シナリオ 7月4日(水曜日)・その6
束の間の休息
午前の授業が終わり、昼休み。[plc]
真緒「ふう……」[plc]
クラスの騒ぎは他のクラスにも聞こえていたようで、
職員室に戻るなり教頭から注意される始末。[plc]
真緒「あれだけ騒がしかったら聞こえるよなぁ……」[plc]
少し落ち込んでしまう。[lr]
でも、すぐに午後の授業も始まるから、弱音を吐いてる場合じゃない。[plc]
じゃないのだけれど……[plc]
……やっぱり考えてしまう。[plc]
そんな暗い気分を変えるために、昼は一人外で食べる事にした。[plc]
澄んだ青空。[lr]
時折吹く夏の風。[lr]
遠くではしゃいでる生徒の声。[plc]
外に出て良かった。[lr]
気持ちが楽になっていく。[plc]
一人、こうやってのんびりすると落ち着いてくるな。[plc]
目を閉じて深呼吸。[lr]
何も考えないように。[lr]
何も考えないように……[plc]
あー駄目だ駄目だ![l] 莉緒たちの事がどうしても頭に入ってくる。[plc]
まだまだ経験が浅いってのもあるだろうけど、
それを差し引いても酷い授業だった……[plc]
先生というよりも友達みたいに思われてるんだろうなぁ。[l]
なめられているっていうか。[plc]
新人教師っていえばそういうもので、
仕方ないのかもしれないけどさ……[plc]
真緒「………」[plc]
……眠い。[lr]
ご飯を食べた後は決まって眠気が襲ってくる。[plc]
まだ時間は、あるな。[plc]
少しだけ、少しだけ寝よ……[plc]
寮長「………生」[plc]
寮長「……先生」[plc]
寮長「真緒先生」[plc]
真緒「……ん、誰?」[plc]
寮長「すいません……お休み中なのに」[plc]
真緒「……寮長? どうしたの?」[plc]
寮長「いえ、少し、その……」[plc]
もしかして、午前中の事を心配してくれてるんだろうか。[plc]
真緒「ああ、情けない所みせちゃったね。でも、午後はちゃんとするからさ」[plc]
寮長「いえ、頑張られてましたよ。[l]
私こそ、皆を注意しなきゃいけないのに」[plc]
うるさくなってしまったのは自分のせいだと言わんばかりに、
申し訳なさそうな寮長。[plc]
真緒「寮長は悪くないよ。ぼくのせいだよ」[plc]
寮長「………」[plc]
真緒「莉緒たちにちゃんと言わないとね。このままじゃ授業にならないし、ははは」[plc]
乾いた笑い。[lr]
寮長も気づいたのか、なんとも言えない顔をしてる。[plc]
寮長「寺井さんたちあんな事言ってますけど、[l]
本当は先生の事が好きなんですよ」[plc]
真緒「そ、そうかなぁ……」[plc]
寮長「ええ、好きな人にちょっかいをかけて
構ってもらいたいんだと思いますよ」[plc]
真緒「うーん、そうだったらいいけどね」[plc]
寮長「本当はとっても素直な子たちなんです。[l]
だから、頑張って下さいね」[plc]
まだ出会って間もないけど、
莉緒たちが悪い子じゃないって事は分かってる。[plc]
ほんと、あの訳の分からない言動や行動がなければ可愛い生徒なんだけど。[plc]
真緒「うん、ぼくもそう思ってるよ」[plc]
寮長「良かった……」[plc]
真緒「莉緒たちも寮長みたいに普通にしてくれたらさ、もっと可愛らしいんだけどなぁ」[plc]
寮長「………」[plc]
真緒「とにかく午後からは頑張ってみるよ!」[plc]
寮長「はい。それでは先生」[plc]
真緒「うん、ありがとう」[plc]
ぼくに笑顔を返すと、寮長は校舎へと戻って行った。[plc]
しかし、模範的な生徒だ。[lr]
さすが委員長というか……[plc]
小さくなる後ろ姿を見つめながら、そんな事を考えていた。[plc]
真緒「ん?」[plc]
視界の寮長に誰かがかぶさる。[lr]
と思うと、すぐに消えてしまった。[plc]
制服じゃなかったし、スーツ着てる職員って感じでもなかった。[plc]
誰だろ?[l]
……ま、いいか。[plc]
昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴り響く。[lr]
午後の始まりだ。[plc]
真緒「さて、ぼくも行かなきゃな」[plc]
最終更新:2010年07月18日 01:24