シナリオ 7月29日(日曜日)・その4
不良教師
※背景どうしようか考え中。夏の五時過ぎだから、日が落ちてるって位。
そして、学園からわりと近くにある小高い丘についた。
しかしそこには……奇抜な格好をした集団がいる。
八十記はためらう事もなく、その集団に歩いて行ってるが……
あいつ、まさか本当に不良と?
嫌な予感を持ちながら、目をこらして八十記と集団を見る。
真緒「……メイド?」
よく見ると、その集団はメイドのようだ。
カラフル過ぎる服の色のせいで、妙な連中とばかり。
まぁ、不良じゃなくて良かったけど。
にしても、ここでメイドと何をしているんだろう。
真緒「……動かないな」
メイドの中に入っていた八十記。
十人程、二十人程だろうか。
そのメイドと何か話しているようだけど……
真緒「しばらく待ってみるか」
;わんくしょん
真緒「あれ……お喋りしてるだけ?」
しばらく待ってみたものの、丘に腰を下ろしてお喋りしてるだけだった。
今までもここでずっとこうしていたんだろうか。
でも、一晩ずっとお喋りだけ?
って、いくら何でもそんな訳ないよな。
絶対にここからまたどこかへ行くはずだ。
もう少し、もう少し待ってみよう。
※夜が更けて
真緒「………」
かれこれ二時間。
まだ動きはないが……
この二時間の間に、何人かのメイドが帰っていった。
八十記はまだいるけど、いったい何してるんだか……
※バイクの音
真緒「バイク?」
真緒「って、やばいな」
真緒「暴走族か?」
まだ音しか聞こえないから分からないけど、明らかに一台二台の音じゃない。
何台ものバイクの音がする。
このままだと、女の子だらけの八十記たちは間違いなくからまれる。
これは──危険だ。
そう考えてる間にもうバイクは八十記たちの目前まで迫っていた。
八十記も気がついたのか、その集団に目をやっている。
しかし恐ろしく早いバイクだな。
やっぱりこれは……
怖いけど……ここで行かなきゃ男じゃない!
真緒「八十記ぃいいいいいい」
物陰を飛び出したぼくは叫びながら走る。
力で敵わなくても、逃げる時間位なら作れるはずだ!
真緒「早く逃げるんだぁあああああ」
せえら「なっ!? その声はセンコー??」
真緒「早く逃げろぉおおおおおおお」
すぐ後ろから聞こえるバイクの音。
明らかに改造しているであろうそのエンジンの音。
やばい、これはやばい!
なんとしてでも八十記とメイドさんを守らなければ!
真緒「バイクの音が聞こえるだろ! 逃げろ!!」
※バイク
;;ヘッドライトで見えない。
そう叫んだ瞬間だった。
数人のバイクがぼくを取り囲む。
真緒「まじかよ……」
八十記に辿り着くその一歩手前。
囲んでいるバイクの隙間から八十記の心配そうな顔が見えた。
真緒「八十記、大丈夫だ。いいから逃げろ」
せえら「せ、センコー?」
真緒「お前等……ぼくを囲んでどうする気だ」
生徒を守る。
その思いのおかげからなのか、強気な自分がいた。
真緒「どうするつもりだ」
もう一度そう言って、取り囲んでいる連中を見回すと、
一際大きなバイクにまたがっている一人の男がいた。
──こいつがリーダーだろうな。
ぼくはもう一度、そいつに言った。
真緒「聞いてるのか? 何のつもりだ!」
??「……ふふ」
真緒(あれ……)
リーダーらしき人物の笑い声。
それは女性の声だった。
暴走族は男だって頭から考えていた事と、
フルフェイスマスクのせいで分からなかった。
??「お嬢様!」
そいつは八十記の方へ顔をむけると、そう叫んだ。
真緒「お嬢様……?」
??「まだ分からないですか?」
聞き覚えのある声だった。
そう、この声は……
メイド長「ったく、メイド服が見えないかねぇ」
メイド長「よっと」
マスクを外してバイクを降りたその人物は、やはりメイド長だった。
という事は──
せえら「はぁ……尾けてきましたのね」
メイド長が指を鳴らし始めた。
その合図にぼくを取り囲んでいる他の人もマスクを外す。
真緒「全員メイドさん……」
せえら「ですわよ」
真緒「よ、良かった……」
メイド長「どうやら暴走族だと思っていたみたいですね」
メイド長「それで、お嬢様を助けようと飛び出してきたと」
せえら「……そ、そうですの」
真緒「……良かったよ、ほんと」
メイド長「………」
せえら「ま、まぁ、ヘッドを助けようという心意気は受け取りましたわ。
けれど、コソコソと尾けてきましたのは許せにゃーです」
メイド長「………」
せえら「まったく……見つかりたくありませんでしたのに」
真緒「………」
ほっとした。
本当にどうなる事かと思った。
しかし、また別の問題が──
真緒「八十記、ここで何をする気なんだ?」
メイド長「お嬢様、今日はどうします? 中止に致しましょうか」
せえら「またそんなことを言うんですの? 中止など断固拒否ですわ!」
真緒「中止? だから、何をして」
せえら「見て分からにゃーです? 集会ですわよ?」
真緒「集会って……」
メイド長「………」
せえら「ふふ、伝説のヘッドの集会ですわ」
真緒「まさか……このバイクで暴走するつもりか!」
せえら「ですわよ。舎弟のセンコーが今さらなにを驚いてますの」
真緒「止めるんだ! だいたい八十記は乗れないだろ!」」
せえら「まったく、ほんっと堅物ですわね。
そのくせワタクシの脚を舐めようとしたりして、
ほんと分からにゃー奴ですわ」
メイド長「お嬢様の……脚を……?」
真緒「ば、馬鹿、そんな事してないだろ!」
せえら「まったく……」
う、メイド長からにらまれてる。
なんかいつもより怖いな。
バイクが側にあるからか。
これでメイド服じゃなかったらと思うと洒落にならない。
真緒「め、メイド長違うんです、これは」
メイド長「お嬢様……なんなら私が制裁を」
せえら「い、いいですわよメイド長」
メイド長「……ですか」
真緒「………」
せえら「でもセンコーが来るなど予想外ですわね」
メイド長「お嬢様、今日はやはり」
せえら「しょうがありませんから、センコーも一緒に参加しましょう」
メイド長「………」
真緒「さ、参加ってお前……」
せえら「そうですわね……本当はワタクシの後ろに乗せてあげたい所ですけど、
今日はあいにく調子が悪いんですの」
真緒「だ、だから乗らないし参加もしないって」
せえら「ですから、メイド長!」
メイド長「はい」
せえら「後ろに乗せて差し上げなさい。ワタクシは誰かに乗せてもらいますわ」
メイド長「……分かりました」
せえら「さ、とっとと行きますわよ」
真緒「ちょ……」
最終更新:2010年08月12日 00:31