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シナリオ 7月1日(日曜日)・その7

 初めての夕食


幸いな事に、これまでの六人が寮に住む全員だと分った。[plc]
六人なら、何とか目が行き届くかもしれない。[plc]

いや、『かも』ではなく行き届かせなきゃいけないか。[plc]

でも、このお嬢様を相手にぼくはちゃんとやり遂げることができるのだろうか。[plc]

相変わらず訳の分からない事ばかり言っている彼女たちを横目で見ながら、そんな事を考えていた。[plc]

さて、これから夕食なわけなんだけど……[plc]

莉緒「………」[plc]

ぼくをにらみつけている莉緒。[plc]

芽衣子「魔王様は何もせず椅子に座ってお待ち下さい」[plc]

夕食の手伝いをしようとするぼくを椅子に座らせる岸岡。[plc]

奏「家事なんてロックじゃないし」[plc]

ぶつくさ言いつつもちゃんと準備をしている北上。[plc]

せえら「早く飯を持ってこいですわ!」[plc]

特に何もせず、椅子に座って踏ん反り返ってる八十記。[l]
チラチラと寮長たちを気にしている様子は手伝いたそうに見える。
[plc]

和「これからは男も料理できないとな」[plc]

そんな事をいいながら準備をしている阿部高。[plc]
そして、そんなメンバーを特に気にする事もなく淡々と準備を進める寮長。[plc]

彼女にとっては当たり前の光景なんだろうな。[plc]
──ぼくがそう思える様になるのは、いったいいつだろう。[plc]



寮長「それでは、準備できましたのでいただきましょう」[plc]

真緒「お疲れ様だね」[plc]

寮長「いえ……[l]あ、せっかくですから、今日は先生にやってもらいましょうか」[plc]

芽衣子「異論はない。言わなければ私が提案していた」[plc]

莉緒「私は反対よ!!」[plc]

真緒「えっと、何かするのかい?」[plc]

寮長「はい。といっても、いただきますって言ってもらうだけですよ」[plc]

真緒「ああ、そんな事か。お安い御用だよ」[plc]

奏「センセ、ロックなのを頼むよ」[plc]

和「楽しみだな」[plc]

せえら「気合の入ったのをお願いしますわ」[plc]

真緒「……はいはい」[plc]

芽衣子「魔王様、ここは威厳のあるご発言を。この者たちにここで立場を分からせるべきです」[plc]

莉緒「岸岡芽衣子!!」[plc]

芽衣子「やはり噛み付いてきたか寺井莉緒」[plc]

寮長「二人とも、喧嘩はいけませんよ」[plc]

莉緒「魔王と同じ食卓だなんて……なんて屈辱なの」[plc]

芽衣子「光栄だと思え寺井莉緒」[plc]

莉緒「思うわけないでしょう!!」[plc]

真緒「お、お前ら落ち着け……」[plc]

莉緒「真緒くんは黙ってて!!」[plc]

芽衣子「馬鹿な女だ。魔王様の慈悲すらも分からず騒ぎ立てるとは」[plc]

莉緒「なんですって~!!」[plc]

芽衣子「ふふ」[plc]

莉緒「昼間の決着をつけるわよ!」[plc]

芽衣子「望むところだ」[plc]

また始まったよ……[lr]
何もこんな時まで喧嘩しなくたって……[plc]

寮長「いい加減にしなさい!!」[plc]

真緒「え?」[plc]

莉緒「………」[plc]

芽衣子「………」[plc]

突然の怒鳴り声と机を叩く音に、ぼくは一瞬何が起きたのかと思った。
空気が凍りつく中、恐る恐る周囲を見回すと、
寮長ににらまれてしぼんだ風船の様にしおれてしまった莉緒と岸岡の姿があった。[plc]

どうやら先ほどの怒鳴り声は寮長のものだったらしい。[plc]
やっぱり怒ると怖いんだな……[plc]

寮長「それでは先生、どうぞ」[plc]

何事もなかったかのように、和やかな笑顔で促す寮長。[l]
ぼくは流されるままに、食事の挨拶を始めた。[plc]


夕食が始まる。[plc]
また莉緒と岸岡の喧嘩が始まってはいたが、
寮長を気にしてか二人とも控えめな様子。[plc]

そんな莉緒と岸岡が少し可愛く思えた。[plc]

ただ、他の寮生もそれに混じったりと、
想像通りにぎやかな夕食となった。[plc]




真緒「ふぅ」[plc]

割り当てられた自分の部屋に入るなり、ベッドへ倒れこむ。[plc]

なんだか酷く疲れてしまった。[lr]
こんなに長い一日は生まれて初めてかもしれない。[plc]

寮の子たち……[lr]
中二病だったっけ……[lr]
皆それぞれ個性があったな……[plc]

真緒「それと……莉緒」[plc]

莉緒と何年ぶりに会ったんだっけ。[lr]
五年? 十年?[plc]

結構たったような気もするし、つい昨日のようにも思える。[plc]
ほんとまだ二人とも子どもだったっけ。[lr]
特に莉緒はちっちゃくて可愛くて……[plc]

でも、まさか莉緒が寮の子だなんて。[plc]
こうしてまた会えるなんて思わなかった……[plc]

昔はあんな風じゃなかった気がする……[lr]
馬鹿だけど素直な良い子だった。[plc]

なんであんな感じになったんだろう。[lr]
やっぱり思春期だから?[plc]

まぁいいか。[lr]
明日から色々話してみよう。[lr]
もちろん莉緒だけじゃなく、他の子たちとも。[plc]

今日はもう寝よう。[lr]
明日の準備は朝起きてすればいい。[plc]

芽衣子「寺井莉緒! 貴様なにをしている!!」[plc]

真緒「………」[plc]

莉緒「岸岡芽衣子!!」[plc]

芽衣子「貴様、闇に紛れて魔王様を襲おうと……」[plc]

莉緒「また邪魔する気ね!!」[plc]

芽衣子「当然だ」[plc]

真緒「………」[plc]

ドア向こうで喧嘩してるのか……[lr]
はぁ、寝かせてくれないわけね。[plc]

このまま寝たふりしてもいいけど、
やっぱり注意しとかないとな。[plc]



真緒「二人とも」[plc]

芽衣子「あ、魔王様危険です。早く中に」[plc]

莉緒「起きてしまったのね」[plc]

真緒「あのなぁ……」[plc]


結局、寮長が来るまで二人の喧嘩は続き、[l]
ぼくが眠れたのは日付が変わってからだった。[plc]


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最終更新:2010年07月12日 23:54
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