シナリオ 7月2日(月曜日)・その2
八十記とバイク
寮長「あ、先生、おはようござ──」[plc]
真緒「ああ、おはよう!」[plc]
真緒「ふおおおお。急げ急げーー!」[plc]
寮長「……朝ご飯、どうしましょう」[plc]
莉緒「あ、寮長。真緒くん見なかった?」[plc]
寮長「寺井さん、おはようございます」[plc]
芽衣子「真緒様はどこに……」[plc]
寮長「岸岡さん、おはようございます」[plc]
莉緒「ここは通らなかったのかしら……でもそんなはずは」[plc]
芽衣子「ふふ……さすが魔王様」[plc]
莉緒「どういうことよ!?」[plc]
芽衣子「あの慌てぶりで分からないか?[lr]
覚醒の時がせまってるということを」[plc]
莉緒「な、なんですって!?」[plc]
寮長「………」[plc]
朝食も取らず、何とかここまで来た。[plc]
このまま走れば間に合うはず。[lr]
だけど初めての通勤だから、油断しちゃ駄目だな。[plc]
莉緒たちは大丈夫だと言っていた気がする。[lr]
たしかに時間だけ見れば、生徒なら大丈夫だろう。[plc]
しかし教師であるぼくが、生徒と同じ時間にいって良いはずもない。[plc]
特に今日は職員会議があるため、いつもより早いそうだ。[plc]
おそらくは新任教師の挨拶と紹介。[lr]
その当の本人が遅刻なんてしたら……[plc]
最悪のスタートだ。[plc]
真緒「ん? あれは、八十記か」[plc]
目の前に自転車に乗ってる八十記がいる。[lr]
なんだかずい分のろのろとしてるけど、大丈夫か?[plc]
気がつけば、走っているぼくが追いついてしまった。[plc]
真緒「おはよう八十記」[plc]
せえら「あら、おはよう……だぜセンコー」[plc]
真緒「だから、センコーじゃなくって……」[plc]
せえら「そんなことより、どうして走ってますの?」[plc]
真緒「あ、ああ、遅刻しそうなんだ。だから走ってる」[plc]
せえら「初日から遅刻なんて、なかなか見所がありますわね……」[plc]
真緒「はは……まいったな」[plc]
せえら「そうですわ。[l]困ってらっしゃるようでしたら、ワタクシのバイクで送ってあげますわよ」[plc]
真緒「え? 本当? でもバイクって?」[plc]
せえら「センコーは目が腐ってらっしゃるんじゃにゃーです? 目の前にあるのですわ」[plc]
真緒「ど、どれだ?」[plc]
せえら「こ・れ・ですわ」[plc]
真緒「え?」[plc]
パンパンと自転車のハンドルを叩いて誇らしげに八十記が言った。
まさか…まさか……[lr]
さ、さすがにこれはジョークだよな?[plc]
真緒「じ、自転車しかないけど?」[plc]
せえら「バイクですわ」[plc]
どこからどう見ても、カゴの付いた、いわゆるママチャリと呼ばれる
自転車。[plc]
よく見かけるそれとちがう所は、電動モーター付きで少し高級そうって所。[plc]
だけど……バイクとは程遠い。[plc]
せえら「つべこべ言わず乗れですわ」[plc]
真緒「え?」[plc]
せえら「走るより楽だし早いですわ」[plc]
真緒「楽だろうけどさ……」[plc]
走った方が早そう……と言うのは止めておこう。
[plc]
せえら「なにしてますの!? 早く後ろに乗れですわ!」[plc]
真緒「気持ちは嬉しいけどさ、二人乗りは」[plc]
せえら「そんな規則など破ってしまえなのですわ。[l]
それに、誰も見てませんわ。さあ」[plc]
辺りを見る。[lr]
たしかにぼくら以外、人の気配は無い。[plc]
真緒「わ、分かった。今日だけだぞ!」[plc]
遅刻するよりは……と自分を納得させて
自転車の後ろに乗った。[plc]
そして気づく。[lr]
普通は逆だ![plc]
まして八十記は生徒で、ぼくよりずっと下の女の子。
男としてかっこ悪い。[plc]
真緒「八十記、ぼくが前になろうか?」[plc]
せえら「黙って乗ってろですわ。[l]数々の峠で鳴らしたワタクシの腕前をそこでよ~く見てなさい」[plc]
真緒「いや、でもぼくは男だしさ」[plc]
せえら
「いいから黙って乗ってろですわ」[plc]
真緒「………」[plc]
これで良いのかと思いつつ、
断り続けてもらちがあかなそうなので折れる事にした。[plc]
真緒「分かった。ありがとう八十記」[plc]
せえら「べ、別に礼を言われる程のことじゃにゃーですわ。[l]
舎弟が困ってたら助けるのがヘッドの務めですわよ」[plc]
真緒「しゃ、舎弟?」[plc]
せえら「行きますわよ。しっかり捕まってないと振り落とされますわ」[plc]
真緒「……ゴクリ」[plc]
走ってるぼくに追いつかれる程、のろのろとペダルをこいでた八十記。[plc]
でも、本気をだせば早いのかもしれない。[plc]
なんせ電動もついてるしな![lr]
期待してるぞ八十記![plc]
真緒「………ぉお」[plc]
せえら「……ま、まったく、センコーは重いですわね」[plc]
真緒(ぜ、全然進んでない……このままじゃ遅刻)[plc]
せえら「いくら朝飯前とは言いましても限度というものが──」[plc]
真緒(……やっぱり走っていこう)[plc]
せえら「それだけじゃありませんわ、今日はバイクの調子がなぜか悪いんですの」[plc]
真緒「あ、あのさ八十記」[plc]
せえら「なんですの? 運転中ですので、あまり話しかけるんじゃにゃーですわ」[plc]
真緒「あ、ああ、それなんだけどさ、先生は走っていくよ」[plc]
せえら「あら? なぜなんですの?」[plc]
真緒「い、いや、このままだと遅刻するしさ」[plc]
せえら「……それはワタクシが遅いと?
そう仰りたい?」[plc]
真緒「ま、まぁ、ほら、八十記は女の子だしさ、しょうがないよ。
と、とにかくそういう事だから」[plc]
自転車から飛び降り、走り出す。[plc]
せえら「お待ちなさい!」[plc]
真緒「ぐえっ!?」[plc]
その瞬間、後ろから服を引っ張られ、
真新しいシャツが喉に食い込んだ。[plc]
真緒(く、首が絞まる……)[plc]
せえら「納得いかにゃーです」[plc]
真緒「……わ、わかったから離して」[plc]
せえら「あら、失礼しましたわ」[plc]
軽い口調でそう言うと、八十記は手を離した。[plc]
まったく……[lr]
納得いかないって言ったって……[plc]
遅いものは遅いんだし、話してる時間も余裕も無いっての。[plc]
ここは……適当にあしらって早く行くに限る。[plc]
せえら「今日はたまたまですのよ? 少しバイクの調子が悪いようですし」[plc]
真緒「あ~やっぱりか! そうだと思ったんだよ、ははは!」[plc]
真緒「バイクの調子が悪いのなら仕方ないな、うん。[l]
八十記のせいじゃあない、うんうん」[plc]
せえら「………」[plc]
ちょっとわざとらしかったか?[lr]
ええい、気にしてる暇はない。[lr]
とにかく、少しでも早くこの場を離れよう。[plc]
真緒「じゃ、そういう事で!」[plc]
せえら「……なんだか気に入りませんわ。[lr]
もう一度乗れですわセンコー」[plc]
真緒「急いでるから、じゃ!」[plc]
せえら「鉢植え」[plc]
ポツリと発せられた言葉に足が止まる。[plc]
『もう一度、落とすぞ』[lr]
と、そう言っている気がしたからだ。[plc]
せえら「鉢植え」[plc]
真緒「……で、でも遅刻しちゃうんだよ。[lr]
分かってくれ八十記」[plc]
せえら「遅刻すればいいんですわ」[plc]
真緒「そういう訳には……」[plc]
せえら「さ、後ろに乗れですわセンコー」[plc]
時間だけが……淡々と過ぎていく。[lr]
なんとか、なんとかしないと。[plc]
そうだ![plc]
真緒「八十記、先生が前になってもいいか?」[plc]
せえら「ダメだと言いましたわ」[plc]
真緒「先生も昔、峠で乗ってたんだよ![lr]
八十記にその腕前を見せたくてさ![lr]
な? いいだろ!!」[plc]
自分でも白々しく思える、この必死アピールは届くだろうか?[plc]
せえら「そ、そうでしたの!?[lr]
それは是非、見せてもらいたいですわ!」[plc]
そんなぼくにとまどったのか、本当に信じたのか。[l]
ともかく、素直に聞き入れてくれたようだ。[plc]
真緒「よし! 乗れ!」[plc]
せえら「ふふ……なかなか見所がありますわね」[plc]
真緒「ぶつくさ言ってないで早く!」[plc]
せえら「分かりましたわ」[plc]
真緒「飛ばすぞ!」[plc]
せえら「ええ、ぶっとばせですわ!!」[plc]
★7/2---スチル1
- 朝、寮から学園への道、自転車二人乗りをする二人(制服)
- 真緒がこいで、せえらは後ろで立ってる構図かな、風で髪がなびいてる~とかいいかも
- せえらが真緒を気に入った瞬間でもあります
- 表情は、せえらが気持ちよさようにしてる顔かな。慌ててる顔もあればベストだけどここ短いのでw
○狙い・・せえらのお嬢様っぽさ、可愛さをプレイヤーに届けましょう
○時間・・朝
○場所・・外(自然豊かな田舎道)
○人物・・せえら(真緒?)
○服装・・制服
○表情・・上記に
○構図・・上記に
○
シナリオ実例・・以下(短いですがアイキャッチ、後半回想等に使います)
真緒「ふう、なんとか間に合いそうだな」[plc]
せえら「ま、ワタクシのおかげですわね」[plc]
遅刻するって半分諦めてたけど、このペースだと間に合いそうだ。[plc]
自転車はやっぱり早いな。それになにより楽。[lr]
後ろに乗せているっていっても、そう体重があるとは思えない八十記だ。[plc]
せえら「先生、初夏の風がここちよいですわね」[plc]
真緒「ああ、涼しくて気持ち良いね」[plc]
せえら「ええ……ほんとですわ」[plc]
真緒「って、あれ? 今、先生って?」[plc]
せえら「!?」[plc]
「普通な方が可愛いよ」
「聞き間違いかな?」
可愛い
真緒「その喋り方の方が可愛いと思うよ」[plc]
せえら「な、な、なにを言ってるんですのこの馬鹿センコーは!?」[plc]
せえら「き、聞き間違いなんじゃにゃーのかよ。[l]
お、オラッ、もっと飛ばすのですわ!」[plc]
真緒「はいはい……」[plc]
無理してそんな言葉を使わない方が可愛いのに……
もったいない子だ。[plc]
そんな事を思いながらペダルを漕いでいく。[plc]
学園は、もう目の前だ。[plc]
※合流地点へ
聞き間違い
真緒「聞き間違いかな?」[plc]
バッチリ聞こえていたんだけど、聞かなかった事にしてあげよう。
せえら「そ、そうですわ! ほんっと耳まで悪いんですのね、この馬鹿センコーときましたら」[plc]
真緒「そうだよね、ヤンキーは先生なんて言わないよね」[plc]
せえら「……そ、それはもういいからもっと飛ばせですわ!」[plc]
真緒「はいはい……」[plc]
無理してそんな言葉を使わない方が可愛いのに。
もったいないっていうか。[plc]
そんな事を思いながらペダルを漕いでいく。[plc]
学園はもう目の前だ。[plc]
***合流地点
最終更新:2010年11月07日 09:48