シナリオ ７月３０日（月曜日）・その３
青春
八十記に手をつかまれる。
そしてそのまま引っ張られ、食堂を飛び出した。
莉緒「ま、待ちなさいよ！
芽衣子「八十記せえら！ 待て！」
※玄関
真緒「お、おい、どこ行くんだよ？」
せえら「ふふ、逃げますわよ」
真緒「に、逃げるって」
せえら「さ、早く！」
※背景
※背景
※背景（真緒とせえらの出会い場所）
せえら「はぁはぁ、もう、大丈夫ですわね？」
真緒「あ、ああ、たぶんな」
せえら「ふふ」
真緒「でも……何も逃げなくても良かったんじゃ」
せえら「あら？ あの場にいたら、寺井と岸岡に延々と責められますわよ？
カナちゃんや阿部高もそうですわね」
真緒「まぁ、そうだけどさ」
せえら「ならワタクシに感謝なさいませ」
真緒「そうだな……うん。ありがと」
せえら「ふふ、舎弟の世話はワタクシの役目。
今度同じようなことがあってもワタクシと寮を抜け出しますわよ？」
真緒「また？」
せえら「ええ、ワタクシ気にいりましたの。
抜け出すのって楽しいですわ！」
真緒「まぁ……昼間はまだ良いけどさ、夜は止めてくれよ」
せえら「冷めたこと言うんじゃにゃーです」
真緒「………」
二人っきりの今が良い機会だ。
どうせ今夜も行くつもりだろうから、釘を刺しておこう。
真緒「八十記、今夜も行くつもりだろ？」
せえら「ええ、当然ですわ！」
真緒「……八十記、もう夜遊びは止めてくれ」
せえら「だから嫌ですわ！」
真緒「頼むよ」
せえら「………」
せえら「なぜですの？ なぜ行かないでほしいんですの？」
真緒「なぜってそりゃあ」
せえら「ワタクシが納得できる理由なら止めてもいいですわよ」
※選択肢（面白くないから・寂しいから）どっちも同じ感じ
真緒（心配だから……と正直に言うのは逆効果だな）
真緒（じゃあ……なんだ？）
せえら「ないんですの？」
真緒「あ、いや、寂しいから……？」
せえら「なんで疑問形なんですの？」
真緒「あ、いや──」
真緒「うん、八十記がいないと寂しい。
だから寮にいてくれ」
せえら「ワタクシがいなくて寂しい、と？」
真緒「あ、ああ」
せえら「………」
真緒（みょ、妙な顔だな）
せえら「……ま、まったくこの馬鹿センコーときましたら」
せえら「ええ、ええ。甘えん坊な舎弟さんにはワタクシが必要ですわね」
真緒「あ、甘えん坊って」
せえら「ふふ、そういうことならよろしくてよ」
真緒「本当か？」
せえら「ふふ、ほんっとどうしようもないセンコーですわね」
真緒「はぁ、良かったよ」
せえら「………」
真緒「これで、夜は寝れ──って、八十記？」
ふと八十記を見ると、さっきまでの元気な顔が消えていた。
まさか、夜遊びが出来ない事を残念がってるのか？
せえら「ねぇ、センコぉ」
真緒「なんだ？」
せえら「……ん」
真緒「どうした？ 元気ないぞ？」
せえら「ううん、なんでもありませんわ」
真緒「そうか？ 悩みでもあるなら聞くぞ？」
せえら「ありがとうですわ。でも、ほんの少しセンチになっただけですから心配にゃーです」
真緒「それなら良いけど」
せえら「あ、そうですわセンコー」
真緒「なんだ」
せえら「八月に入ってすぐにワタクシのビーチへ行きますわよ」
真緒「ビーチ？」
せえら「ええ、毎年恒例になってますの。
ワタクシのプライベートビーチで夏を満喫しますわよ」
真緒「ぼくも行くの？」
せえら「当然ですわ。センコーだけじゃなく、全員ですわよ」
真緒「ああ、莉緒たちもか」
せえら「……莉緒、ですか」
真緒「え？ どうした？」
せえら「いいえ、とにかくそういうことですから。
スケジュールの調整と準備をしっかりするのですわよ！」
真緒「ああ、分かったよ」
せえら「分かったなら良いですわ」
真緒「で、どうする？」
せえら「なにがですの？ いきなりなんですの？」
真緒「いや、今からだよ。寮に帰るか？」
せえら「……どうしてそういうことをお言いになるのです？」
真緒「な、なんか変か？」
せえら「まったく……」
真緒（な、なにを言えと）
せえら「センコーはまだ敷地内に詳しくにゃーですわね？」
真緒「あ、ああ。迷子になる自信はあるな」
せえら「ふふ、ならワタクシが案内致しますわ」
せえら「夕食の時間まで、ね？」
真緒（う……可愛いじゃないか）
せえら「どうしましたの？」
真緒「あ、ああ。じゃあ、せっかくだから」
時折見せる素の八十記を、この所意識してしまう。
そうなんだよな、黙って普通にしてれば十分美少女なんだよな。
もったいない奴だ──
せえら「さ、行きますわよ！」
真緒「あ、ああ」
ま、たまにはこうして散歩するのも悪くない。
夜遊びも止めてくれるようだし、今日は気の済むまで付き合ってやろう。
最終更新：2010年08月12日 00:44
