やくたみ ◆It3qR4pyLQ

【やくたみ ◆It3qR4pyLQ】[vip東方的には消滅]


VIP東方避難所を主な活動場所とするSSライター
pixivでも活動しているが、VIP他での活動がそれの宣伝を兼ねていることを公言し、
またそれについて意欲的だったため叩かれることもかなりあった。

やくたみに限らず、VIP東方のSS書きはVIPの本家SSスレが一二年前に経験した『痛い目』を
遅れて再来させる人間が少なくない。また、VIP東方スレの事情自体に明るくない者もいるので
(例えばやくたみはVIPで東方やSSが叩かれる経緯をスレで指摘されるまでわかっていなかった)、
多重の難を被りやすかった。


VIPおよび避難所に、過去【蛙の報復】【短きもの】【ソイレントレッド】【お空とお燐】等々のSSが投下されている。
それらは2ch東方スレ観測所にもいくつかまとめられている。
まとめブログが嫌いな人は代わりにググるか彼のpixivを覗く事で作品を閲覧できるだろう。
ただし、作品をVIPログ上で探す際は注意。【ソイレントレッド】などは【東方SS四つ】というスレの
中で投下されているものなので、ものによってはタイトルで検索しても出てこない。

作品はR-18のものが多いので子供は見るな。いいか、絶対だぞ。

道民だそうである。うにゅほ厨といい、SS書きには道民が結構いるようだ。



東方SS 『真夏の昼の夢』
2 : やくたみ ◆It3qR4pyLQ : 2011/07/31(日) 17:35:08.96 ID:OaPtV4Y20 [2/18回発言]
   1

「何か落ちてないかなぁ。他人の人生を一変させるような何か」
 三日間自宅の地下の研究室に閉じこもっていた魔理沙は、研究が一段落したところで外に出て、
気分転換に魔法の森を散歩がてら、独り言を言いながら何か面白いものを探していた。

 彼女はお気に入りの大きな黒い魔女の帽子を被り、鬱蒼と茂る背の高い草を掻き分けながら、
昼間だというのに薄暗い魔法の森の奥深くにて、視線をそこかしこに散らしながら歩き回っていた。
夥しく生える太い広葉樹ばかりの森は、真上から降り注ぐ夏の盛りの日差しを悉く遮りながら、
活発な蒸散によって周囲の大気を湿らせ、森の中には湿った涼しい風が吹いていた。
力強い蝉のがなり声が周囲の全ての方向から喧しく聴こえる。
暗がりの中で柔らかく腐った草や枯れ木の腐葉土が森の地面を覆い尽くしていて、
踏みしめる度に蒸れた絨毯のような感触が黒いサンダルを通して伝わった。
彼女は知らぬ間に足の指の間に挟まる細い草や枯れ枝を、空中を蹴る様な仕草で振り払いながら、
どこかを目指すでもなく無造作な足取りで歩いている。

 木々がざわめき、大きな風が吹いた。魔理沙の帽子がふわりと浮き、彼女の金の髪が帽子の下にちらと現われた。
彼女はとっさに帽子を片手で押さえつけた。
それでも風に吹かれて慌しくめくれ上がるつばをもう片方の手で押さえて顔を伏せた。
木の葉のざわつきが見えない波となって魔理沙の眼前からその小さな背中の後方へ駆け抜けてゆく。
ざわめきを後ろに聞いた所で顔を上げると、森はもとの蝉の声を奏でながら、再び湿った涼しい風を吹かせ始めた。
彼女は息を吐き、帽子を直すとまた足を踏み出した。


3 : やくたみ ◆It3qR4pyLQ : 2011/07/31(日) 17:36:23.12 ID:OaPtV4Y20 [3/18回発言]  
太陽が一番高くなった頃、額の汗を腕で拭うとべっとりと濡れた。
まくった袖の皺くちゃになった部分も汗で湿り、風に吹かれて冷えている。
首筋も、背中も、太腿も、肌着が張り付いてしまっている。
目的の無い探し物に夢中になっている間に、随分と動き回っていたようだ。

 そろそろ帰ろうか、何も見つけられなかったが体を動かしていい気分転換にはなった。
彼女は自宅に戻るべく箒を構えて跨った。とその時、箒を持つ手の向こうの地面にきらりと何かが光るのを発見した。
腐葉土の枯れた葉の下に密やかに落ちていたその瓶を、彼女は箒に跨ったまま目の前に摘み上げた。
彼女の手の平ほどの小さな透明な瓶の中には、仄かに紫がかった液体が入っている。
振ってみると僅かな水音がして、気泡がいくつかできた。
なんのラベリングも無い謎の小瓶、いかがわしい色の液体、これは調べがいがありそうだと、彼女の好奇心はその瓶に捕らわれた。

 そして彼女は一つだけあるスカートのポケットに小瓶を忍ばせると、
汗ばむ体を箒で浮かせて飛ばし、風を切り木々の間を縫い、住処に戻った。



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最終更新:2012年04月15日 23:47
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