シナリオ 7月2日(月曜日)・その3
音河双葉
真緒
「ふう……間に合ったか」[plc]
職員会議ギリギリセーフ![lr]
って思ってたんだけど、いざ職員室に入ってみると
ちらほら人がいる程度。[plc]
特に集まっている感じでもなく、各々が自分の机で仕事をしていたりといった様子。[plc]
時計を見てみると、遅刻どころかまだまだ時間に余裕があった。[plc]
寮から学園までの時間を多めに考えていたからなのか、
自転車で飛ばしたのか良かったのか。[plc]
さっきまでのドタバタはなんだったんだろうと思う。[plc]
ま、遅刻しなくて良かったか。[lr]ひと安心だ。[plc]
真緒「えっと、ぼくの机は」[plc]
キョロキョロしていると一人の女性職員と目があった。[plc]
すぐに目を逸らされたような気がするけど……[lr]
気にしすぎかな。[plc]
また目があう。[plc]
視線を外される。[plc]
チラチラとぼくを見ているのは間違いない。[plc]
なんだろう?[lr]
声をかけてみようかな。[plc]
と思った矢先、女性の方から近づいてきた。[plc]
??「あ、あの~汗だくですけど、だ、大丈夫ですか?」[plc]
そう声をかけられる。[lr]
目の前には──[plc]
真緒(な、なんという、おっ……)[plc]
??「あ、あの? 目の焦点が合ってませんけど、だ、大丈夫ですか?」[plc]
真緒「あ、い、いえ、大丈夫ですよ!」[plc]
双葉「そうですか……」[plc]
スイカでも入ってるんじゃないかと思うほどの胸。[plc]
あまりにも大きいもんだから、つい視線が……[plc]
男なら仕方ない……よな。[plc]
??「あ、あの、どこを見てるんですか?」[plc]
真緒「あああ、いや、あの、どこも見てませんよ。
すいません、ついぼ~っとして」[plc]
??「いえ……大丈夫そうで良かったです」[plc]
??「あの……要先生ですよね?[lr]
は、初めまして。私、音河双葉です」[plc]
真緒(おとかわふたば、先生か)[plc]
真緒「あ、初めまして。要真緒です。よろしくお願いします」[plc]
双葉「は、はい……こちらこそ。[l]あの、汗を拭いた方が」[plc]
そう言われて首筋から落ちる汗を手でぬぐう。[lr]
シャツの中もべったりだ。[plc]
真緒「慌ててきたから凄い汗だ。すぐ拭きます」[plc]
双葉「あ、慌てて来たんですか?」[plc]
真緒「ええ、遅刻するって思って。[l]
一応時間を計ってはいたんですけど、すこし多めに計算してたみたいで」[plc]
双葉「そ、そうですか……」[plc]
真緒「あの?」[plc]
双葉「は! はい!」[plc]
真緒「あの、なんでそんなにオドオドしているんです?」[plc]
双葉「わ、私は別に……」[plc]
真緒「……おば、いえ、学園長から何か言われました?」[plc]
どこか不自然な様子なので、ぼくは聞いた。[plc]
双葉「い、いえ…何も……」[plc]
真緒「そう、ですか?」[plc]
何か引っかかる……[lr]
でも、単純にこういう人なのかもしれない。[plc]
双葉「……引継ぎも」[plc]
真緒「え?」[plc]
双葉「引継ぎもろくに行わない優秀な先生だとお聞きしました」[plc]
真緒「ええっ!?」[plc]
優秀な先生? ぼくが?[plc]
双葉「それに、あの子たちを更正させる事ができるとも」[plc]
真緒「あの子たちって、寮の子の事ですか?」[plc]
双葉「………」[plc]
黙ってうなずく音河先生。[plc]
犯人は、ばあちゃんだな……[plc]
期待してくれてるのかプレッシャーかけてるのか
分からないけど、ぼくとしては非常にやりにくい……[plc]
真緒「あ、あのですね。ぼくは学園長が言うような優秀な人じゃないですから」[plc]
真緒「だいたい、初めての教師ですよ。[lr]
それに、引継ぎもちゃんと済ませてありますから」[plc]
前任の人との引継ぎ。[lr]
色々と急だったせいか、顔を合わせての引継ぎではなかった。[plc]
入院しているため、短い電話でのやりとりと、[l]
業務日誌等を学園長が渡してくれただけの簡素なもの。[plc]
そんな経緯をしってるはずなのに、まったく……[plc]
できた孫だと見栄を張りたいのかどうだか。[plc]
双葉「そ、そうなんですか。でも……」[plc]
真緒「あ、音河先生。他の先生方が集まってきてますよ」[plc]
双葉「あ、始まりますね。では行きましょうか」[plc]
職員会議が無事終わり、今教室へ向かっている。[plc]
ぼくともう一人で……[plc]
芽衣子「運命がたぐりよせたのです。私と真緒様を」[plc]
真緒「………」[plc]
日直の用事で職員室へ来ていた岸岡が、そのままぼくを
教室へと案内してくれる事になった。[plc]
さすがのぼくも自分の教室がどこかは分かっている。[plc]
だから、案内して貰わなくてもいいんだけど、行く場所も同じで断る理由もない。[plc]
そう、岸岡はぼくの受け持つ生徒の一人。[plc]
昨日の夜中に分かった事で、岸岡だけじゃなく、
あの寮のメンバー全員ぼくのクラスの生徒だった。[plc]
前日まで気づかなかったのは、名簿だけを渡されていたからだと思う。[plc]
急な採用だったので顔写真は渡されなかった。[plc]
欲しいと言えば学園長が渡してくれたとは思うけど、
ぼくも実際に会っていくうち自然に覚えるだろう。[plc]
と、さほど気にしていなかったから仕方ない。[plc]
でも、まさか全員同じだとは……[plc]
昨晩、宝くじとは逆の気持ちでメンバーの名前と名簿を照らし合わせていた。[plc]
『似たような名前の子だよな』[lr]
なんて淡い期待も全部外れ。[plc]
朝から晩まであの子らを見なくちゃいけない。[lr]
そう考えるだけでもう疲れてしまいそうだ。[plc]
なんて弱音を吐いても、結局はやるしかないか。[plc]
芽衣子「真緒様? なにを考えておられるのです?」[plc]
真緒「いや、少し不安だなってね」[plc]
芽衣子「大丈夫です。私がいますから」[plc]
真緒「ありがとう、そう言ってくれると助かるよ」[plc]
芽衣子
「当然のことです。[l]それより真緒様」[plc]
真緒「真緒様じゃなく先生な。どうした?」[plc]
芽衣子「何ごとも初めが肝心です。[l]
魔王様の威厳をクラスの者に理解させるべきだと思います」[plc]
真緒「はぁ……」[plc]
芽衣子「ですから真緒様。[lr]まずは……あっ!? お待ち下さい!」[plc]
真緒「……前途多難だ」[plc]
最終更新:2010年07月13日 00:19