D-8/4-2

シナリオ 8月4日(金曜日)・その2

 魔王vsテラリオン



和「それじゃ、さっそくやるかい?」

真緒「あ、ああ」

莉緒「ちょっと待って」

せえら「なんですの?」

莉緒「着替えてくるわ。ついでに奏も起こしてくる」

和「ふ、テラリオンか」

せえら「まったく……」

莉緒「あたしが戻るまであの女を引き止めておきなさいよ!」


莉緒が食堂を出て行く。
着替えるって、どんな服になるつもりだろ。

和「うまくいけばいいがな」

真緒「だな……」

せえら「そう落ち込むなですわ。やってみなくちゃ分からにゃーですし」

真緒「ああ」

寮長「先生、出来ましたよ」

寮長「あ、阿部高さん八十記さんおはようございます」

和「寮長、今からちょっと一芝居やるぜ」

せえら「ですわ」

寮長「え?」

真緒「その、岸岡の前で莉緒と嘘の決闘するんだ」

寮長「決闘?」

真緒「ほら、魔王のぼくが莉緒に勝てば岸岡もって考えて」

寮長「……はぁ」

和「今着替えに行ってるからな、戻ってくるまで岸岡さんの足止めを手伝ってくれ」

寮長「それはいいですけど」

せえら「寮長が来ましたし、ワタクシもカナちゃんを起こしにいきますわ。
寺井一人じゃ不安ですし」

真緒「ああ」

せえら「では」

和「ふ、八十記さんもなんだかんだで」

真緒「良い奴だよな」

和「ああ」

寮長「でも先生、それで岸岡さんが戻ったとしても……」

真緒「どうしたの?」

寮長「……いえ、ごめんなさい。やってみる前に言っても」

和「なんだい寮長」

寮長「………」

和「っと、来たな」


※芽衣子


真緒「岸岡、もう食べたのか?」

芽衣子「………」

和「なぁ岸岡さん、少し話でもしないかい?」

芽衣子「……話すことなどない」

和「まぁそう言わずに」

芽衣子「失礼する」

寮長「あ、岸岡さん」

芽衣子「ん、なんだ?」

真緒「………」

寮長「あの、私からもお願いします」

芽衣子「……なんだと?」

真緒「………」

芽衣子「いくら寮長の頼みとはいえそれは出来ぬ」

寮長「そう言わずに、ね?」

芽衣子「だめだ」

真緒「岸岡、ちょっとだけだから」

芽衣子「………」

和「いいだろ? 休みなんだしさ」

芽衣子「……失礼」

真緒(やばい、岸岡が)


莉緒「ちょっと待ちなさいよ!!」

真緒(きたー)

真緒(って……着替えってあの服にか)

芽衣子「なんだ貴様……その格好は?」

莉緒「見て分からない? テラリオンの本気モードよ」

芽衣子「なん…だと」

莉緒「いい加減あなたとも魔王ともぐだぐだやるのに疲れたの」

芽衣子「貴様…なにが言いたい?」



和「始まったな。キミも準備はいいか?」

真緒「あ、ああ」

せえら「始まりましたわね」

奏「んん~眠いのに」

真緒「二人も来たか、ここからだな」



莉緒「分からないの? ここで決着をつけるってことよ!」

芽衣子「………」

莉緒「ふふ……言葉もないのね。でも心配しなくてもいいわ」

芽衣子「なに?」

莉緒「あなたとじゃないの。私が戦うのはそこの魔王よ!」

芽衣子「………」

莉緒「さぁ魔王、今日ここで息の根を止めてやるわ」

和「ほら、来たぜキミ」

せえら「まぁ、適当に魔王のふりをするですわ」

奏「よく分からないけど、アタシ見てるし頑張って」

真緒「あ、ああ」

真緒(魔王のふり…魔王のふり……)

莉緒「ちょっと! なに黙ってんのよ!」

真緒「ふ……こうるさい小娘だ」

芽衣子「!?」

莉緒「……ふふん、ついに魔王覚醒ってわけね。やはり私の勘に間違いはなかったわ」

真緒「さすがだなテラリオン。だが貴様の人生も今日ここまでよ」

莉緒「こっちの台詞だわ」

芽衣子「これは……」

莉緒「あなたはそこで見てなさいよ。魔王が倒れる姿をね!」

芽衣子「き、貴様」

莉緒「さぁ、行くわよ魔王」

真緒「か、かかってこい!!」

莉緒「たぁーーーー」

※黒

真緒「うは」

ぼくに体当たりをしてきた莉緒。
元気が良いというか、手加減を知らないというか、
思いっきりだ。

そして小声でぼくに言った。

莉緒「真緒くん、あたしを突き飛ばす感じにして」

真緒「でもお前」

莉緒「いいからやんなさいよ。派手に転んだげるから」

真緒「わ、分かった。行くぞ莉緒」

莉緒「ええ」


真緒「こんな攻撃など聞かぬわー!」

ぼくは莉緒を突き飛ばす。

莉緒「きゃ、きゃあああああ」

派手に転んでいく莉緒。
かなり上手い演技なんだけど、
特撮ものの敵役みたいに綺麗に倒れすぎてわざとらしさが出まくってる。

莉緒「く……やるじゃない! でもまだまだよ!」

莉緒「あ…れ? 立てない?」

莉緒「こ、これが魔王の力なの? な、なんてことなの……」

芽衣子「………」

床に尻もちをついたまま、迫真の演技を続ける莉緒と
それをどこか冷めた目で見てる岸岡。

ばれてるのか、そうでないのか……
いや、ぼく次第だな。
莉緒はよくやってくれてる。

真緒「ふはははは! どうだ小娘! これが魔王の力よ!」

莉緒「く……目が、目が霞んで来たわ」

真緒「あっけない幕切れだったなテラリオン。
苦しまず逝くがよい」

莉緒「く……生まれ変わった今度こそ必ず……」


※ばた


奏「リオ死んじゃった」

せえら「ですわね」

和「なかなか面白いな」

寮長「………」



真緒「ふ……邪魔者は消えた。なぁ、我が右腕よ」

芽衣子「………」冷めてる

真緒(……ぬう)

真緒「こ、これで冥界に敵もいなくなるわけだ。そうだろう?」

芽衣子「………」

真緒
「我が冥界の騎士よ? いったいどうしたのだ?
ぬしは魔王ぞ?」

芽衣子「………」

岸岡は何も言わずぼくを見ている。
すべて見透かしているような、そんな目で。

真緒「め、冥界の騎士よ?」

芽衣子「………」

真緒「あ」

岸岡は何もいわず食堂を出て行った。
作戦失敗だ……



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最終更新:2010年09月12日 22:15
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