シナリオ 8月5日(日曜日)・その4
VS八十記
※廊下とか
自然と足が部屋に向かう。
後で説明すれば分かってもらえるだろうけど、
それでもたまらない気分だ。
早く、早く着替えよう。
真緒「あ……」
メイド長「どこへ行くんです? しっかりして下さい!」
真緒「メイド長、やっぱりぼくには無理な気が」
メイド長「いえ、良い線いってましたからその調子でお願いします」
真緒「そう、ですか……」
メイド長「お嬢様のためです。寺井さんたちには後から私も説明致しますので」
真緒「はぁ」
メイド長「ではいよいよ、お嬢様にお願いします」
真緒「わ、分かりました……」
メイド長「そんな弱気じゃ駄目です。気合入れてお願いします」
真緒「………」
※せえr前
メイド長「では、最後の確認をしましょう。
先ほどの事でお分かりだと思いますが、中途半端に演じていては逆効果です」
真緒「たしかにそうですけど」
メイド長「ですから、徹底的に演じてもらい、お嬢様の反面教師となって下さい」
真緒「分かりました、出来るだけは……」
メイド長「ええ、期待しています。
まずはお嬢様を部屋から出す事が山ですね」
メイド長「昨日の事でお嬢様は警戒してると思いますので」
真緒「はい、まぁ何とかしてみせます」
メイド長「では、お願いします」
真緒「はい……」
メイド長が姿を隠す。
いよいよ本命の八十記へと向かうわけだが……
どうも気が乗らない。
ヤンキーを演じる事もそうなんだけどそれ以上に思うのは、
無理に八十記を変える必要はないんじゃないかって。
そんな風に思い始めている自分がいる。
だけど、メイド長に協力すると言った事、
素の八十記を見てみたいと思った事も嘘じゃない。
こんな中途半端で上手くやれる自信はないけど……
引き受けた以上、やるしかないか。
※コンコン
せえら「誰ですの?」
真緒「八十記か? 俺だ」
せえら「俺? センコーですの?」
真緒「ちょっと話があんだけど」
せえら「……妙な口調ですわね。
ヤンキーが大嫌いなんじゃにゃーですの?」
せえら「ワタクシ、そんな方とお話することなんてにゃーです!」
せえら「出るつもりはありませんから、早くそこから離れろですわ」
真緒「……ぐ」
真緒「まぁ、そう言うなって」
真緒「俺さぁ、ヤンキーの良さに目覚めたんだよ」
せえら「………」
真緒「昨日の俺が何言ったかしんねーけど、そんなのあれ、
ジョークよジョーク」
せえら「……いったいなんですの」
真緒「だからよ、おめぇと語り合いたいと思ってよ」
せえら「なにをですの?」
真緒「んなの決まってんだろ? 今日はオールすっぜ」
せえら「………」
八十記が出てきた。
ぼくの姿を確認して、怒りと軽蔑の視線の混じった目を送ってくる。
真緒「お? きたか?」
せえら「……なんて格好してますの」
真緒「あ? これ?
暑いしよ、これが快適だっつうの」
せえら「………」
真緒(反面教師……徹底的に)
真緒「何見てんの? 羨ましい?」
せえら「……軽蔑しますわ」
真緒「素直になれって、八十記ちゃんも脱げばいいじゃんよ?」
せえら「な、なにを言ってますの?」
真緒「これがヤンキーの正装だろ?
八十記ちゃんの服装って真面目ちゃーんだぜ?」
せえら「なっ!?」
真緒「あれ? 気づいてない? ヤンキーならこうだろ?」
自分の胸元を見せつけ、下ろしたズボンを更にずり下げる。
徹底的に、徹底的にだ!
真緒「八十記ちゃんはやんないの?? ねぇ??」
せえら「ば、バカにしてますの!!」
真緒「全然してねぇ」
せえら「でしたらその格好と喋り方を止めて下さい!」
真緒「あれ? 八十記ちゃんヤンキー好きじゃないの?」
せえら「そ、そんなのヤンキーと認めませんわ」
真緒「まぁ、そうだよなぁ」
せえら「え、ええ」
真緒「真面目ちゃんには分からないわな」
せえら「なっ!?」
真緒「八十記ちゃんはお嬢様だもんな! あひゃひゃ」
せえら「な! な!」
真緒「否定しないって事は認めてるわけだろー?」
せえら「うぅ……」
真緒「八十記ちゃん、俺みたいな本物のヤンキーになりたいべ?」
せえら「あなたみたいはなりたくないわ!
そんなのヤンキーでもなんでもないですわ!」
真緒「あぁ、俺みたいなのにはなりたくない、と」
せえら「絶対に嫌ですわ!」
真緒(成功……か?)
真緒「ああ、そう。まぁいいよ、真面目ちゃんはつまんねぇ」
せえら「つ、つまらない」
真緒「もういいよ、俺行くわ」
せえら「………」
真緒
「じゃあ八十記ちゃん、バイバ……い?」
せえら「……うっ、うっ」
真緒「………」
また泣かせてしまった……
酷い罪悪感と後悔。
これ、中二病が治るどころか、逆効果にならないだろうか。
このまま教師、大人への不信感からそのまま悪の道へと──
ああ……
やっぱり、こんな無理な事をしてまで変えなくてもいい。
八十記は八十記らしくしてくれれば良い。
ぼくはなんて事をしたんだ……
せえら「ぅっ、うわぁあん」
泣きながら部屋に入り、勢いよくドアを閉めた。
完全に傷つけてしまったな……
真緒「八十記……」
メイド長「要先生」
真緒「メイド長……」
メイド長「素晴らしい程に演じてくれました」
真緒「ですか」
メイド長「ですが……何でしょう、この怒りは」
真緒「え?」
メイド長「要先生が悪くねぇって、頭では分かってるんだけどさぁ」
真緒「め、メイドちょ?」
メイド長「すまねぇ、こらえてくれや」
真緒「え? あ? あぁあああああああああ」
最終更新:2010年08月13日 20:33