D-8/5-2

シナリオ 8月5日(土曜日)・その2

 胸の奥で



真緒「と、来たみたいだな」

和「連れて来たぜ」

莉緒「まったく、なんなのよ」

芽衣子「………」

和「さ、キミぃ」

真緒「あ、ああ」

芽衣子「………」

真緒「なぁ岸岡、今からちょっと街にでも行かないか?」

芽衣子「……は?」

莉緒「なに? なに言ってるわけ?」

和「寺井さんは俺と離れておこうか」

莉緒「ちょ、ちょっと和」

※退場

真緒「今からなんだけど、行ける?」

芽衣子「いったいさっきからなにを言っているのです」

真緒「いやだから、今から二人で出かけないかってさ」

芽衣子「……下らない、こんなことのために私を呼んだのか」

真緒「岸岡」

芽衣子「何度も言っていますが、もうあなたは魔王様じゃありません。
金輪際話しかけないで頂きたい」

金輪際と冷たく言い放った岸岡に、ぼくは少しカチンときた。
いくらなんでも、そこまで言うのかって。

真緒「岸岡、それはちょっと言いすぎじゃないか? ぼくはそんなに酷い事をしたのか?」

芽衣子「………」

真緒「どうしてだよ! どうしていきなりそんな!」

芽衣子「………」

真緒「なんで黙ってるんだよ!」

和「ま、まぁキミも落ち着きたまえ」

せえら「ですわセンコー」

真緒「あ、ああ……ごめん」

芽衣子「………」

真緒「………」

芽衣子「……では失礼」

寮長「岸岡さん」

芽衣子「なんだ?」

寮長「その、実は先生に備品の買い付けをお願いしているんです」

真緒「寮長?」

芽衣子「それがどうした?」

寮長「先生はまだ道が分かりませんから、以前のように岸岡さんが道を案内してもらえませんか?」

芽衣子「……悪いが断る。私以外が行けばいいだけの話だ」

寮長「それが、寺井さんたちも私も今日は学園に行かなければなりませんので」

芽衣子「………」

寮長「案内するだけですから」

芽衣子「……案内だけだぞ」

寮長「はい、もちろんですよ。ね、先生?」

真緒
「あ、ああ。もちろんそれで良いぞ」

芽衣子「………」

寮長「それじゃメモを持ってきますから、待ってて下さい」

真緒(メモ? 嘘じゃなかったのか?)

奏「気をつけて行ってきてね」

せえら「ですわよ」

真緒「ああ、大丈夫だよ。なぁ岸岡?」

芽衣子「………」

和「楽しんできたまえよ」

莉緒「変なことしたら許さないわよ」

真緒「変な心配しなくてもいいって」

芽衣子「………」


寮長「お待たせしました。これがメモです」

寮長からメモを受け取る。
商品と店が書かれた紙の最後の下に、『頑張って』と書かれていた。

真緒「うん、行ってくるよ」

寮長「はい」

真緒「それじゃ岸岡、行こうか」

芽衣子「………」

寮長「行ってらっしゃい」



※※同場所

寮長「………」

せえら「寮長もなかなかやりますわね。とっさにあんな嘘をつくなどとは思わなかったですわ」

奏「え? 嘘だったの?」

寮長「あ、いえ、嘘というか本当にしちゃいました。買ってきてもらいたい物もありましたし」

和「ふ、さすが寮長だ。抜け目ないぜ」

寮長「でも、大丈夫かな」

莉緒「……まだ無視ってたじゃない」

せえら「ですわね」

和「ああ、心配だが……二人きりだから嫌でもな」

奏「そだね。きっと大丈夫だよ」

寮長「そうですね。そう信じて二人の帰りを待ちましょうか」



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最終更新:2010年09月12日 22:22
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