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シナリオ 7月5日(木曜日)・その5

 八十記のメイド



真緒「えっと……この渡り廊下を渡ってまっすぐで」[plc]

??「ぶうーん、ぶうーん! ぶぶぶぶ」[plc]

真緒「ん?」[plc]

なんだ?[lr]
蝉とかじゃない……よな?[plc]

??「ぶうーん、ぶうーん、キキー!」[plc]

……ちょっと見に行ってみるか。[plc]





たしかこの辺りから声が──[plc]

あれ? 八十記?[lr]
こんな人気の無い所で何してるんだろ?[plc]

せえら「ぼぼぼぼっぶるっぶるっ」[plc]

自転輪にまたがって一人喋ってるけど。[plc]

せえら「うん? どうしましたの?[lr]
今日はかかりが悪いんじゃにゃーですの?」[plc]

後ろのタイヤを蹴っている。[lr]
そう……まるでバイクのエンジンをかけるように。[plc]

あの擬音、そして今の行動……[lr]
ま、まさか……[plc]

せえら「ぶうん、ぶうん、ぼぼぼぼぼ」[plc]

せえら「ふう……やっとかかりましたわね。[lr]
なかなか言うことを聞かないバイクですこと」[plc]

せえら「こんな調子では、次のチキンレースで負けてしまいますわよ?」[plc]

真緒(………)[plc]

間違いない……[plc]

せえら「いいえ、そんな弱気ではだめですわ。
六十㎞の猛スピードで次もワタクシが!」[plc]

せえら「ぶおーん」[plc]

ハンドルを持つ手首を前後に動かし、体全体を大きく揺らしている。[plc]

自転車をバイクに見立ててやっているんだろうけど……[plc]
はたから見ると笑い以外の何者でもないな。[plc]

真緒「く……ぷぷっ」[plc]

せえら「ん?」[plc]

真緒「ぷはははっ」[plc]

せえら「誰ですの!!」[plc]

真緒(し、しまった!?)[plc]

せえら「いったい誰ですの」[plc]

せえら「!!」[plc]

真緒「や、やぁ……」[plc]

せえら「な! センコー! 
ま、まさか見てましたの??」[plc]

真緒「……こ、声が聞こえて来たからさ」[plc]

真緒「偶然だよ? そう、偶然!」[plc]

せえら「……見たのか見てないのかで答えやがれですわ!!」[plc]

真緒「……み、見てた」[plc]

せえら「!!」[plc]

真緒「あ」[plc]

八十記が走り去っていった。[plc]

あんな姿見られたら恥ずかしくて逃げ出すに決まってる。[plc]
ましてや笑われたわけで……[plc]

ぼくも悪かったな……反省しなきゃ。[lr]
後でちゃんと謝ろう。[plc]

でもやっぱり……ぷぷ。[plc]



??「………」[plc]

真緒「あれ? どなた?」[plc]

気がつけば、目の前に一人の女性。[plc]

??「………」[plc]

真緒「あの?」[plc]


??「初めまして先生。
私はせえらお嬢様のメイドです」[plc]

真緒「メイドさん? 八十記の?」[plc]

メイド長「はい、お見知りおき下さい要先生」[plc]

真緒(メイド……さすがお嬢様)[plc]

真緒「あ、こちらこそ」[plc]


丁寧な挨拶。[lr]
それに立ち振る舞いが凛としてる。[plc]

八十記のメイドって事だけど、特に変な所はなさそうだ。[plc]
礼儀正しくて美人で、まさに大人の女性。[plc]

真緒「メイドさんがいるなんて知らなかったので少し驚きました」[plc]

??「そうですか」[plc]

真緒「やっぱりお嬢様なんですねえ」[plc]

??「ええ」[plc]

真緒「ところで、メイドさんの事は何て呼べば?」[plc]

真緒「メイドさんで良いのかな?」[plc]

メイド長「お嬢様からはメイド長と呼ばれてますので、
メイド長でお願いします」[plc]

真緒「メイド……長」[plc]

メイド長「はい」[plc]

真緒(長って事は……)[plc]

メイド長「……それより要先生。
ひとつお聞きしたい事があるのですが」[plc]

真緒「え、はい? 何でしょうか?」[plc]

メイド長「先ほど笑っておられましたよね」[plc]

真緒「はい、笑ってましたけど?」[plc]

メイド長「………」[plc]

真緒「それがどうかしましたか?」[plc]

メイド長「………」[plc]

真緒「あの?」[plc]

メイド長「……最初だけは見逃してやるよ」[plc]

真緒「え?」[plc]

メイド長「……いえ、何でもありません」[plc]

真緒「はぁ」[plc]

メイド長「………」[plc]

真緒(なんだろ? ま、いっか)[plc]

真緒「しっかし、八十記のメイドなんて大変でしょうね」[plc]

メイド長「大変な事なんてないですよ」[plc]

真緒「いやー、八十記はあれじゃないですか。
無理にヤンキー演じちゃって大変でしょ」[plc]

メイド長「………」[plc]

真緒「さっきも自転輪をバイクに見立てて変な事してましたしね」[plc]

真緒「笑っちゃいけないと思いつつ大爆笑でしたよ」[plc]

メイド長「………」[plc]

真緒「ははは」[plc]

メイド長「………」[plc]

真緒(あっれ……怒ってる?)[plc]

真緒「あ、あの? どうかしたんですか?」[plc]

メイド長「ふう……要先生」[plc]

真緒「は、はい」[plc]

メイド長「目を閉じて頂けませんか。[lr]
後、歯も食いしばってて下さい」[plc]

真緒「え?」[plc]

真緒「ぎゃあああ」[plc]







……殴られた。[lr]
そう気がついた時はすでに終わった後だった。[plc]

なぜだ……なぜぼくは殴られたんだ?[plc]

真緒「う、うう……」[plc]

メイド長「………」[plc]

真緒「なんでいきなり……」[plc]

メイド長「てめーがお嬢様を笑ったからに決まってんだろ」[plc]

え? てめー?[lr]
な、なんで急に乱暴な口調に?[plc]

さっきまでの綺麗な言葉はどこに?[lr]
それに何か、怖いというか……[plc]

真緒「た、たしかに笑いましたけど、
何も殴るなんて……」[plc]

メイド長「殴られて当然さ」[plc]

真緒「と、当然?」[plc]


メイド長「ああ、むしろラッキーだと思いな」[plc]

メイド長「お嬢様を馬鹿にした事をさ、
これだけで許してやろってんだからよ」[plc]

真緒「別に馬鹿には……ただ面白かっただけで」[plc]

メイド長「……また殴られたいのか?」[plc]

真緒「いえ、違うんです! これはその……」[plc]

メイド長「なんだ? 言い訳か? 
ったくこれだからセンコーはよ」[plc]

真緒(センコー?)[plc]

メイド長「チッ、嫌な事思い出させやがって」[plc]

真緒「す、すいませんすいません」[plc]

この言葉づかい。[lr]
手の早さに雰囲気。[lr]
この方はもしや……[plc]

メイド長「ったく男のくせにペコペコ頭下げやがって」[plc]

メイド長「そんなんでお嬢様の担任が務まるのかよ?」[plc]

真緒「が、がんばります……」[plc]

メイド長「まぁいい、今度からは気をつけな」[plc]

真緒「………」[plc]

メイド長「返事」[plc]

真緒「は、はい」[plc]

メイド長「よし」[plc]

真緒「………」[plc]


メイド長「………」[plc]

真緒「………」[plc]

き、気まずい。[lr]
この場を離れたいけど、先に離れるのも……[plc]

真緒「………」[plc]

メイド長「……何黙ってんだよ」[plc]

真緒「す、すいません」[plc]

メイド長「いちいち謝るなっての」[plc]

真緒「は、はい」[plc]

メイド長「……お嬢様はこんなののどこが」[plc]

真緒「はい?」[plc]

メイド長「何でもねーよ」[plc]

真緒「あ、はい」[plc]

メイド長「で、お嬢様はどうだ?」[plc]

真緒「は?」[plc]

メイド長「お嬢様はどうかって聞いてんだよ」[plc]

真緒「どうかって……」[plc]

なんて答えればいいんだろ。[plc]

ちょっと変わった子ですね?[lr]
変な喋り方してますよね?[plc]

いやいやいやいや、また殴られるぞ![plc]

ここは無難に……[plc]

真緒「そう、ですね。八十記はお嬢様って感じですよね」[plc]

メイド長「だろ?」[plc]

真緒「ええ、着ている服もそうですけど、
立ち振る舞いとかにも気品があるっていいますか」[plc]

メイド長「だろ? やっぱそう思うよな?[lr]
せえら様は最高のお嬢様だと思うだろ?」[plc]

真緒(最高のお嬢様……)[plc]

真緒(うーん)[plc]

メイド長「おい? 聞いてんのか?」[plc]

真緒「あ、ええ、まぁ」[plc]

メイド長「そう、そうなんだよな……」[plc]

メイド長「お嬢様はお姫様って呼んでもいい位[r]
可愛いくて綺麗だよ……」[plc]

真緒「あ、え、はぁ」[plc]

メイド長「本当に綺麗になられて……[lr]
いえ、子どもの頃からずっと綺麗でした。[lr]
特に最近はずっと大人っぽくなって……」[plc]

真緒(口調が戻ってる……)[plc]

メイド長「愛らしいお嬢様から可憐なお嬢様へと」[plc]

真緒「子ども時代の八十記」[plc]

メイド長「ええ、それはそれは可愛くて愛ら
しくて……」[plc]

メイド長「あまりの可愛さに誘拐されるのではと、
毎日心配ばかりしておりました」[plc]

真緒「はぁ……」[plc]

メイド長「もちろんそんな事がおきない様に
常に私がお嬢様をお守りしていました」[plc]

メイド長「そう、朝起きて夜ベッドに入るまでずっとです」[plc]

真緒「そ、そうですか」[plc]

メイド長「お嬢様を見守り続ける事は楽ではありません
でしたけど、決して苦じゃありませんでした」[plc]

メイド長「でも、一日中側にいる私を気づかってくれたのでしょう」[plc]

真緒「はぁ」[plc]

メイド長「時々お嬢様は、私にお優しい言葉をかけてくださったのです」[plc]

メイド長「いえ、それだけじゃありません」[plc]

メイド長「メイド長一緒にネンネしよ、
とまで言ってくれて……」[plc]

メイド長「数年前までは時折一緒に寝たりもしましたよね」[plc]

真緒「はぁ」[plc]

メイド長「最近はそんな事もなくって……」[plc]

メイド長「失礼ながらもお嬢様の寝顔をみながら私は、
お嬢様の姉の様な、母の様な感情を抱きました」[plc]

メイド長「可愛いお嬢様の寝顔……」[plc]

メイド長「髪の良い匂い……」[plc]

メイド長「すべすべの肌……ああお嬢様」[plc]

真緒(な、なんかちょっと……)[plc]

メイド長「入浴の世話も最近はお断りになられまして……」[plc]

メイド長「お嬢様の艶やかな肌を洗えないのは本当に残念です……」[plc]

真緒「そ、そうなんですか」[plc]

メイド長「ええ、今はせいぜいタオルを渡す位しかできません」[plc]

メイド長「ですから手が滑った振りをしてお嬢様の肌を──」[plc]

真緒「肌を?」[plc]

メイド長「……ごほん。とにかくいいですか?」[plc]

メイド長「いくら教師とはいえ、お嬢様の近くに若い男性が
いるのは心配なんです」[plc]

真緒「はぁ」[plc]

メイド長「お嬢様はあの通り容姿端麗ですから。[lr]
あなたがお嬢様に変な事をしないかと心配しているのです」[plc]

真緒「ぼくが八十記に? 無いですよ」[plc]

メイド長「口では何とでも言えます。
お嬢様は非の打ち所の無い女性ですから」[plc]

真緒(非の打ち所の無い…ね)[plc]

真緒「ありえないですよ。
ていうか無理ですよ八十記じゃ」[plc]

メイド長「……無理?」[plc]

真緒「あ、いや、八十記は生徒ですしね」[plc]

メイド長「たしかにそうですね」[plc]

メイド長「教師が生徒に手を出すなどありえませんよね」[plc]

真緒「ええ、安心して下さい」[plc]

メイド長「はい」[plc]

真緒「……それはそうと、ちょっと聞きたい事が」[plc]

メイド長「はい?」[plc]

真緒「あの、八十記が子どもの時からメイドさんを?」[plc]

メイド長「はい、お嬢様の事は誰よりも知っていると自慢できますね」[plc]

真緒「へぇ……それじゃずっとメイドをしていたんですね」[plc]

メイド長「ええ、お嬢様専属のメイドをしておりました」[plc]

真緒(……何歳なんだろ)[plc]

ふとそんな疑問が浮かんでくる。[plc]

間違いなくぼくより上だと思うけど、
そんなに年喰ってる感じには見えないし……[plc]

真緒「あの」[plc]

メイド長「はい」[plc]

真緒「いきなりこんな事聞くの失礼だと思いますが、
メイド長はいったい何歳なんですか?」[plc]

メイド長「………」[plc]

あ、あれ?[plc]

真緒「あ、今のは無かったことにして下さい。はは」[plc]

メイド長「あんたは何歳なんだ?」[plc]

真緒「え? ぼくは二十二ですけど」[plc]

メイド長「そうか」[plc]

真緒「あの、もしかして同じ年ですか?」[plc]

メイド長「………」[plc]

真緒「ち、違いますよね。ぼくと同じじゃないですよね」[plc]

メイド長「あたしの事、何歳だと思ってんだ?」[plc]

真緒「ええ!? それは……」[plc]

メイド長「正直に言えよ」[plc]

真緒「……具体的な年齢は分かりませんけど、
ぼくよりも上かなぁと」[plc]

メイド長「………」[plc]

真緒「あ、いや、落ちついてるといいますか、
大人びてるといいますか」[plc]

メイド長「はーん、ババアって言いたいわけか」[plc]

真緒「そ、そんな事思ってませんよ!」[plc]

メイド長「やっぱもっかい締めとくか……
今度は個人的なあれだけどさ」[plc]

真緒「あ、あの、拳を下ろしていただけませんか?」[plc]

メイド長「却下」[plc]

真緒「アーッ!」[plc]




逃走……失敗。[lr]
メイド長に倒されてしまった。[plc]

しかも今度はそれだけじゃない……[plc]
メイド長に馬乗りされている……[plc]


メイド長「おら、逃げんなよ、諦めろっての」[plc]

真緒「いやー! 変な所触らないでー!!」[plc]

メイド長「ガタガタるせーな」[plc]

真緒「いやあああ」[plc]

メイド長「おい……何大きくしてんだよ? 
お前そういう趣味なのか?」[plc]

真緒「こ、これは……触るから」[plc]

メイド長「へ、とんだ変態教師だな。
おら、見せてみろよ」[plc]

真緒「いやぁああああああ」[plc]



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最終更新:2010年07月19日 01:10
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