シナリオ 8月2日(水曜日)・その7
蘇る遠い過去
芽衣子「………」
寮長「岸岡さん?」
芽衣子「……同じだ」
寮長「どうしたんですか?」
芽衣子「寮長、私は寮を出る」
寮長「え?」
芽衣子「……さらばだ」
寮長「え? 岸岡さん?」
※
寮長「出て行ったけど……先生の所に行ったって事?」
寮長「でもあの顔……」
寮長「一度先生に連絡を」
真緒「ただいま」
莉緒「帰ったわよ」
せえら「ただいまですわ」
寮長「あ、先生」
真緒「ただいま、どうかした?」
寮長「あの、帰り道で岸岡さんを見なかったですか?」
真緒「いや」
寮長「………」
奏「なに? メーコがどうかしたの?」
和「なんだなんだ」
真緒「………」
寮長「たぶん迎えに……」
莉緒「でも来なくていいって言ってたじゃない」
せえら「ですわね」
真緒「そうだけど……あいつ」
真緒「とにかく、ちょっと駅の方まで行ってくるよ」
寮長「ついさっきの事ですから、おそらくまだ敷地内にいるはずです」
真緒「分かった。気をつけて探してみるよ」
莉緒「ほっとけばいいわよ、子どもじゃないんだし」
せえら「すぐに戻ってきますわよ」
真緒「そうかもしれないけど、万が一があるからな。
とにかく行ってくる」
※寮敷地門(夕方)
走りながら、でも辺りを見回しながらここまで来る。
でも岸岡の姿はなかった。
寮長の話じゃ、ついさっき出たらしいから追いついてもよさそうなのに。
真緒「………」
漠然とした不安が胸をよぎる。
岸岡と少し距離を離した方が今後のためだと思って、
電話でああ言った。
でも岸岡からすれば、冷たさを感じてしまったかもしれない。
だから寮を出た……
すなわち、家出。
ぼくの考えすぎかもしれないけど、嫌な予感がする。
あの電話の最後だって、切れたというより岸岡が途中で切ったんだと思う。
もう少し、徐々に離していくべきだっただろうか……
莉緒「真緒くん!」
真緒「莉緒、お前どうして」
せえら「みんないますわよ」
真緒「八十記」
寮長「はい、私たちも探しに」
和「だが、ここまではいないな」
奏「寮の周りもいなかったし」
真緒「そうか……」
和「敷地は広いからな、どこかにいるかもしれないぜ」
真緒「そうだな……」
せえら「どうしますの? 敷地内を探すなら
メイド長たちも呼びますわよ」
莉緒「そんな大げさにしなくてもいいわよ。どうせすぐ見つかるわ」
真緒「………」
寮長「そうだと良いんですけど」
奏「とにかく探そうよ。もう日も落ちちゃうし」
和「ああ、そうしようぜキミ」
真緒「分かった、広いから二組になって手分けして探そう。
一時間経って見つからなかったら、一旦寮に戻る事。いいな?」
奏「うん」
和「ああ、いい感じだ」
せえら「ふふ、なかなか頼もしいですわね」
莉緒「………」
寮長「それじゃ先生」
真緒「ああ、行こう」
最終更新:2010年09月12日 18:22