シナリオ 8月3日(金曜日)・その2
ドア越しの説得
相変らず、八十記の事になると真剣な
メイド長だ。
ぼくももっと見習わなくちゃな。
※廊下
メイド長「では、お願いします」
真緒「はい」
メイド長「………」
;メイド長帰依
真緒「……さて」
メイド長の姿が見えなくなるのを確認して、ドアを叩く。
※コンコン
せえら「誰ですの?」
真緒「八十記、ぼくだ。ちょっといいか?」
せえら「あら、弟ですの? なんの用かしら?」
真緒(お、弟? って、昨日のあれか)
真緒「あ、ちょっと話というかさ」
せえら「そうですの? 鍵はかけてませんから、中にお入りになって」
真緒「いや、できたら出てきてほしいんだ」
せえら「……部屋ではダメですの?」
真緒「駄目って訳じゃないけどさ」
せえら「ワタクシの部屋に入れるなど、そうそうありませんわよ?
お誘いを断るなんて失礼じゃありませんこと?」
真緒「あ、いや……」
せえら「さっさと入ってこいですわ」
真緒(何とか……出てもらわないと)
真緒(だが、ちょっと部屋を見てみたいという……)
せえら「なにしてますの?」
真緒(いや、駄目だ。
メイド長と約束したじゃないか)
真緒「いや、すまないけど出てきてくれ」
真緒「ほら、ぼくが部屋に入ったら色々と良くないだろ?」
せえら「良くないとはどういう意味ですの?」
真緒「ほ、ほら、若い男女が密室で二人っきりってさ」
真緒「その、良からぬ事になったりするかもしれないし」
真緒「あ、いや、ぼくはそんな事するつもりはないんだけど」
真緒「とにかく、危険というかさ……」
せえら「………」
真緒(ぼくは何訳の分からない事を……)
せえら「わたくしを襲ってしまいそうだから?」
真緒「あ、いや」
せえら「そう仰りたいわけですわね。ふふ、まぁよろしくてよ」
真緒「お、出てきてくれるか」
せえら「ええ、まったくしょうがありませんわね」
※せえら
真緒「おお、すまないな」
せえら「いいえ、特になにもしてませんでしたし」
真緒「それじゃ、行こうか」
せえら「行く? どこにですの?」
真緒「いや、食堂とか?」
せえら「聞き返されても困りますわ。ここで話せばいいじゃにゃーです?」
真緒「いや、ここはまずいというか」
せえら「………」
真緒「ほら、誰か来たらゆっくり話せないじゃないか」
せえら「……なんか怪しいですわね」
まずい、勘ぐられてる。
こんな所で失敗してしまっては、メイド長に申し訳ない。
真緒「八十記とさ、紅茶でも飲みながら話をしたいんだよ」
せえら「わ、わたくしと?」
真緒「そうだ」
せえら「だから食堂に?」
真緒「ああ!」
せえら「ふふ、そういうことでしたの。まったく、困った弟ですわね」
真緒「分かってくれたか?」
せえら「ええ、そういうことなら行きますわよ」
──よし。
第一段階はクリアした。
後はメイド長が隠してる時間、八十記を足止めするだけだ。
最終更新:2010年08月13日 18:35