シナリオ 8月5日(土曜日)・その2
胸の奥で
※
真緒「と、来たみたいだな」
和「連れて来たぜ」
莉緒「まったく、なんなのよ」
芽衣子「………」
和「さ、キミぃ」
真緒「あ、ああ」
芽衣子「………」
真緒「なぁ岸岡、今からちょっと街にでも行かないか?」
芽衣子「……は?」
莉緒「なに? なに言ってるわけ?」
和「寺井さんは俺と離れておこうか」
莉緒「ちょ、ちょっと和」
※退場
真緒「今からなんだけど、行ける?」
芽衣子「いったいさっきからなにを言っているのです」
真緒「いやだから、今から二人で出かけないかってさ」
芽衣子「……下らない、こんなことのために私を呼んだのか」
真緒「岸岡」
芽衣子「何度も言っていますが、もうあなたは魔王様じゃありません。
金輪際話しかけないで頂きたい」
金輪際と冷たく言い放った岸岡に、ぼくは少しカチンときた。
いくらなんでも、そこまで言うのかって。
真緒「岸岡、それはちょっと言いすぎじゃないか? ぼくはそんなに酷い事をしたのか?」
芽衣子「………」
真緒「どうしてだよ! どうしていきなりそんな!」
芽衣子「………」
真緒「なんで黙ってるんだよ!」
和「ま、まぁキミも落ち着きたまえ」
せえら「ですわセンコー」
真緒「あ、ああ……ごめん」
芽衣子「………」
真緒「………」
芽衣子「……では失礼」
寮長「岸岡さん」
芽衣子「なんだ?」
寮長「その、実は先生に備品の買い付けをお願いしているんです」
真緒「寮長?」
芽衣子「それがどうした?」
寮長「先生はまだ道が分かりませんから、以前のように岸岡さんが道を案内してもらえませんか?」
芽衣子「……悪いが断る。私以外が行けばいいだけの話だ」
寮長「それが、寺井さんたちも私も今日は学園に行かなければなりませんので」
芽衣子「………」
寮長「案内するだけですから」
芽衣子「……案内だけだぞ」
寮長「はい、もちろんですよ。ね、先生?」
真緒
「あ、ああ。もちろんそれで良いぞ」
芽衣子「………」
寮長「それじゃメモを持ってきますから、待ってて下さい」
真緒(メモ? 嘘じゃなかったのか?)
奏「気をつけて行ってきてね」
せえら「ですわよ」
真緒「ああ、大丈夫だよ。なぁ岸岡?」
芽衣子「………」
和「楽しんできたまえよ」
莉緒「変なことしたら許さないわよ」
真緒「変な心配しなくてもいいって」
芽衣子「………」
寮長「お待たせしました。これがメモです」
寮長からメモを受け取る。
商品と店が書かれた紙の最後の下に、『頑張って』と書かれていた。
真緒「うん、行ってくるよ」
寮長「はい」
真緒「それじゃ岸岡、行こうか」
芽衣子「………」
寮長「行ってらっしゃい」
※※同場所
寮長「………」
せえら「寮長もなかなかやりますわね。とっさにあんな嘘をつくなどとは思わなかったですわ」
奏「え? 嘘だったの?」
寮長「あ、いえ、嘘というか本当にしちゃいました。買ってきてもらいたい物もありましたし」
和「ふ、さすが寮長だ。抜け目ないぜ」
寮長「でも、大丈夫かな」
莉緒「……まだ無視ってたじゃない」
せえら「ですわね」
和「ああ、心配だが……二人きりだから嫌でもな」
奏「そだね。きっと大丈夫だよ」
寮長「そうですね。そう信じて二人の帰りを待ちましょうか」
最終更新:2010年09月12日 22:22