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Einen Kleine Universmusik -The Trajectorie of “Spur”- #7初陣

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開け放たれた輸送機のハッチから見える地面に最初に飛び込んでいったのはユーリィさん。次にオードさん、フィーさんの順に飛び込んでいく。
「さ、行っといで!」
輸送機のパイロット、ヴラースさんが通信越しに背中を押してくれた。
「ありがとうございます。...え~っと...」
目の前に表示されるコンソールには、偽の名前...Binarystar-Tが表示されている。
私たちが乗っているのは例のウォック・タヒタルトなのだが、その見た目はポーラスターのように直線的な外装に包まれていた。「もし私たちがウォックを持ってるなんてことが万が一バレたら大騒ぎだからね、外装と登録をごまかしておいた。」と片目を閉じて微笑みかけるユーリィさんの顔を思い出した。
「...バイナリースター、T型。ワルター・ファルダイシュパージェ!」
「同じくその補助操縦主、チオグラチ・香椎・ヴェール。」
「出ます!」
「出るよ!」

背中のスラスターを吹かしながら飛び降り、減速しつつ降下する。見ると、ちょうどユーリィさんが着地したところだった。
「シャトロイ、敵は?」
「あ...8機、です。事前調査とおなじで機種は恐らくフィオナ・クウェル、うち一機はツノと『例の翼』が生えてるので多分それが隊長機です。」
「ありがとう、引き続き頼むよ。」
通信の相手はシャトロイさん、輸送機の中ではなく上に乗って、彼女の機体の頭についたレーダーで索敵を担当している。今は輸送機から離れて単独で空を飛んでいるようだ。本当は今日は糖国祭のはずだったのだが、早めに負けてしまって暇になったので飛び入り参加してきたという。
「糖国祭で活躍できなかったぶん、埋め合わせるんで。」
「その意気!頼むよ!」
バイナリースターの画面にもシャトロイさんからレーダー情報が共有され、次いでそれぞれにタグが付与され識別しやすくなり、敵の配置が丸裸になる。
「フィー!約束覚えてっか?!」
「ええ!多く倒した方が焼肉奢りで!」
オードさんがそう言うと共に高圧ビームサーベルが大きく一閃し、次いで大量のドローンの航跡が伸びて行き、一気に4機分の反応が消えた。
「私たちも負けてらんないね。あ、もう少し上でお願い。」
「こう?」
「そう。撃つよ!」
二人で空中から姿勢を合わせて、一機を狙撃し撃墜する。
その間にもう一度大きな扇形の残像が見え、更に1機分の反応が消えた。
「…やっぱアレ無法じゃない?」
「まぁ初見殺しだよねぇ…」
実際のところ、不意打ちが効く実戦はともかく1対1で相手が分かる模擬戦では対策を講じられてどうしようなくなることがたびたびあるらしい。
そんなことを考えている間にもフィーさんのドローンでもう2機が落とされていた。
「はい、奢りなさいよ。」
「だぁ〜〜〜!次は絶対勝つけぇの!」
二人の通信が聞こえてくる。仲がいいやら悪いやら。
「あと1機、だけど…」
シャトロイさんが言葉に詰まる。
「…どうしたんですか、シャトロイさん?」
「見に行ってみたらいいと思うよ。」
そう促され、家を超えてユーリィさんの所に行ってみると…
「あ、お疲れ様。こっちはこの通り。」
…胸のコクピット部に単分子カッターが刺さり、頭が吹っ飛ばされた上で粘着消火剤弾をベタベタとはりつけられ地面に倒れ伏している敵隊長機…だったものがあった。
ただ、涼しそうな顔をしているがユーリィさんも苦戦したようで肩や腰の装甲板がかなり損傷していた。
「ヴラース、もう安全だから降りてきて。早めに解体してずらかるよ。シャトロイは引き続き警戒をよろしく!」
そう言い終わるのとどっちが早いか、ユーリィさんはコックピットから飛び出して自機の手から敵隊長機の翼付近に駆け寄り、切り離しの作業を始めた。
「了解で〜す」
「り、了解しました!」
ヴラースさんが轟音を立てながら輸送機で垂直着陸してくる。デカい機体だとやはり迫力がある。
「フィー、オード、チオとファルはここに住んでた民間人が居るはずだから見つけて保護するように。」
「OK!」
「了解!」
「わかった。」
「わかりました。」
その後、民間人を発見して村の解放を告げ、翼だけかっぱらって輸送機に隠し、現場を後にした。ユーリィさんは「後始末がある」とかで現場で自分の機体と一緒に軍の到着を待つと言って乗らなかったけど。

時は過ぎその日の夕方。飴宮街駅前の焼肉屋、「焼肉あおば」にて。
「上等じゃ!いくらでも食え!!!」
「よっ!太っ腹!」
約束通り、オードさんがフィーさんに焼肉を奢り…それに私たちも着いて行った。
「…あの、私たちもご馳走になっちゃってよかったんでしょうか…」
「おう!いっぱい食べて強くなれよ!」
「そ、それじゃあ遠慮なく…」
…遠慮なく、とは行ったものの普段食べているものと比べるとどれも値段が高くて目が眩んでしまう。
「えっと、豚トロ?を…」
「私はこのサーロインステーキで。」
「ちょっと!?」
「ええて、何でも食べや。」
「オード先輩もこう言ってるんだしせっかくだから高いの食べようよ。」
「じゃあ私も…」
しばらくして届いた大きな肉塊に目を輝かせていると、向かいに座っているフィーさんが神妙な面持ちで話しかけてきた。
「…食欲はあるの?」
「もちろん。」
「よかった、初陣の後はご飯も食べれなくなっちゃう人、たまに居るから…」
なんで急にそんなことを聞くんだろうと思ったが、合点が行った。
「あぁ、そういうことなら…」
「私とファルはまぁ…」
「いや、正当防衛ですよ!?」
そんな会話を聞いたフィーさんはちょっと悲しそうな顔をしていた。

時は再び流れ、アースポートに向かう船内。
「ヤだなぁ、また宇宙に行くの…」
フィーさんがボヤいていた。
「私とチオは、宇宙で生まれ育ってるのでむしろ早めに帰れて落ち着くかも。」
「新時代だなぁ〜…地球から宇宙に行く時の重力が無くなっていく感覚、何度やってもなれないんだよねぇ。一度宇宙に出ちゃえばあとは何ともないんだけど。」
そんな会話をしていると、アナウンスが鳴り出した。
「皆様、正面に軌道エレベーターが見えてまいりました。」
「えっもう!?…覚悟決めるかぁ…」
そう言って、フィーさんはラウンジから出て行った。
「私たちはどうする?」
「私たちもデッキに行こ、次いつ来れるかわかんないし。
そう言ってデッキに行き、水平線を目に焼き付けた。

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EKU SS
最終更新:2026年01月25日 17:11