シナリオ 8月1日(火曜日)・その4
弱点は魔獣
※コテージ前
どうにも岸岡や莉緒たちが気にかかり、ぼくは戻る事にした。
きっと何事もなく遊んでいると思うけど……
そういえば、オルトロスは見つかったんだろうか。
昨日バタバタしてたせいで莉緒に聞けてないな。
……ま、何も言ってこないのは見つかってないからだろうけど。
芽衣子「ち、近寄るな!」
真緒「岸岡?」
少し前から聞こえた岸岡の声。
莉緒と喧嘩してんだろうか。
芽衣子「き、貴様! 聞こえないのか!」
真緒(とにかく行ってみるか)
※コテージ
真緒「岸岡、どうした」
芽衣子「ま、真緒様! やはり来てくださったのですね!」
真緒「あ、ああ…って、野良犬か」
芽衣子「こ、この魔獣が真緒様への道を塞ぐのです!」
真緒「………」
島にいる野良犬だろうか。
少し汚れてはいるけど、決して大きくはない豆犬が岸岡の前にいる。
吼えてるわけでもなく、嬉しそうに尻尾をふってるんだけどな。
それでも怖い、か。
真緒「大丈夫だよ岸岡、ほら」
犬の頭を撫でてやると、嬉しそうにキャンキャンと吼えた。
人に慣れてるのか、餌を貰えると思っているのか分からないけど、
穏やかな犬だ。
芽衣子「ま、真緒様! 危険です!」
真緒「大丈夫だって、尻尾ふって喜んでるだろ?」
芽衣子「え……ですが」
真緒「はは、可愛いな」
芽衣子「真緒様……」
真緒「うん、もう怖くないから」
芽衣子「そのような魔獣をいとも簡単に……さすがです」
真緒「ま、魔獣って」
芽衣子「そして私の窮地を救っていただき、心から感謝致します」
真緒「そんな大げさな」
芽衣子「やはり私のピンチには必ず真緒様が、真緒様が助けてくれる……」
芽衣子「あ! 真緒様!」
真緒「あ」
餌をくれないと見て取ったのか、ぼくの手から犬は何処へともなく走っていった。
真緒「行っちゃったな」
芽衣子「追い払って下さったのですね……」
真緒「ま、まぁ、それはいいけど、浜で遊んでたんじゃないのか?」
芽衣子「はい、ですが真緒様の帰りがあまりにも遅いので心配になって……」
真緒「ああ、探しに来てくれたんだ」
芽衣子「はい、ご迷惑でしたでしょうか?」
真緒「……まさか。ありがとう」
芽衣子「………」
真緒「それじゃ、戻ろうか?」
芽衣子「え? 浜に戻るのですか?」
真緒「え、だって莉緒たちはまだ遊んでるよね?」
芽衣子「………」
真緒「どうした?」
芽衣子「……真緒様、私の前だけでもそれは止めて下さいまし」
真緒「それ…ってああ、名前か」
芽衣子「はい……」
真緒(またそんな顔して)
真緒「分かった、分かった。謝るからさ」
芽衣子「そんな! 謝らないで下さいまし!」
芽衣子「ただ……」
真緒「なんだ?」
芽衣子「真緒様がその、私に対して少しでも悪いなと思ってくださっているなら」
真緒「うん、思ってるぞ」
芽衣子「でしたら芽衣子をどこかへ、誰もいないどこかへ連れて行ってくださいまし」
真緒「ど、どういう意味だよ」
芽衣子「その、反対側の浜とかでしょうか?」
真緒「あ、ああそういう事か……」
真緒(深読みしすぎだっての)
芽衣子「よろしいですか?」
真緒「ああ、じゃあそうしようか」
芽衣子「はい!」
真緒「でも、程々で戻ろうな。皆心配すると思うしさ」
芽衣子「はい、真緒様のお言葉通りに致します」
真緒(ま、すぐに戻れば大丈夫だろ)
真緒「うん、じゃあ行こう」
最終更新:2010年09月12日 18:04