シナリオ 7月2日(月曜日)・その1
初出勤は慌しく
真緒
「……ん?」[plc]
真緒
「……な、何だ?」[plc]
ドア向こうから聞こえる音に目が覚めた。[plc]
ぼんやりした頭で時計を見ると、目覚ましが鳴るちょうど五分前。[plc]
真緒「五分前……」[plc]
昨日寝るのが遅かったせいか、まだ眠くて仕方ない。[plc]
無事に起きる事が出来たのはいいけれど……[lr]
なんとも目覚めの悪い朝だ。[plc]
莉緒「…また…魔す…子」[plc]
芽衣子「……緒」[plc]
寝起きの頭に入ってくるのは莉緒と岸岡の声。[plc]
どうやら、二人のかん高い声が目覚まし代わりになったようだ。
[plc]
真緒「はぁ……また喧嘩してるのか」[plc]
同じ寮に住むって事はつまり、二十四時間仕事みたいなもんなんだよな。[plc]
勤務時間外でも生徒が見ているから、だらしない格好や生活はできないわけで……[plc]
ふうっと一息ついてベッドから起き上がる。[plc]
鏡に向かい寝癖のついた髪をなおして、はだけた服も着なおした。[plc]
一通り身だしなみを整え終えて、初仕事をするべくぼくはドアを開けた。[plc]
真緒「二人ともおはよう」[plc]
莉緒「ハッ! 目覚めたというの![lr]
そんな……私の計画が……」[plc]
芽衣子「おはようございます魔王様」[plc]
真緒「二人とも朝から元気だね。一応聞くけど、喧嘩してたの?」[plc]
莉緒「弱っている魔王を倒しに来ただけよ!
岸岡芽衣子が邪魔しなければ真緒君を助けられたのに!」[plc]
真緒「なるほど、ね」[plc]
真緒「岸岡は?」[plc]
芽衣子「………」[plc]
真緒「岸岡、どうなんだ?」[plc]
芽衣子「あ、朝のご奉仕を……」[plc]
真緒「ご、ご奉仕!?」[plc]
芽衣子「はい……」[plc]
ご、ご奉仕っていったい?[lr]
岸岡は恥ずかしそうにしてるし……まさか![plc]
莉緒
「どうせとんでもないことよ真緒くん。[lr]
エッチなことするつもりだったんでしょ」[plc]
真緒「な!!」[plc]
莉緒「なに驚いてるのよ」[plc]
真緒「い、いや……」[plc]
真緒(頭の中をのぞかれたのかと……)[plc]
芽衣子「て、寺井莉緒……貴様」[plc]
莉緒「あら、図星だったかしら?」[plc]
芽衣子「そ、それ以上口を開くとその身が無いと思え」[plc]
莉緒「やるっていうの? 望むところよ!」[plc]
真緒「………」[plc]
朝からこのノリなのか……[plc]
つ、ついていけない。[plc]
真緒「あー、二人が喧嘩するつもりで来たんじゃないのは分かった。[l]分かったから、一度落ちつこう。な?」[plc]
莉緒「そう、喧嘩じゃないわ真緒くん。これは宿命なのよ」[plc]
芽衣子「………」[plc]
真緒「あーうん、分かったからさ。とにかく、莉緒は傘をこっちへ渡して。[l]岸岡もその木刀を預かっとくから」[plc]
莉緒「アンブレイラを渡せですって![lr]
そんなこと、そんなことするわけないじゃない!」[plc]
予想通りの答えというか……[lr]
裏切ってくれてもいいんだぞ莉緒。[plc]
真緒「どうしてもか?」[plc]
莉緒「アンブレイラがなければ私は……[lr]何の力もない人間なの」[plc]
莉緒「ま、まさかそれを見抜いて! 誰が魔王に渡すもんですか!!」[plc]
怪我させたくないから言ってるんだ。[lr]
と言った所で、文句つけてくるだけなのは目に見えてるな。[plc]
仕方ない。[lr]
莉緒はとりあえずまた後にするとして──[plc]
芽衣子「魔王様」[plc]
真緒「岸岡はちゃんと渡してくれるよな?」[plc]
芽衣子「芽衣子とお呼び下さい魔王様。
この剣に関しましては……いかに魔王様といえど」[plc]
真緒「渡せないのか?」[plc]
芽衣子「はい。なぜなら、この剣は魔王様をお守りするためのもの。[l]例え魔王様に疎まれようと、これを離すわけにはいかないのです」[plc]
真緒「あ、ああ、そう」[plc]
芽衣子「……申し訳ありません」[plc]
真緒「まぁ、とりあえず今日はいいよ。[lr]
あとさ、ぼくは魔王じゃなくて先生だからな」[plc]
芽衣子「はい、愚民を騙す仮の職業ですね」[plc]
真緒「あ、いや、だから……」[plc]
真緒「とにかく魔王って呼ぶのは駄目だ。いいな?」[plc]
芽衣子「それは……魔王様がそう仰るなら」[plc]
真緒「うんうん」[plc]
芽衣子「……では、なんと呼べばよろしいのでしょうか?」[plc]
真緒「普通に、先生だ」[plc]
芽衣子「分かりました」[plc]
真緒「そうか、岸岡は話が分かる子だな。助かるよ」[plc]
芽衣子「当然のことです」[plc]
莉緒「………」[plc]
芽衣子「では、真緒様と呼ばせて頂きます」[plc]
真緒「ええっ!?」[plc]
ぜ、全然分ってない。[lr]
素直に聞き入れたと思って喜んだのに……[plc]
芽衣子「………」[plc]
真緒「あのね……」[plc]
芽衣子「なんでしょう真緒様」[plc]
ため息が自然とこぼれてしまう。[plc]
魔王よりはましな呼び方だけど、
真緒様はちょっと危険な匂いがするっていうか……[plc]
学園内でそんな呼ばれ方されたら、変な誤解をうけるのは間違いない。
妙な誤解や噂になる前に直させないと、
ぼくの教師生活は短命に終わる。[plc]
なんて事も十分ありうるわけで……[plc]
真緒「……まぁ、また後でゆっくり話そうか。[lr]
それよりも行く準備しないといけないから、
二人はご飯でも食べておいでよ」[plc]
芽衣子「もう済ませてあります」[plc]
真緒「あ、そうなんだ」[plc]
莉緒「ふふんっ! 笑っちゃうわね![lr]
魔王様の命令を聞かない僕なんて、忠実な部下と呼べるのかしら?」[plc]
芽衣子「貴様……」[plc]
莉緒「また図星ついちゃった? 私だったら考えられないわ。[l]
それで本当に忠誠を誓ってると言えるのかしらね? フフ」[plc]
芽衣子「一度ならず二度までも……許すまじ寺井莉緒」[plc]
莉緒「魔王の手下に許してもらうことなんてないわよ」[plc]
真緒「お、お前ら……」[plc]
呆れて何も言えない。[lr]
先が思いやられる……[plc]
もうここは華麗に流しておこうか。[lr]
そろそろ準備しないといけないし──って[plc]
真緒「う、嘘だろ……」[plc]
廊下の壁掛け時計を見て血の気が引いた。[plc]
二人と話してた時間はせいぜい二、三分だと思ってたのに実際は……
こ、これはまずいな……[lr]
このままだと遅刻だ……[plc]
真緒「やばい!」[plc]
莉緒「真緒くん?」[plc]
芽衣子「真緒様?」[plc]
初日から遅刻だなんて……[lr]
社会人としてやっちゃいけない。[lr]
い、急がないと。[plc][ws]
莉緒「どうしたっていうの?」[plc][ws]
芽衣子「なぜ慌てておられるのです?」[plc]
真緒「遅刻する、先に行くよ」[plc]
それだけを言うと、ぼくは走り出した。[plc]
後ろから何か聞こえるが、構っていたら間違いなく遅刻する。[plc]
莉緒「まだ大丈夫だよ~」[plc]
芽衣子「真緒様お待ち下さい」[plc]
最終更新:2010年07月13日 00:05