D-8/2-8

シナリオ 8月2日(水曜日)・その8

 きっと…

※寮食堂、(夜)

そして一時間経過。
岸岡を見つけられないまま寮に戻ると、莉緒たちはすでに戻っていた。

莉緒「いなかったのね?」

真緒「ああ、北上と探したんだけどな」

奏「どこにもいなかったし」

和「やれやれ、もう外は暗くて探せないな」

真緒「ああ」

奏「家に帰ってたりしてない?」

寮長「いえ、電話したんですが誰も出なかったので」

奏「それじゃ分からないね」

寮長「はい……」

真緒「………」

せえら「どうしますの?」

真緒「岸岡の携帯は相変らず繋がらないか?」

寮長「はい、電源を切ってるんだと思います」

真緒「そうか……」

莉緒「まったく、なに考えてんのよ」

真緒「そうだな、でも」

莉緒「なによ?」

真緒「今日さ、岸岡抜きで遊んだだろ。だからなのかなって」

莉緒「それくらいで家出みたいなことするわけ? 馬鹿じゃないの?」

真緒「………」

和「ま、馬鹿は言いすぎかもしれんが。たしかにそれくらいのことだな」

和「もう退行は治ったんだろ?」

真緒「ああ、そうだと思うんだけど」

せえら「ちょっとショックを受けて飛び出しただけじゃにゃーですの?」

奏「そうそう、センセの気を引こうってさ」

真緒「それならいいんだけどな」

寮長「先生、あの」

真緒「ん?」

寮長「岸岡さんに電話で何か言いましたか?」

真緒「え? どうして?」

寮長「岸岡さん、電話を切った後凄く暗い顔をしてたんです」

真緒「………」

寮長「だから、それが気になって」

真緒「そうか」

和「なにか言ったのかい?」

真緒「ああいや、迎えに来るって言ってたから来なくていいって」

寮長「そうだったんですか」

真緒「ほんとすぐの所だったし、暗くなるだろうしって思って言ったんだけど」

寮長「岸岡さんはそう受け取ってないのかもしれませんね」

真緒「ああ……」

莉緒「なによ、どういうことよ」

真緒「上手く言えないんだけど、たぶんそれが原因の気がする」

奏「それだけで? どして?」

せえら「まったく岸岡のベッタリは度を越えてますわね」

和「ああ、キミに依存しすぎじゃないかい」

真緒「分かってるよ。それじゃいけないからって気持ちもあってさ、来なくていいって」

真緒「でも岸岡はその……ぼくに冷たくというか」

莉緒「なによ?」


ショックを受けたのは間違いない。
そして、それ以上に岸岡は……

寮長「先生に捨てられたと、そう思っているのかもしれませんね」

真緒「寮長、どうしてそれを」

寮長の言葉は、ぼくが思っていた事だった。
ぼくだけしか知らない事だと思っていたから、口に出すわけにいかないと思っていたのに。

莉緒「捨てられた? なによそれ?」

せえた「どういうことですの?」

寮長「先生、私も岸岡さんから聞いただけで詳しくは知らないのですが」

真緒「うん」

寮長「岸岡さん、子どもの頃に親に捨てられたって」

真緒「親に?」

莉緒「どうせ嘘なんでしょ?」

せえら「……初耳ですわね」

奏「え、メーコのダディとか見たことあるし」

和「……育ての、か」

寮長「嘘かどうかは私も分かりません。ただ、私にだけ真剣に話してくれて。
あの時の岸岡さんは、冗談や面白がって話していた感じではなかったです」

真緒「本当のことだと」

寮長「おそらく」

奏「嘘じゃないとしてもさ、どうしてそれがセンセに捨てられたってなるの?」

奏「センセはメーコのダディじゃないでしょ?」

※※芽衣子的に、恋人みたいな真緒に捨てられる=親に捨てられると同じみたいな

和「そうだな」

真緒「………」

岸岡は親に……
薄々分かっていたせいか、特に驚きはしなかった。

そして、その事は嘘じゃないだろう。
あの時も、あの時も、思い返せば岸岡はいつもぼくに見離される事を恐れていた。

ぼくを親のように思っていてくれているのかは分からない。
でもずっと怖がっていた。

なのにぼくは……


莉緒「ちょっと真緒くん、真緒くんのせいじゃないんだしそんな顔しないでよ」

せえら「ですわよ。別にたいしたことじゃにゃーですわ」

真緒「ああ、ありがとう。でも」

寮長「先生、どうしましょう?」

和「警察……はまだ早いか」

真緒「だな」

奏「でも、どこにいるんだろ……」

真緒「………」


色々考えるのは後だ。
とにかく今は岸岡を探して、寮に連れて帰る事だけを考えよう。

今岸岡がいるであろう場所……
どこだ、どこにいる──

寮長「先生、岸岡さんが行ってそうな場所に心当たりは?」

真緒「心当たりか」

※※余裕があれば選択肢いれたいけど、ちょっとキツスかも※※


少し考えて思い浮かんだ場所。
ハッキリ行って自信はまるでない。
でも、そこしか思い浮かばなかった。

ぼくと岸岡が二人で訪れたあの場所しか──

真緒「ある。今からそこへ行ってくるよ」

寮長「先生、私たちも」

真緒「いや、もう遅いしぼく一人で行くよ。ここで待っててくれ」

せえら「大丈夫ですの?」

真緒「ああ、もしいなかったら電話するから。すぐに学園長と両親に電話して欲しい」

寮長「分かりました」

莉緒「真緒くん、頼むわよ」

真緒「ああ、連れて帰るよ。それじゃ」




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最終更新:2010年09月12日 18:24
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