シナリオ 7月1日(日曜日)・その5
伝説のヘッド
??「……ここでいいわ」[plc]
??「………」[plc]
真緒「たた……いったい何なんだ?」[plc]
誰かに投げ飛ばされる。[lr]
手や顔に触れるこの感触……土?[lr]
ここは外か?[plc]
その時、目に当てられていた布が取り払われた。[plc]
??「手荒な真似をして申し訳ないのですわ」[plc]
真緒「君は? なんでここに?」[plc]
目の前にいたのは、いかにもお嬢様風な子。[lr]
おそらく寮の生徒だろう。[plc]
この子が屋上からぼくをここまで連れてきたんだろうか。[plc]
とてもそんな力があるようには見えない……[lr]
それ以前に何でいきなりこんな事を?[plc]
??「ワタクシの名前は八十記せえらですわ」[plc]
真緒「八十記せえらさん」[plc]
せえら「ええ、そうですわ。[l]それで、センコーの名前は何ですの?」[plc]
真緒「……え?」[plc]
真緒「セ、センコー?」[plc]
その見た目からは口にしそうにもない言葉。[lr]
ここまで会ってきた子の中で、一番お嬢様って感じなのに……[plc]
せえら「そうですわ」[plc]
真緒「あ……君は、寮の子だよね?」[plc]
せえら「そうですわセンコー」[plc]
真緒「センコーじゃなくて先生。[lr]
そんな言葉、君には似合わないよ」[plc]
せえら「………」[plc]
真緒「えと、ぼくは要真緒。今日から寮の監督だからよろしく」[plc]
;せえら/私服/a/怒/c
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せえら「座ったままで挨拶するんじゃねーですわセンコー」[plc]
もう一度注意をしようと思ったが、
たしかに尻餅をついたままで挨拶をしているような
体たらくでは示しもつかない。[plc]
ぼくは気を取り直し、服についた草や土を払いつつ立ち上がる。[plc]
真緒「君のいう通りだ」[plc]
せえら「分かればいいんですわ」[plc]
真緒「でも、センコーはだめだぞ。センコーじゃなくて、先生だ」[plc]
せえら「嫌ですわ。[l]センコーのことをセンコーと呼ぶのは
当たり前ですからセンコーと言っているの……るんだぜ、センコー」[plc]
真緒「む」[plc]
不良言葉をつかい、悪ぶっているようだが、[r]
とても不良だとは思えない。[l]
お嬢様が不良の真似をしているってところだな。[plc]
この子の中二病とやらはもしかして……[plc]
真緒「そんな言葉はお嬢様が使うものじゃないよ。[l]
不良が使う言葉だ。ちゃんと直しなさい」[plc]
せえら「お嬢様?[l] わたくしがお嬢様だと?」[plc]
真緒「ああ、そうだ」[plc]
せえら
「ふふ、面白いセンコーですこと。[lr]
それにしても、わたくしのことを存じ上げてないみたいですわね」[plc]
真緒(有名な子なのか……?)[plc]
真緒「……知らないけど使っちゃいけないよ」[plc]
せえら「いいですわ。教えてあげましょう。[lr]
わたくし、関東最大勢力を誇る暴走族の頭なんですのよ」[plc]
真緒「……はい?」[plc]
せえら「とは言いましても、現役ではありませんですけど。伝説のヘッドなんですの」[plc]
真緒「伝説……?」[plc]
せえら「ええ。聞きたいのであれば、わたくしの武勇伝をたくさんお聞かせいたしますわ」[plc]
真緒「………」[plc]
せえら「大変でしたのよ、警察に追われ喧嘩にあけくれる日々は……」[plc]
せえら「毎日がバイオレンスでしたの。[l]寮にも帰らない留置所生活でした……だったぜ」[plc]
どこか遠くを見つめながら語りだす八十記。[plc]
それにしても、お嬢様言葉で『暴走族』なんて言われても
信じろっていう方が無理なわけで。[plc]
バレバレの嘘に笑ってしまいそうだ。[plc]
せえら「それで、その留置所でも暴れ……[lr]
センコー、なにを笑っていますの?」[plc]
真緒「い、いや……何でも…ぷぷっ」[plc]
真緒(笑っちゃいけないけど、駄目だ。耐えられない)[plc]
せえら「……まさかとは思いますけど、信じてらっしゃらない?」[plc]
真緒「そ、そんな事ないよ……」[plc]
真緒「クッ…あっはははは!!」[plc]
せえら「………」[plc]
せえら「……そう、信じてらっしゃらない」[plc]
真緒「いやいや、信じてるよ。うん、ぷはは」[plc]
八十記が指を鳴らしている。[lr]
何してるんだろう。
それより、笑いを抑えなきゃ。[lr]
いくら何でも失礼だよな。[plc]
真緒「え?」[plc]
真緒「うわっ!?」[plc]
真緒「………」[plc]
せえら「これでお分かりになったんじゃないかしら」[plc]
何かが耳をかすめていった。[lr]
足元に落ちていたのは……[plc]
真緒「は、鉢植え!?」[plc]
粉々に砕け散った鉢植え。[lr]
これが当たってたらと思うと洒落にならない。[lr]
下手したら死んでしまう。[plc]
真緒「君がやったのか?」[plc]
せえら「ええ、わたくしがやりましたわ」[plc]
上から落ちてきたように思うんだけど、見えるのは空だけ。[plc]
落とすような建物もなく、誰か他の人がいる気配もない。
真緒「でも鉢植えなんて持ってなかったし、それに上から落ちてきたような……」[plc]
真緒「大体、当たったら怪我じゃすまない所だよ。当たらなかったから良かったものの」[plc]
せえら「だからわざと外してやったじゃにゃーですか」[plc]
せえら「それと、わたくしが投げたんですのよ。センコーには見えなかっただけですわ」[plc]
真緒「ぼくには見えなかった?」[plc]
せえら「そういうことですわ」[plc]
ふに落ちないけれど、当たらなかったわけだし……まぁいいか。[plc]
そう言えば、屋上から連れ去られた真意を聞いてない。[plc]
この子だと思うが、いったいなぜ?[plc]
真緒「あのさ、屋上からここへ連れてきたのは君なの?」[plc]
せえら「ええ、そうですわ」[plc]
真緒「んーぼくを担いで走るような力持ちには見えないけどな」[plc]
せえら「ワタクシは伝説の頭ですから」[plc]
真緒「でも女性の、いや髪の良い匂いもしたからやっぱり君なのかな」
せえら「ななな! 変なこと言うんじゃにゃーですわ!?」[plc]
真緒「え? 変なことだった?」[plc]
せえら「まったく……ハレンチですわよ。[lr]
ワタクシ、軟派な男は嫌いですわ」[plc]
真緒「そ、そこまで言わなくても……」[plc]
せえら「そんなことよりも、センコーはわたくしに感謝するんですわね」[plc]
真緒「感謝?」[plc]
せえら「そうですわ。屋上では危ない所でしたわね」[plc]
真緒「北上の歌を聞こうとしてただけだよ?」[plc]
せえら「この馬鹿センコーはなにも分かっていませんのね」[plc]
真緒
「どうして危険なんだい? 歌でしょ?」[plc]
せえら「それが危険だと言ってるんですわ」[plc]
真緒「んん?」[plc]
せえら「かなちゃんの歌を聞いたことが無いからそう言うんですわ。
私は先……センコーを助けたんですのよ」[plc]
真緒「かなちゃんって、北上の事?」[plc]
せえら「そうですわ」[plc]
真緒「助けてくれた、ね。[l]よく分からないけど、北上の歌はどうまずいの?」[plc]
せえら「……破壊的な音痴ですの」[plc]
真緒「音痴なのか」[plc]
せえら「ええ、分かりやすく言いますと、未来から来たタヌキだか猫だかのアニメがありますでしょ」[plc]
せえら「その中のひどく音痴な男の子と、かなちゃんは同じなんですの」[plc]
真緒「空き地でリサイタル~とかするあれ?」[plc]
せえら「そうですわ」[plc]
真緒「そうだったんだ。そんなにひどいのか……」[plc]
せえら「赴任早々、あの歌はきついとわたくし思ったのですわ」[plc]
真緒「なるほど、それで助けてくれたって訳か。ありがとう八十記」[plc]
せえら「べ、別に礼を言われる程のことじゃなーですわ」[plc]
せえら「そ、それじゃわたくしは失礼しますわ」[plc]
真緒「あ、ちょっと。ここはどこ?」[plc]
走り去る八十記せえらの背中に叫んだが、聞こえてはいないようだ。[plc]一人、どこか分からない場所にとり残された。[plc]
そういえば、寮長はどうなったんだろう。[lr]
まだ屋上かな。[plc]
どこかで合流できればいいんだけど……[lr]
とにかく、ぼくもここから離れよう。[plc]
最終更新:2010年07月12日 23:39