シナリオ 8月5日(日曜日)・その6
Don't change
※真緒部屋
メイド長「も、申し訳ありません……
自分でも訳が分からなくなって……」
真緒「ぅう……あんまりだ」
八十記を泣かせてしまったせいで、
メイド長の眠れる獅子を起こしてしまった。
部屋に連れ込まれ、軽くお仕置きされる。
あまりにも理不尽な仕打ちに、さすがのぼくも腹を立ててる。
真緒「気持ちは分かりますけど、あれは演技ですよ」
メイド長「は、はい」
真緒「八十記のためでもありますし、何よりメイド長が考えた事じゃないですか」
メイド長「申し訳ありません……」
真緒「……まぁ、そう謝られては」
メイド長「申し訳ありません」
真緒「……うん、もう済んだ事ですし」
メイド長「お許しいただけますか?」
真緒「もうやらないでくれれば」
メイド長「了解致しました」
メイド長「話変わりますが要先生、今回は失敗とも成功とも分かりません」
真緒「はぁ、ぼくは失敗のような気が」
メイド長「そうですか、でしたらなおさら考えなければなりませんね」
真緒「何をです?」
メイド長「新たな作戦です」
真緒「またですか」
メイド長「はい」
真緒「………」
メイド長「どうかしました?」
真緒「いや、その、止めません?」
メイド長「止める? どうしてです?」
真緒「昨日今日とやってきましたけど、
あまり効果があるとは思えないんです」
メイド長「………」
真緒「中二病を治すどころか、泣かせて傷つけて、
逆効果ですよ」
メイド長「………」
真緒「普通の八十記を見てみたいとは思いますが、
これ以上変な事をしない方が良いとぼくは思ってます」
真緒「時間が経てば必ず普通になりますから、
それまではありのままの八十記を受け入れるべきなんじゃないかって」
真緒「だからもう、協力はできないです」
メイド長「………」
真緒「すいませんけど、そういう事です」
メイド長「要先生の言うとおりです……
私もそうだと思いますが……」
何か言いたそう、でも言えないという感じのメイド長。
急ぎすぎな作戦の裏に、ぼくの知らない理由でもあるんだろうか。
真緒「メイド長、何を急いでいるんですか?」
メイド長「え?」
真緒「何かあるんじゃないですか?」
メイド長「………」
黙り込んで何かを考えているようだ。
それはやはり、ぼくの知らない何かがあるからだろう。
それがいったい何なのかを知りたい。
真緒「言って下さい」
メイド長「何か特別な事があるわけではないのですが……」
メイド長「お嬢様は、八十記家の大事な一人娘です。
これから先、そのお立場で色々な社交場にのぞまなければなりません」
メイド長「その時に、今のお嬢様であってはならないのです」
真緒「分かったような分からないような……
パーティーとかそんな所に出るため、という事ですか?」
メイド長「そうです、他にも様々な所に顔を出さなければなりません。
お嬢様も、もうりっぱなレディですから」
真緒「なるほど、お金持ちの家に生まれるのも大変ですね」
メイド長「そうかもしれませんね」
真緒「八十記も大変なんだなぁ……」
メイド長「……ええ」
最終更新:2010年08月13日 20:37