D-8/2-9

シナリオ 8月2日(水曜日)・その9

 All By Myself


※黒背景

そして一人夜の街へ──

おそらくあそこにいるはずだ。
なぜかは分からないけど、そんな気がする。

あの場所で一人座って、ぼくが来るのを待っている気がする。


※教会外観


教会──

ここに二人で来たのが、つい昨日の事のようだ。

薄暗い教会と辺りの静寂。
本当に中に岸岡がいるのか不安になってきたが、
とにかく行ってみよう。


※中


そして中に足を踏み入れる。
予想通り、岸岡は一人暗闇の教会で座っていた。

真緒「岸岡……やっぱりここに」

芽衣子「……あ」


岸岡がぼくに気がついて椅子から立ち上がる。
その顔は生気の抜けた、とても暗いものだった。

真緒「岸岡、心配したんだぞ」

芽衣子「………」

真緒「でも良かった。ここじゃなかったらどうしようってさ」

芽衣子「………」

真緒「さ、岸岡、一緒に帰ろう」

芽衣子「………」

真緒「岸岡?」

芽衣子「どうしてここが」

真緒「分からない。でも、ここにいる気がしたんだ」

芽衣子「そう……ですか」

真緒「とにかく、寮でゆっくり話そう」

芽衣子「……嫌です」

真緒「嫌? どうして?」

芽衣子「………」

真緒「岸岡、ぼくは怒ったりしないよ。ただ、今日の事とかをちゃんと話をしたいってだけでさ」

芽衣子「そんな上辺だけの優しい言葉……」

真緒「ほんとだって。心配したんだぞ」

芽衣子「………」

岸岡は何も言わず、黙ってぼくを見ている。
久しぶりに見る、その無表情な顔にぼくは戸惑っていた。

今岸岡は何を考えているんだろう。
ぼくに対してどんな気持ちでいるんだろう。

芽衣子「……同じなのです」

真緒「同じ? なにが?」

芽衣子「あの時とまったく同じなのです」

真緒「あの時?」

芽衣子「はい……」

真緒「よく分からないぞ。分かるように言ってくれ」

芽衣子「……あの時も、急に優しくなったのです」

真緒(………)

芽衣子「なのに……いきなりよそよそしくなって」

芽衣子「そして気がついたら、私を置いて……」

真緒「………」

岸岡の言うあの時。
それはもしかして、両親に捨てられた時なんだろうか。

芽衣子「一緒なのです……一緒……」

芽衣子「真緒様も私を、私を……」

真緒(ぼくも同じように捨てると言ってるのか)

真緒「違うよ、全然違うって」

芽衣子「ならどうして私を避けるんですか!」

真緒「違う、避けてなんかない」

芽衣子「昨日まではあんなにも優しかったのにいきなり来なくていいなんて……
芽衣子を置いて遊びにいくなんて……」

真緒「違うんだ、話を聞いてくれ」

芽衣子「……嫌です、なにも聞きたくありません」

真緒「岸岡の事を想っているからこそ、ぼくはそうした方がいいって思ったんだ。
それにここで前にも言っただろ、見捨てる事はしないって」

芽衣子「………」

真緒「岸岡、ぼくを信じてくれ」

芽衣子「……もう嫌なのです、怖いのです」

※※また捨てられる恐怖、悲しみを味わいたくないって意味だけど、分かりにくいかなぁ?

真緒「怖い? どうして?」

芽衣子「………」

真緒「岸岡?」

芽衣子「………」


ぼくは岸岡の言葉を待った。
でもしばらく経っても、口を開こうとしない。

真緒「岸岡、どうして何も言わないんだ?」

芽衣子「………」

真緒「……分かった。とにかく今日は帰ろう」


※※芽衣子の心情として、真緒は自分を見捨てない(嫌いにならない)だろうと思いつつも
※※完全に信じられない、万が一が怖い、だから寂しい気持ちが言えない~みたいな
※※ハーレム状態の真緒のせいだぬ。。愛とは…信じること(キリッ
※※とにかく、そんな思いをするくらいならいっその事真緒を嫌ってしまおうと、逃げちゃおうと
※※逆に言えば、それだけ真緒を失いたくないっていう気持ちの裏返し
※※昔の悲しかった事の再来、失恋するかもしれないという恐怖感が同時に来たというか、
※※心の片隅では当然というか、真緒を想ってます
※※んー分かりにくいねぇ


芽衣子「私は一人で帰ります。先生は一人で帰って下さい」

真緒「せ、先生って……」

芽衣子「………」

真緒「いきなり先生なんてどうしたんだよ! ぼくはそんな悪い事したのか?」

芽衣子「先生、落ち着いて下さい」

真緒「ぐ……」

芽衣子「ただ私は気がついただけなのです」

真緒「気がついたって」

芽衣子「あなたは、魔王様じゃなかったということにです」

真緒「……岸岡」

芽衣子「心配しなくても大丈夫です。ですから、早く出て言って下さい」

真緒「………」

あまりにも露骨な岸岡からの拒絶に言葉を失ってしまう。
たしかにぼくは冷たかったかもしれない。

でもそれは、今後のためを思えばこそで、
岸岡もちゃんと話せば分かってくれるだろうと思っていた。

それなのに、いきなり先生だなんて……

真緒「ぼくを、ぼくを信じてくれないのか?」

芽衣子「………」

真緒「岸岡、ぼくの気持ちを聞いてくれないか」

芽衣子「結構です。どうしてもというなら芽衣子は耳を塞いでおきます」

真緒「岸岡……」

芽衣子「……早く出ていって下さいまし」

真緒「……分かった、今は何も言わない。
だけど寮には一緒に帰るぞ、いいな?」

芽衣子「………」

真緒「行こう……」

黙ったまま、何も言わない岸岡の背中を押して
ぼくは教会を出た。


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最終更新:2010年09月12日 18:26
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