シナリオ 8月7日(火曜日)・その1
ブルーな気持ち
※8月七日
※食堂朝
真緒「………」
夏の朝は涼しい。
これが後二時間もたてば、たちまち暑くなる。
冷房を入れるから問題はないんだけれど、やはりこの自然の涼しさには敵わないと思う。
窓から流れる風を受け、ぼくは八十記と
メイド長の事を考える。
昨日は
メイド長と話したけど、肝心の八十記とはろくに話せていない。
あの二人の様子からして、まだぎこちないのは明白だ。
それに、喧嘩しているとはいえ二人の様子がいつもと違う気がする。
どこか思い詰めたようなメイド長。
そして元気のない八十記。
奏「セーンセ」
真緒「お?」
奏「一人でなにしてるの?」
真緒「あ、ああ、ちょっと考え事をね」
奏「………」
奏「せえらちゃん?」
真緒「……ん、よく分かったな」
奏「だってせえらちゃん元気ないし」
真緒「………」
奏「さっき部屋に行ってたんだけどさ……」
真緒「うん」
奏「……ううん、なんでもない」
真緒「どうしたんだ? 何かあったんだろ?」
奏「たいしたことじゃないんだ」
真緒「そうなのか?」
奏「うん、やっぱり元気なかったなってだけ」
真緒「そっか」
奏「うん……」
真緒(……部屋に行ってみるか)
真緒「すまん北上、ちょっと行ってくる」
奏「え? どこに?」
真緒「八十記の部屋」
奏「え? だめだよ」
真緒「駄目?」
奏「う、うん」
真緒「どうして?」
奏「それは」
メイド長「お嬢様は誰にも会いたくないそうです」
真緒「メイド長」
奏「……そうみたい」
真緒「部屋でひきこもってるのか」
メイド長「色々考えておられるようですね」
奏「ねぇメイド長」
メイド長「はい?」
奏「せえらちゃんなにかあったの?」
メイド長「……それは、どうしてそう思われるのですか?」
奏「元気ないし、それに……」
メイド長「………」
奏「元気ないし……」
親友である八十記を本当に心配してるのが分かる。
見てる方が辛くなる顔だ。
真緒「北上……」
メイド長「北上さん、ご心配には及びません」
奏「え?」
メイド長「今は少し落ち込んでおられますが、きっとすぐに元気になると思います」
奏「ほんと?」
メイド長「はい……必ず元気になると」
北上の問いにそう答えたメイド長だったが、
いつもの覇気もなく、どこか辛そうだった。
奏「メイド長……嘘ついてるし」
メイド長「私は嘘なんて」
奏「アタシには分かるし、せえらちゃんの次にメイド長と仲良しなのはアタシなんだよ?」
メイド長「北上さん……」
真緒「メイド長、落ち込まずに八十記と仲直りできる方法を考えましょう」
メイド長「………」
奏「え? メイド長と喧嘩してたの?」
真緒「あ、うん……メイド長、良いですよね?」
メイド長「ええ、私からお話します。
実は数日前からお嬢様と少しありまして」
奏「だからせえらちゃんもメイド長も元気ないんだ」
真緒「ああ、仲直りしてくれたらすぐに八十記も元気になるんだろうけどな」
メイド長「………」
奏「でも、それだけなの……?」
真緒「え? なんで?」
奏「わ、分かんないけど」
メイド長「いえ、それだけです」
奏「………」
真緒「どうした北上?」
奏「ううん、別に」
真緒「でも、部屋にいるんじゃ話せないな」
真緒「部屋の前で話すのは以前の事で警戒するかもしれないし」
真緒「お昼に降りてきた時にでも捕まえるしかないか」
奏「せえらちゃん、お昼は部屋で食べるって」
真緒「そうなのか」
奏「うん」
真緒「なら、夕食に降りてきた時しかないか」
メイド長「………」
奏「………」
真緒「二人とも元気出して! ぼくが何とかしてみせますから!」
メイド長「………」
奏「………」
最終更新:2010年08月13日 20:56