、
電波ユンユンな女の子がいたりするのだろうか。[plc]

……ま、なんとかなるか。[plc]
それに、そんな子を更正させるのが教師の役目だしな。[plc]

??「ああっ!! あなたはっ!!」[plc]

真緒「ん?」[plc]

入り口で意気込んでいたぼくに、
一人の生徒らしい子が話しかけてきた。[plc]

髪の長い、綺麗な子だ。[lr]
でも、なんで木刀持ってんのこの子?[plc]
それと、どこかで見たような……[plc]

真緒「あ、こんにちは。君が案内してくれる子かな?」[plc]

??「あ、あの……お名前は?」[plc]

真緒「あ、そうだね。ぼくの名前は要真緒。[lr]
今日からここの先生なんだ、よろしくね」[plc]

??「ま……お……さま……?」[plc]

??「やっぱりあなたが……」[plc]

少女が今にも泣きそうな顔になる。[lr]
どうしたんだろう?[plc]

真緒「あの、どうしたの? 具合悪いの?」[plc]

??「長い時を越えて、やっと逢えましたね……」[plc]

真緒「え? 前に会ったことあるっけ?」[plc]

??「これは、ご無礼申し訳ありません!! 
もう一度あらためてご挨拶を!」[plc]

真緒「はぁ……」[plc]

??「魔王様、私は貴方の忠実な僕にして冥界の騎士、
岸岡芽衣子(きしおかめいこ)です」[plc]

芽衣子「どうぞ私のことは芽衣子と、そうお呼び下さい」[plc]

芽衣子「ずっと……ずっと魔王様をお待ちしておりました」[plc]

芽衣子「気の遠くなるような年月を……」[plc]

芽衣子「今、ここで再び魔王様に永遠の忠誠を誓います」[plc]

真緒「え、いや、な、何言ってるの?」[plc]

芽衣子「魔王様、お手を拝借させて下さい」[plc]

真緒「あ、あの?」[plc]

芽衣子「失礼します……」[plc]

少女は膝まづくと、ぼくの手を自分の手に乗せた。[plc]
そしてそのまま、ためらう事もなく唇をそっとぼくの手に……[plc]

真緒(え……)[plc]

突然の出来事に、ぼくはただ呆然と様子を見ているだけしかできない。

芽衣子「ん、ちゅぷっ……んんっ……」[plc]

手に温かな感触が広がっていく。[lr]
それと同時に耳に届く音がたまらない。[plc]

初めて会った子にいきなりこんな事……[lr]
しかもこんな可愛い子に……[plc]

何を言ってるのかよく分からない子だけど、男なら嫌な気はしないだろう。[lr]もちろんぼくだって。[plc]

でもなぜだかデジャブのようなものを感じる。[plc]

芽衣子「……契約完了です魔王様」[plc]

静かにそう言って立ち上がると、
少女はなぜか警戒するように辺りを見回し始める。[plc]

そしてぼくは伸ばした手を引っ込めもせずにまだ呆然としていた。

そう、まるで映画のワンシーンのようなこれは……[plc]
劇の練習か何かだろうか?[plc]

もしくは、ちょっとしたイタズラかもしれない。[plc]
いくら何でも本気で魔王だとか言ってるわけじゃないだろうし。[plc]

真緒「……ええと、岸岡さんだったよね?」[plc]

芽衣子「芽衣子とお呼び下さい」[plc]

真緒「あのさ……」[plc]


「も、もう一回……」
「上手な演技だったよ」

もう一回



真緒「もう一回お願いし──」[plc]

って、何言おうとしてるんだぼくは![lr]
そんな事冗談でも言っちゃ駄目だって![plc]

……でも。[lr]
手に伝わるあの感触は……[plc]

芽衣子「魔王様? もう一度ですか?」[plc]

真緒「え? い、いや、言ってない! 言ってないよ!」[plc]

芽衣子「遠慮なさることはないのですよ。[lr]
すべては魔王様の望みのままになんなりと命じて下さい」[plc]

真緒「な、なんなりと」[plc]

芽衣子「はい、手でも口でも……」[plc]

芽衣子「それ以外でも……」[plc]

そ、それ以外って何だ?[lr]
まさか、おっ……[plc]
あああああ、ぼくって奴は何を考えてるんだ![plc]

芽衣子「さぁ魔王様、ここではあれですので私の部屋へ」[plc]

真緒「へ、部屋?」[plc]

芽衣子「はい……」[plc]

真緒「な、なにするんだ……」[plc]

芽衣子「それは……ね?」[plc]

こ、これは……誘惑されてる?[plc]
いや違う。[lr]
これは騙されてるんだ。[plc]

普通に考えて見れば分かる事だ。[lr]
これも本気で言ってるわけじゃないだろう。[plc]

危なく騙されて教師生活が終わる所だった。[lr]
まったく凄い演技だな。[plc]
※↓


※合流

上手な演技


真緒「いや、凄い上手な演技だったよ。[l]いきなりで先生ビックリしちゃったけど、はは」[plc]

芽衣子「演技……ともうされますと?」[plc]

真緒「そ、岸岡芽衣子さんだっけ。君は演劇部か何かなのかな?」[plc]

芽衣子「魔王様? 先ほどからなにを言っておられるのですか?」[plc]

真緒「ほらほら、もう演技はいいからさ。 [lr]
それよりも案内してくれないかな?」[plc]

真緒「ああ、そうそう、寮長さんは君なの?」[plc]

芽衣子「私は冥界の騎士。それ以外の何者でもありません」[plc]

真緒「だからもう演技は」[plc]

芽衣子「私は冥界の騎士です」[plc]

真緒「………」[plc]

芽衣子「………」[plc]

真緒「ほ、本気で言ってるの?」[plc]

芽衣子「私が魔王様に嘘をつけるはずもありません」[plc]

真緒「……ええと、とにかくぼくは魔王じゃなくて先生だからね?」[plc]

芽衣子「………」[plc]

真緒(通じたか?)[plc]

芽衣子「……魔王様」[plc]

真緒「いや、だから……」[plc]

芽衣子「恐れながら、魔王様はまだ覚醒していらっしゃらないようにみうけられます」[plc]

芽衣子「覚醒さえ為されば全ての記憶と力が戻りますゆえ、御安心してください」[plc]

真緒「あ、いや、だから……」[plc]

芽衣子「いえ、魔王様です」[plc]

芽衣子「これより私、岸岡芽衣子とその使い魔がお守りいたします」[plc]

真緒「使い魔?」[plc]

岸岡の視線の先を追う。[lr]
そこにいたのは──[plc]

猫「にゃー」[plc]

真緒「こ、これって猫だよね?」[plc]

芽衣子「使い魔です」[plc]

真緒「ハハ……」[plc]

芽衣子「名はオルトロスです」[plc]

真緒「そ、そうなんだ……」[plc]

猫「にゃー」[plc]

どうみても……普通の猫だよな。[plc]

??「岸岡芽衣子!!」[plc]

芽衣子「この声は──」[plc]

困り果てている所へ飛び込んできた怒鳴り声。[plc]
そして、声の主である女の子がぼくらへ歩いてくる。[plc]

寮長さんだろうか?[lr]
助かった……[plc]

芽衣子「寺井莉緒、貴様……なぜここに」[plc]

現れた少女。[lr]
これまた可愛らしい子だけど……[plc]
怒ってるのか、岸岡をにらんでいる。[plc]

真緒「えっと、君が寮長さんかな?」[plc]

芽衣子「魔王様、この者と口を聞いてはなりません」[plc]

真緒「え?」[plc]

莉緒「魔の匂いを嗅ぎつけていたらここに来たのよ」[plc]

莉緒「ふふん、やっぱりあなたが絡んでいたのね」[plc]

莉緒「新しい監督を冥界へ引き込もうとするなら、このアンブレイラと
あたしが黙っちゃいないわよ!」[plc]

真緒「………」[plc]

こ、この子もか……[plc]

助けがきたかと思えば冥界だの、魔王だのと
岸岡芽衣子と訳の分からない会話を進めている。[plc]

芽衣子
「引きずり込む? ふふっ、笑止」[plc]

莉緒「なんですって!?」[plc]

芽衣子「貴様、この方を誰だと思っている? 我が主にして冥界を治める魔王様ぞ!」[plc]

莉緒「な!? なんてこと……[lr]
じゃあ、この強大な魔の正体は……」[plc]

芽衣子「そう、私ではない。魔王さまだ」[plc]

莉緒「そんな……そんなこと……ありえないわ」[plc]

芽衣子「嘘ではないぞ? この方はまぎれもなく魔王様だ」[plc]

莉緒「……あなた、本当に魔王なの?」[plc]

呆然と二人を眺めていたから、
ぼくの事だと気づくまでに数秒かかった。[plc]

さて……[plc]

当然ながら答えはノーなんだけど、どうもぼくは
二人が余興を見せてくれているような気がしてならない。[plc]

岸岡芽衣子は本気だと言ってはいたが……[plc]

劇の練習でもないのなら、
新任教師の歓迎──のような悪戯なのかなと。[plc]

教師としてどう返すか。[lr]
一緒にのってあげれば少しは親密になるかもしれないが……[plc]

「魔王じゃないんだ」
「ふ…今頃気がついたか」

下の選択肢「今頃~」上は下の合流部


真緒(ちょっとノってみるか)[plc]

真緒「くくく……今頃気がつくとはな」[plc]

莉緒「な!? じゃあ、あなた本当に魔王なのね!!」[plc]

芽衣子「ま、魔王様!! 覚醒なされたのですか!」[plc]

二人のテンションが著しく上がってる。[lr]
ノリの良い子たちだ。[plc]

真緒「ああ……俺は覚醒したぞ!」[plc]

芽衣子「魔王様!!」[plc]

莉緒「な、なんてことなの……」[plc]

莉緒「このままじゃ学園が……いいえ、世界が滅んでしまうわ」[plc]

芽衣子「諦めるんだな寺井莉緒」[plc]

莉緒「バカ言わないで!!」[plc]

芽衣子「ふ、無駄な足掻きをするというわけか。愚かな女だ」[plc]

莉緒「ふふんっ」[plc]

芽衣子「貴様、なにがおかしい? 気でも触れたか?」[plc]

莉緒「ふふ、あなたはまだ知らないようね。使い手の本当の力を……」[plc]

芽衣子「なん……だと?」[plc]

莉緒「できることならこの力は使いたくなかったわ……」[plc]

芽衣子「貴様……なにをする気だ!!」[plc]

莉緒「アンブレイラ……今よ。今こそあの力を使うときよ」[plc]

芽衣子「このプレッシャー……」[plc]

芽衣子「魔王様お下がり下さい!」[plc]

莉緒「ダメよ! 逃がさないわ!」[plc]

芽衣子「く……魔王様には指一本触れさせん」[plc]

莉緒「無駄よ。だって、正義は必ず勝つんだから!!」[plc]

真緒「………」[plc]

つ、ついて行けない。[lr]
どうしようこの状況……[plc]

今さら恥ずかしくなってきた。[lr]
もうこれ以上演技は無理だ。[lr]
この子らにはついていけない。[plc]

正直に言おう。魔王じゃないって。[plc]

真緒「あ、あのさ……二人とも聞いてくれるかな?」[plc]

莉緒「……急に弱々しくなったわね。今頃怖気付いたのかしら?」[plc]

芽衣子「ま、まさか魔王様!? 覚醒が解けてしまわれたのですか?」[plc]

真緒「あ、いや、なんていうか。それ以前の事なんだけどさ」[plc]

莉緒「なに? どういうことなの?」[plc]


※合流

魔王じゃないんだ



真緒「残念ながら魔王じゃないんだ」[plc]

ぼくは言った。[lr]
ノリの悪い先生かもしれないけど、とてもついていけないし仕方ない。[plc]

芽衣子「魔王様!? なにを仰られます!」[plc]

莉緒「……あなた、名前は?」[plc]

真緒「要真緒。明日から君たちの先生だからさ、よろしく」[plc]

真緒「まぁ、君らの先生になるかは分からないけどね」[plc]

莉緒「かなめ……まお? まお……」[plc]

何かを思い出すようにぼくの名前を繰り返している。[l]
いったいなんだろう?[plc]

真緒「そ、どうかした?」[plc]

莉緒「もしかして、真緒くんなの?」[plc]

芽衣子「貴様、なにを言っている……」[plc]

真緒「真緒君? あれ、どこかで会った事あったっけ?」[plc]

莉緒「私だよ? 莉緒だよ!」[plc]

真緒「りお……」[plc]

莉緒「ほら! 小さい頃に遊んだじゃない!」[plc]

真緒「………」[plc]

記憶の片隅を探ってみる。[lr]
……寺井莉緒。……寺井莉緒。[plc]

……思い出した。[plc]
子どもの頃よく遊んでいた一人の女の子に間違いない。[plc]

『りお』と呼んで、妹のように思っていたあの子だ。[plc]

真緒「思い出した! お前あの莉緒なのか!」[plc]

莉緒「きゃー!! 真緒くーーん!!」[plc]

真緒「面影は残ってるけど、ずい分可愛くなってるから気がつかなかったよ」[plc]

莉緒「や~~ん、可愛いだなんて……」[plc]

莉緒「嬉しいな……」[plc]

真緒「でもさ、知ってる子が生徒で心強いよ。これからよろしくな莉緒」

莉緒「真緒くん……」[plc]

真緒「莉緒」[plc]

突然の再会に驚きを隠せない。[lr]
最後に会ったのはいつだったっけな……[plc]

女らしく綺麗に成長した莉緒との再会は、
驚き以上に喜びの方が強いかもしれない。[plc]

真緒「そういえば、その眼はどうしたの?」[plc]

莉緒「あっ、これ? カラコンだよ。[lr]
へへっ、真緒君、これには秘密があるんだよ」[plc]

真緒「何だ? 眼悪くなったとか?」[plc]

莉緒「ううん、違うの。これはねーえへへ」[plc]

真緒「なんだなんだ。教えてくれよ莉緒」[plc]

芽衣子「………」[plc]

莉緒「しょうがないなー。教えてあげる」[plc]

芽衣子「寺井莉緒、貴様……」[plc]

芽衣子「魔王様と旧知の仲なのか?」[plc]

莉緒「……せっかく話してるんだから邪魔しないでよね」[plc]

莉緒「それにね、真緒くんは魔王じゃないんだから!」[plc]

芽衣子「ふふっ」[plc]

莉緒「なにが可笑しいのよ!!」[plc]

芽衣子「貴様がなにも分かっていないうつけ者だからだ」[plc]

莉緒「な、なんですって~!?」[plc]

真緒「お、おい喧嘩はよくないぞ」[plc]

芽衣子「……魔王様は貴様を油断させておく作戦なのだ!」[plc]

芽衣子「それに気づかないとは哀れな小娘よ」[plc]

莉緒「な!? そ、そうなの真緒君!?」[plc]

真緒「いや、ぼくは何も……」[plc]

芽衣子「魔王様、計画を漏らしてしまい申し訳ありません」[plc]

芽衣子「ですが、このような小娘、私一人で十分です」[plc]

莉緒「どど、どういうことなの?」[plc]

莉緒「真緒くんじゃないの? 魔王なの??」[plc]

真緒「いや、だから……」[plc]

ああ、説明するのが馬鹿らしい。[lr]
魔王じゃない、人間です。[lr]
なんて言わなくても分かるだろうに。[plc]

芽衣子「魔王様はまだ覚醒されていない状態。人間と魔王ふたつの人格をもたれている」[plc]

芽衣子「その不安定な状態を巧みにいかし、貴様を泳がせる。こういうことなのだ」[plc]

莉緒「な、なんですって!?」[plc]

芽衣子「そして魔王として完全復活なされたその日、魔を滅する貴様を葬りさる」

莉緒「そんな計画を瞬時に……」[plc]

莉緒「な、なんて恐ろしいの……」[plc]

はぁ。もう好きなように言ってくれ……[lr]

やれやれだ。[lr]
莉緒はまさか信じてるわけな──[plc]

ぼ、ぼくをにらんでる!?[plc]

真緒「お、おい莉緒? お前、まさかとは思うけど」[plc]

莉緒「よ、よらないで!!」[plc]

莉緒「私を騙そうとしてたのね真緒くん!!」[plc]

真緒「な、何をいってるんだ」[plc]

莉緒「ううん、真緒くんだけど真緒くんじゃない」[plc]

莉緒「真緒くんを乗っ取った魔王なのよ!!」[plc]

真緒「………」[plc]

莉緒「だから私がこのアンブレイラで真緒くんに戻してあげる!」[plc]

手に持った傘を握りしめ、ぼくに敵意の目をむける莉緒。[plc]
そしてゆっくり、ゆっくりと歩みよってくる。[plc]

まさか本気で岸岡の言葉を信じてるのか?[lr]
素直でちょいお馬鹿な子だったけど、ここまで……[plc]

真緒「り、莉緒?」[plc]

莉緒「真緒くん、今楽にしてあげるから」[plc]

莉緒の傘の先端がぼくに向けられる。[plc]

芽衣子「させはしない」[plc]

莉緒「岸岡芽衣子! どきなさい!」[plc]

芽衣子「魔王様に手は出させない」[plc]

莉緒「そう……邪魔をするのなら、[lr]
また私のライトニング・アンブレイラを食らわせるしかないようね」[plc]

芽衣子「愚かな……ただの傘如きで我が冥界の剣をどうにか
出来ると思っているのか」[plc]

莉緒「じゃあ、存分にライトニング・アンブレイラの力を見せてあげるわ!」[plc]

莉緒「やあ!!」[plc]

芽衣子「なぎ伏せてくれる! はあっ!!」[plc]

猫「にゃー」[plc]

真緒「………」[plc]

──なんなんだこれは。[lr]
相変わらず冥界やらライトニングがどうとか言っているけど。[plc]

ぼくの目には一方が傘を振り回して、
もう一方も木刀をブンブンしてるだけの
子どもみたいな喧嘩にしか見えない。[plc]

あ、猫可愛いな。[lr]
犬も良いけど猫も可愛いなぁ[plc]

と、のん気に考えてる場合じゃない。[lr]
とにかく喧嘩を止めなきゃ。[plc]

芽衣子「行けオルトロス! その爪で引き裂いてやれ!!」[plc]

猫「にゃー?」[plc]

莉緒「くぅっ、使い魔を使うなんて卑怯な!」[plc]

??「二人ともやめなさーい!!」[plc]

??「新しい監督さんの前でいきなりそれをしないの」[plc]

??「ほら、喧嘩は止めて」[plc]

突然現れたかと思うと、莉緒たちの争いを一声で止めた少女。[plc]
この子もまた、可愛い……[plc]

芽衣子「………」[plc]

莉緒「……寮長」[plc]

真緒「寮長? じゃ、この子が?」[plc]

寮長「初めまして要先生。私が寮長です。[lr]
よろしくお願いしますね」[plc]

真緒「こちらこそ。君が寮長さんだったのか」[plc]

寮長「はい。遅くなってすいませんでした」[plc]

そう言ってぼくに頭を下げる。[lr]
ずい分と礼儀正しい。[plc]

さすが寮長だけあってしっかりしてる。[lr]
なにより、普通の子っぽくてホッとした。[plc]

真緒「いや、気にしなくてもいいよ」[plc]

真緒「それより、休みの日なのに悪いね」[plc]

寮長「こちらこそお気になさらずに。[lr]
ではさっそく寮の案内を致しましょうか?」[plc]

真緒「そうだね、でも……」[plc]

さっきまで喧嘩していた二人を見る。[lr]
喧嘩はやめてはいるものの、二人ともにらみ合ったままだ。[plc]

それにしてもこの子……[lr]
あの二人の喧嘩を即座に止めるとは……[plc]

穏やかな雰囲気だけど、怒るとめちゃくちゃ怖かったりなんかして。

寮長「あ、こちらの二人とはもう挨拶をされました?」[plc]

真緒「あ、いや。したようなしてないような」[plc]

寮長「寺井莉緒さんと岸岡芽衣子さんです。二人とも寮の生徒なんですよ」

真緒「二人とも寮の……」[plc]

薄々感じていたけど、やっぱりそうか……[lr]
はぁ……まいったな。[lr]

他の寮生もこんな感じなんだろうか。[plc]

芽衣子「魔王様の警護はお任せ下さい」[plc]

莉緒「くっ!? 一つ屋根の下に魔王がいるなんて……」[plc]

莉緒「でも、考えようによっては逆にチャンスだわっ!」[plc]

莉緒「どうやらテラリオンの力を解放する時がきたようね」[plc]

芽衣子「チャンスなのはこちらの方だ。[lr]
私と魔王様で貴様を冥界に送り届けてやる」[plc]

寮長「………」[plc]

真緒「………」[plc]

寮長「それでは先生、寮を案内しますのでついて来て下さい」[plc]

真緒「あ、はい」[plc]

寮長「寺井さん岸岡さん。また後で」[plc]

莉緒「私の部屋に行くつもり!? まさか……アンブレイラの秘密を探ろうと? させないわ!」[plc]

芽衣子「行かせはしないぞ寺井莉緒。[lr]
どうしても通りたくば、私を倒す以外に道無きと思え」[plc]

莉緒「くっ! 今日こそは決着をつけてやるわ」[plc]

また喧嘩が始まりそうな雰囲気。[plc]
と、止めるべきか……[lr]
いや、でもまだにらみあってるだけだし……[plc]

寮長「……それじゃ先生、行きましょう」[plc]

真緒「いや、でも、傘と木刀は危ないし、止めないと」[plc]

寮長「二人なら大丈夫ですよ。いつもの事ですし」[plc]

寮長「それに、相手を傷つけたりはしないですから。[l]
その辺はちゃんと意識して二人とも喧嘩してるんですよ」[plc]

真緒「そう……なんだ」[plc]

あの二人が気になる。[lr]
やっぱり喧嘩を止めなくちゃ。[plc]

とは思うんだけど、はたしてぼくにそれができるだろうか。[plc]

真緒(口で止めろって言っても聞きそうにないよな……)[plc]

真緒(かといって強引に体で止めても莉緒がうるさそうだし……)

良い方法がまったく思い浮かばない。[lr]
……情けない。[plc]

仮に止める事が出来たとしても……[lr]
今日一日潰れそうな気がする。[plc]

ここは、いつもの事で大丈夫
という寮長の言葉を信じて寮の方へと行ってみるか。[plc]

他の寮生にも会ってみたいし、
これから住む場所も見ておきたい。[plc]

そう考えたぼくは、二人をそのままにして
寮長の後ろをついていった。[plc]


 Back    Next




タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2010年07月12日 23:03
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。