シナリオ 8月4日(土曜日)・その4
放置されて
真緒「メイド長」
事の一部始終を見ていたメイド長も暗い顔をしていた。
真緒「やりすぎだったでしょうか……」
メイド長「いえ、やるのならあれ位やらなくてはならないと」
真緒「そう、ですよね」
メイド長「そう頭では分かっているんですけれど」
メイド長「どうしても許せない」
真緒「め、メイド長?」
メイド長「て、てめぇえええ」
メイド長の背後に炎が見えた気がした。
激怒? いや、これはもう殺意!
真緒「ちょ、ちょっと落ちつきましょう!
これは作戦で! メイド長が考えて!」
メイド長「ああ、分かってる。
だから自分も許せねぇし、てめぇも許せねえぇ」
真緒「な、何でぼくが!」
メイド長「うるせぇ! ちょっとこい!」
真緒「え? あ、いやぁあああ」
胸倉をつかまれたと思った瞬間、意識が飛んだ──
※屋上、夜
真緒「……あれ? ここ、どこ?」
辺りを見回してみる。
ここは、屋上みたいだ。
どうしてぼくはこんな所で寝そべっているんだろう?
手も足も動かせない……
というか、縛られてる?
何だか体中も痛いし、今日ぼくは何があったんだろう?
真緒「えっと……」
今ひとつ思い出せない。
廊下にいたような気がするんだけど、そこから倒れたんだろうか。
莉緒「あ! あの芋虫が真緒くんじゃない!」
芽衣子「な! まさか!」
真緒「莉緒? 岸岡?」
※二人
莉緒「な……」
芽衣子「ま、真緒様……」
ぼくの姿を見て驚く二人。
手足が縛られているんだから当然か。
莉緒「ちょ、ちょっと、いったいどうしたのよ!」
芽衣子「ま、魔王様、これはいったい」
真緒「あ、いや、ぼくもよく分からないんだ」
真緒「気がついたらここにいて、動けないんだわ」
芽衣子「魔王様をここまで……」
莉緒「ちょ、ちょっと岸岡芽衣子!
あんた、僕だったらちゃんと守りなさいよ!」
芽衣子「………」
真緒「お、おい、喧嘩は後にして紐を外してくれ」
芽衣子「寺井莉緒……貴様ではないのだな?」
莉緒「私じゃないわよ! 私がこんなこと! こんな酷いこと!」
芽衣子「貴様……泣いているのか?」
莉緒「な、泣くわけ! バカ言わないで!」
真緒「お、おい莉緒、大丈夫だから外して」
芽衣子「貴様ではないとすると……何者だ?」
莉緒「分からないわ。どうやら、私たちの知らない敵のようね」
芽衣子「新たな世界から送り込まれた刺客、か」
莉緒「どんな相手か知らないけど、許せないわ」
芽衣子「許せない? 貴様は魔王様を倒すべき立場であろうが」
莉緒「ええ、そうよ。私が言いたいのは、魔王を倒すのは私ということ」
芽衣子「貴様……やはり見過ごす事はできんな」
真緒「だからお前ら、興奮してないで早くだな」
莉緒「なに? やるっていうの? いいわよ?」
芽衣子「言っておくが今日の私は強いぞ。
魔王様を守りきれなかった自分の歯がゆさゆえにな」
莉緒「ふん、冥界の騎士も大したことないわね」
芽衣子「貴様ぁ……」
真緒「………」
真緒(駄目だ、寮長来るまで諦めよう……)
最終更新:2010年08月13日 18:48