シナリオ 8月9日(木曜日)・その1
お見合い前日!?
あっという間に日は流れる。
色んな事が起こった一昨日の夜から昨晩に比べ、
昨日は怖い位に何も起きなかった。
八十記も至って普通に寮の皆と話して過ごしていたし、
ぼくや
メイド長ともまるで何事もなかったかのように話をしてきた。
そして、見合いの件は三人の秘密という暗黙のルールが出来ていて、
寮生に話す事はしなかった。
まぁ、八十記が断ってきてそれから本人が話すまでは……
という感じだ。
きっと笑い話になってくれると思うが、はたしてうまく断れるんだろうか。
こないだの話を聞く限り、難しそうな気がする。
明日、明日八十記がどうなるかが決まる。
もしそうなったらぼくは……
※コンコン
真緒「はい」
メイド長「………」
真緒「メイド長」
メイド長「先生も行かないのですね」
真緒「え、何の事です?」
メイド長「お嬢様のお見合いです」
真緒「え、明日でしょ?」
メイド長「今日ですよ?」
真緒「え」
メイド長「……先ほどお嬢様は出られたようです」
真緒「きょ、今日だったの? でも八十記は明日だって」
メイド長「間違えたのか、それとも最初から嘘をついたのか」
真緒「そんな」
メイド長「要先生、お嬢様は先生にお見合いは何とかすると言いました」
真緒「え、ええ」
メイド長「私にもそう言いました。
ですがお嬢様の性格から考えて、何とかするとは思えないのです」
真緒「ど、どういう事です?」
メイド長「そして先ほど部屋に行ったのですが……」
メイド長「………」
真緒「何があったんですか?」
メイド長「部屋のヤンキーグッズがすべてなくなっていました。
それでゴミ捨て場を見ましたら、袋に詰めてすべて捨てていたんです」
真緒「………」
メイド長「ここからは私の推測になりますが……
おそらくお嬢様はお見合いを断らず、そのまま受けるのではないかと」
真緒「そ、そんな……何で?」
メイド長「それは……分かりません」
部屋のグッズを捨てた。
それはつまり、ここでの自分を捨てたという事か?
そしてそのまま……
真緒「メイド長! 連れ戻しに行きましょう!」
メイド長「え? 連れ戻しに?」
真緒「連れ戻しにです、こんなの納得行かないですよ」
メイド長「ですがまだ断らないと決まったわけじゃ……」
真緒「そうならそうで良いんです。
でもそうじゃなかったらと思うと、じっとしてられません!」
メイド長「………」
真緒「場所はどこですか?」
メイド長「場所は……帝國ホテルの大広間だと聞いています」
真緒「帝國ホテル……」
メイド長「街から少し離れた場所にあるホテルです」
真緒「街って、以前八十記と行った街ですよね?」
メイド長「はい」
真緒「それだけ分かれば大丈夫です。それでは」
メイド長「あ、お待ち下さい。足はあるんですか?」
真緒「う……電車かタクシーで行きます」
メイド長「おそらく間に合いません」
真緒「じゃあ、どうしろって言うんですか?」
メイド長「落ち着いて下さい。私たちのバイクがあります」
真緒「バイク」
メイド長「はい、中庭に置いてありますのでそれを使って下さい」
真緒「ありがとうメイド長! じゃ!」
※
メイド長「………」
最終更新:2010年08月16日 10:07