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シナリオ 8月8日(水曜日)・その2

 ミセスマーメイド


せえら「……行きましたわね」

メイド長「はい」

せえら「ビンタ痛かったですわよ」

メイド長「も、申し訳ありません」

せえら「いえ、わたくしこそ謝らなければいけませんわ」

メイド長「お嬢様」

せえら「メイド長のことはよく分かっていますのに」

メイド長「いえ、私が悪かったのです。
お嬢様のお気持ちを知りながら……」

せえら「ふふ、見てましたでしょう?
先生に言ってしまいましたわ」

メイド長「お嬢様」

せえら「ですけど、やはり無理でしたわね。
初恋は実らないって本当でしたのね」

メイド長「まだ始まってもいないではありませんか。
諦めるのはまだ早いです」

せえら「あら? どうしましたのメイド長?
先生を好きなことに反対していましたのに」

メイド長「……たしかに、反対していましたけど」

メイド長「それは逆にお嬢様を悲しませ、不幸にしてきたんだと私は今さら……」

せえら「メイド長……」

メイド長「私はお嬢様の味方であると言いながら、知らず内に自身の保身に走っていたのです。
どうかお許し下さい」

せえら「悪い事ではありませんわ。それに、それがメイド長の仕事ですから」

メイド長「いえ、私は許せません。ですから、これからはお嬢様と先生が上手くいくように
協力させていただきます」

せえら「お気持ちは嬉しいですけど、もうお見合いは明日ですわ」

メイド長「ですから、まずはそのお見合いをなんとか致しましょう」

せえら「そんなことをしたらメイド長がクビになってしまいますわよ」

メイド長「私はそれでもかまいません」

せえら「そんなの、だめですわ」

メイド長「お嬢様!」

せえら「叫ばれてもだめですわ。メイド長にはずっとメイド長でいて欲しいですから」

メイド長「私は、悲しむお嬢様を見たくありません!」

せえら「ああもう、分かりましたわ。
まったく、先生といいメイド長といい頑固なんですから」

メイド長「ではお嬢様」

せえら「ええ、ですけど明日のお見合いは私がなんとかしますわ」

メイド長「お嬢様が?」

せえら「ええ」

メイド長「でも、大丈夫なんですか?」

せえら「ふふ、ワタクシを誰だと思ってますの?」

せえら「伝説のヘッドに教育された愛弟子ですのよ?」

メイド長「お嬢様……」

せえら「だから、心配なさらずに」

メイド長「はい、お嬢様を信じております」

せえら「ええ。それじゃ、寒いから戻りましょ」

メイド長「はい」



※寮前

メイド長「ではお嬢様、お休みなさい」

せえら「ええ、お休み」

せえら「あ、メイド長」

メイド長「はい?」

せえら「ありがと」

メイド長「いえ、私の方こそ」

メイド長「では」


※せえら視点

せえら「………」

せえら「……行きましたわね」

せえら「ごめんなさいメイド長、先生」



……大好きな二人を困らせることはしたくない。

それに……
メイド長の言うとおり先生と私では住む世界が違う。
それだけじゃない、教え子と先生の関係。

そしてなにより……
先生のあの態度では、私の恋が実る事はまずなさそうね。

ですから、少しでも早く忘れた方が良い。
それがきっと私の幸せ。

メイド長はその事に気がついていて、私に言ってくれてたんだ。
今になって分かるなんて、本当にごめんなさい……


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最終更新:2010年08月13日 21:28
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