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シナリオ 7月1日(日曜日)・その3

 中二病って何?



寮長「驚かれたでしょう?」[plc]

莉緒たちが見えなくなると、寮長はそう聞いてきた。[plc]

真緒「え? あ、うん、ビックリしたかな」[plc]

寮長「ふふっ、驚かない人はいませんよね。前の先生も最初は目が点になってましたから」[plc]

真緒「前のって産休の?」[plc]

寮長「ええ、そうです。やめる直前、笑いながら私に漏らしてました。[l]あの子たちの言葉はお腹の赤ちゃんには聞かせたくないって」

真緒「だろうねぇ。胎教に悪いだろうしさ」[plc]

寮長「ふふ、ほんとですね」[plc]

前監督から信頼されていたんだろう。[lr]

さっき会ったばかりだけど、この子は頼りになる子だと思った。[plc]

新人教師に寮の監督。[lr]
そして生徒は異性である女の子。[lr]
しかもお年頃っておまけ付き。[plc]

そんな中で生活と仕事をしていれば、悩んだりする事が多いだろうと思う。[plc]
そんな時、この子に頼ってしまうかもしれない。[plc]

面識のある莉緒は、あの様子じゃとても……[plc]

真緒「最初は劇か何かだと思ったんだけどさ」[plc]

真緒「莉緒……いや、あの子らは本気なの?」[plc]

寮長「あら、知り合いなんですか?」[plc]

真緒「あ、うん。まぁ、ちょっとした知り合いかな」[plc]

寮長「そうなんですか」[plc]

寮長「それで、え~とあの子たちは、『中二病』といわれる一種の病気みたいなものなんです」[plc]

真緒「中二病? 病気?」[plc]

教師になる過程で心身の病気の事も勉強したけれど、
中二病なんてあったっけ?[plc]

寮長「えっとですね、思春期における特徴的な言語や行動を病気と比喩したもの。という事らしいです」[plc]

真緒「特徴的な言語や行動……」[plc]

寮長「ええ、自分は人とは違うんだっていうアピールでしょうか。[l]
私はそんなふうに思ってます」[plc]

真緒「……ふーん。[l]でも、思春期なら程度の差はあれ結構みんな思ってたりする事だよね」[plc]

それは病気じゃないような気がするけど、どうなんだろう。[plc]
ぼくだってほんの少し前はそうだったと思うし。[plc]

寮長「ええ、そうですね」[plc]

寮長「でも寺井さん岸岡さん、いえ、ここの寮生はみんな重度の中二病なんです」[plc]

真緒「重度?」[plc]

寮長「はい。さきほどご覧になった通りですが、寺井さんは
自分を正義のヒーローだと思い込んでいます」[plc]

真緒「………」[plc]

寮長「岸岡さんはその逆ですね」[plc]

寮長「だから二人はいつも喧嘩しているんです」[plc]

莉緒が正義のヒーローで岸岡が悪者……[lr]
魔王の付き人だっけ。[plc]
たしかに相反する存在だろうけど、そんな事で喧嘩してるのか。[plc]

幼稚園児の遊びの設定じゃないか……[plc]
でも、莉緒たちは遊びじゃなくて本気で信じ込んでると。[plc]

真緒
「なるほど……問題児ってそういう事か。[lr]ぼくはてっきり」[plc]

寮長「不良だと思いました?」[plc]

悪戯っぽく笑う寮長にうなずいてみせた。[lr]
不良じゃなくて何よりなのかもしれないが……[plc]

中二病……ね。[lr]
単純に言えば痛い子ってところか。[plc]

でも、莉緒たちへの対応はどうすればいいんだろう。[l]
大学や実習でも習わなかったしなぁ。[plc]

真緒「うーん」[plc]

寮長「どうかされました?」[plc]

真緒「あ、いやね。ひとつ聞いてもいいかな?」[plc]

寮長「はい、答えられる事ならいくつでも」[plc]

真緒「ありがとう。[l]えっと、一つの寮に集められるって事はさ、
なんていうのかな、人に迷惑をかける子だからだよね?」[plc]

寮長「そう……ですね。たしかに迷惑じゃないと言えば嘘になるかもしれません」[plc]

寮長「でも、実害はないと思いますよ」[plc]

寮長「ただ、普通の子と一緒の寮にしてしまうと
多感な時期ですから、色々と問題も出てくるかもしれないですよね」

真緒「なるほど……」[plc]

寮長「ええ、でも皆良い子たちですよ」[plc]

真緒「もう一つ聞きたいんだけど、その……」[plc]

寮長「はい?」[plc]

寮生全員が『中二病』と呼ばれる病気なら、[r]
この寮長も信じがたいがそういう事になる。[plc]

いっけん普通そうに見えるが実は──!![plc]
なんて事を考えてしまうと、どうしても聞かずにはいられない。[plc]

真緒「いや、そのさ、君はどうなのかなって思ってさ」[plc]

寮長「私……ですか?」[plc]

寮長「ふふ、私は残念ながら違いますよ先生」[plc]

真緒「良かった……」[plc]

寮長「ふふ」[plc]

違っていてほっとする。[lr]
でも、もし寮長が中二病だったとしたらどんなだろう?[plc]

それはそれで見てみたい気もするけど。[lr]
ま、とにかく良かった。[plc]

真緒「他の子の病気の症状はどんな感じ?[lr]
それと、寮には全員でどの位いるの?」[plc]

寮長「寮生は私を含めても数える位ですね。[lr]
他の子は……実際に会ってみれば分かりますから」[plc]

真緒「そうか、なんだか緊張するな」[plc]

寮長「ふふ、そろそろ寮へ着きますから頑張って下さいね」[plc]

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最終更新:2010年07月12日 23:11
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