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シナリオ 8月9日(木曜日)・その2

 帝國ホテル

3/22 見合い相手部分だけ修正

※国道

メイド長の言っていたバイクはすぐに分かった。
急いでエンジンをかけて出発し、今国道を走っている。

詳細な場所は分からないが、何とかなる気がした。
必ずホテルまで辿り着いて八十記を連れ戻せるという根拠のない自信が。

その強気の自信はきっと、八十記への想いの裏返しだと思う。
本当に結婚するかもしれないとなって初めて分かった事、気づけた事。

もう迷いなく言える。
ぼくは八十記が好きだ。

生徒として、異性として、女の子として誰よりも。

だから絶対にお見合いをさせたくない。
そのためなら何でも出来る、してみせる。



気がつけば街の中心部へとさしかかっていた。
三叉路の交差点が目の前だったが、運命が味方してくれているのか、
『帝國ホテルは左折』の看板が出ていた。

後もう少しだ。



※ホテル前

帝國ホテル──
ずいぶんと立派なホテルなのに見覚えがあったのは、
ここはよく政治家や芸能人が使っているホテルだと以前テレビで見たからだ。

入り口には警備員のように待ち構えている制服姿の従業員もいる。
用もなく中に入るのは難しいのかもしれない。

──と、迷っている時間はないな。行くぞ真緒!


真緒「………」

素知らぬ振りをして入り口へ。
警備員がカバンも何も持っていないぼくを見てくるが、声をかけてくる事はない。

そして、すんなりと中に入れた。
拍子抜けだ。


※ホテル中


豪華なホテル内。
従業員や客もやはりそれなりの身なりで、完全にぼく一人浮いてる。
チラチラと見られてるのはそういう事だろう。

真緒「早く部屋を見つけないとまずいな……」

人目につくロビーから離れた方が良いと判断して、通路へと向かった。


※通路

真緒「大広間……ってどこだ?」

人目につかないようにしたのは良いけど、肝心の場所が分からない。
ここは従業員に聞くのが一番早いか。

真緒「お、いた」

目の前、大きなドアの前に二人の男が立っている。
従業員なのか警備員なのか分からないけど、とにかく聞いてみよう。

真緒「すいません、大広間ってどこですか?」

二人の男はぼくの問いに顔を見合わせた。
いや、ぼくの質問ではなく、ぼくの場違いな格好に見合わせているみたいだ。

真緒「あの、分かりませんか?」

もう一度聞くと、二人の男は背中のドアを指差した。

という事はここが大広間で、中に八十記がいる?
驚く程あっさりと見つかった、がしかし──
ドアをガッチリと守っているこの二人の男のせいで中には入れそうにない。

真緒「あの、今ここに八十記せえらがいますよね?」

ぼくの質問で二人の男が一気に険しくなった。
明らかにぼくに警戒している。


まさか、この二人はいわゆるエスピーとかって奴なのか?





※大広間
せえら視点

せえら父
「いやいやいや、今日は本当にめでたい日だ」[pcm]

せえら父
「なぁせえら?」[pcm]

;せえら/私服/a/楽/c
せえら
「え、ええ、とてもおめでたいですわ」[pcm]

西園寺
「しかし、お嬢様がこんなに美しく成長されてるとは」[pcm]

西園寺
「息子は幸せものですな」[pcm]

息子
「こんな子が拙者の妻になるなんて……デュフフ」[pcm]

西園寺
「おいおい、気が早いやつだな」[pcm]

せえら父
「……はは、まぁ結婚じたいはまだ先ですがね」[pcm]

;せえら/私服/a/楽/c
せえら
「………」[pcm]

西園寺
「ん?」[pcm]

せえら父
「どうしました?」[pcm]

西園寺
「先ほどから廊下が騒がしいですな」[pcm]

せえら父
「はは、大方酔っ払いでしょう。なに、エスピーがいますから」[pcm]

西園寺
「ははは、心配無用ですな」[pcm]

※廊下

真緒「……クソッ」

目の前のドアを開けば八十記がいるっていうのに……
この男二人が通せんぼして入れない。

交渉はすべて失敗。
こうなれば、強引に行くか?

二人の体格はぼくの比じゃない。
どこの軍人だよって体だ。
徒労に終わる可能性が高いけど、もうこれしか方法はない。

ここで騒げば、中から出てくる可能性もあるしな。

真緒「……ふぅ、行くか」


※大広間

せえら父
「ん、どうしたせえら? 食事が気に入らないか?」[pcm]

;せえら/私服/a/楽/c
せえら
「いえ……」[pcm]

せえら母
「………」[pcm]

西園寺
「お嬢様に元気がありませんな?」[pcm]

せえら父
「いえ、少し緊張しているだけだと。なぁせえら?」[pcm]

;せえら/私服/a/楽/c
せえら
「……はい」[pcm]

息子
「ふひほひ、せえらちゃんは萌え萌えでござるなぁ」[pcm]

;せえら/私服/a/楽/c
せえら
「も、萌え萌え?」[pcm]

息子
「ゴポッ!!! 拙者オタクではござらんですよ!!」[pcm]

;せえら/私服/a/楽/c
せえら
(き、きもいですわ……)[pcm]

西園寺
「息子はすっかりお嬢様を気に入ったようで」[pcm]

せえら父
「はは……」[pcm]

せえら母
「………」[pcm]

;せえら/私服/a/楽/c
せえら
「………」[pcm]


※ホテル前

真緒「……くそ」

強引に押し切ろうとしても、やはり駄目だった。
男の一人に引きづられ、外に出される有様だ。

しかも、今度妙な事をしたら警察を呼ぶと脅し文句まで残しやがった。
そしてこの軽い騒ぎのせいで従業員に顔を覚えられてしまった。

入り口にいる従業員もぼくを監視してやがる。
クソッ! ここまできて何もできないなんて……

どうすれば良い、どうすれば……


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最終更新:2011年03月22日 22:58
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